6.真と偽
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中に入ってぱっと目に飛び込んできたのは、真白な髪をした男の姿だった。
舞美にはもう他の客なんて見えない。
おそるおそる足を踏み出して彼の方へと向かう。髪を逆立て、サングラスに派手なスーツを合わせている。彼があの赤木しげる、だろうか。それならかなり、雰囲気が変わっている。
今は卓割れしている。彼は堂々と椅子に掛けて対戦相手を待っていた。他の客は既にむしられた様子で、怖がっているのか、中々「我こそは」と声が上がらない。
舞美はこの隙にと彼に走り寄った。
「……アカギ?」
顔色を伺いながら問いかける。サングラスで目元は見えないが、彼は顔をこちらへ向けた。
「あー、まあ、そうだけど?」
あれ……。
舞美は何か不思議に思った。
あんなに会いたかったのに、なんだろう。この、気持ちの落ち着きようは。
「わ、わたしのこと分かる?」
“わたしのこと、覚えてる?”
そう聞こうと思っていたのに、口から飛び出たのは、“分かる?”という言葉だった。
「あー……」
彼は手を頭にやってから、困ったように笑って場を繕った。ああもう、なんなんだ。舞美が顔をしかめかけると、いつか聞いたことのある声が後ろから響いてきた。
「あ⁈ おい、おまえは——」
「え?」
はっと舞美が振り向くと、そこにいたのは、市川戦ぶりに見た、安岡刑事だった。
「え、あ、安岡さん?」
「やっぱり……舞美ちゃんか?」
舞美は安岡からの問いかけにこくりと頷いてから、むっと口を尖らせ、小声で言った。
「お久しぶり」
「あ、ああ……こりゃまた、随分と……」
大人になったな、なのか、綺麗になったな、なのかは分からないが、舞美は彼の言葉を遮るようにして言った。
「それより、“アカギ”って、どこにいるの」
「は……」
白髪の男はアカギの居場所を知りたがる舞美の言葉に拍子抜けした。一方、安岡はクククと笑っている。
「やっぱり、舞美ちゃんの目は欺けないか」
「当たり前よ。いくらなんでも、アカギがわたしを忘れるはずないし」
だから、目の前にいるこいつは偽物。アカギを騙って稼いでるんだ。
きっと安岡とグルで適当に勝ってから金の分け合いでもしてるんだろう。
ちぇ、と舞美は偽アカギのサングラスを睨んだ。
変な期待、させないでよね。
舞美にはもう他の客なんて見えない。
おそるおそる足を踏み出して彼の方へと向かう。髪を逆立て、サングラスに派手なスーツを合わせている。彼があの赤木しげる、だろうか。それならかなり、雰囲気が変わっている。
今は卓割れしている。彼は堂々と椅子に掛けて対戦相手を待っていた。他の客は既にむしられた様子で、怖がっているのか、中々「我こそは」と声が上がらない。
舞美はこの隙にと彼に走り寄った。
「……アカギ?」
顔色を伺いながら問いかける。サングラスで目元は見えないが、彼は顔をこちらへ向けた。
「あー、まあ、そうだけど?」
あれ……。
舞美は何か不思議に思った。
あんなに会いたかったのに、なんだろう。この、気持ちの落ち着きようは。
「わ、わたしのこと分かる?」
“わたしのこと、覚えてる?”
そう聞こうと思っていたのに、口から飛び出たのは、“分かる?”という言葉だった。
「あー……」
彼は手を頭にやってから、困ったように笑って場を繕った。ああもう、なんなんだ。舞美が顔をしかめかけると、いつか聞いたことのある声が後ろから響いてきた。
「あ⁈ おい、おまえは——」
「え?」
はっと舞美が振り向くと、そこにいたのは、市川戦ぶりに見た、安岡刑事だった。
「え、あ、安岡さん?」
「やっぱり……舞美ちゃんか?」
舞美は安岡からの問いかけにこくりと頷いてから、むっと口を尖らせ、小声で言った。
「お久しぶり」
「あ、ああ……こりゃまた、随分と……」
大人になったな、なのか、綺麗になったな、なのかは分からないが、舞美は彼の言葉を遮るようにして言った。
「それより、“アカギ”って、どこにいるの」
「は……」
白髪の男はアカギの居場所を知りたがる舞美の言葉に拍子抜けした。一方、安岡はクククと笑っている。
「やっぱり、舞美ちゃんの目は欺けないか」
「当たり前よ。いくらなんでも、アカギがわたしを忘れるはずないし」
だから、目の前にいるこいつは偽物。アカギを騙って稼いでるんだ。
きっと安岡とグルで適当に勝ってから金の分け合いでもしてるんだろう。
ちぇ、と舞美は偽アカギのサングラスを睨んだ。
変な期待、させないでよね。