5.岐れ道
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「ただアカギと一緒にいたかっただけなの、それ以上のものはないよ」
舞美が自信を持って言うと、アカギはクククと笑い出した。
「も、もちろんお金があるに越したことはないんだけどね」
焦って付け加えると、アカギは「そうじゃねえよ」と笑っている理由を否定した。
「あんたみたいな人間、なかなかお目にかかれないからさ」
「え?」
「だってオレと居たいがためだけに、あんた自分を張ったんだろ」
「うん……って、そんなに笑うこと?」
またクスクス笑い出したアカギに対して舞美も困ったように笑った。
そして、アカギは札束から少し金を抜いた。
それはさっき舞美にくれるといった量より少なく、舞美にとってちょうど受け取りやすい額であった。
「あんた、これだけでも受け取りな。要らなきゃ捨てればいい」
「アカギは要らないの?」
「要らねえな。オレはこれのために勝負した訳じゃない。あんたが要らないと言うのなら、オレはコイツを海にでも捨てる」
アカギの言うことだ、本気なんだろう。
「……そう。なら、受け取るよ。勿体ないし」
舞美はそっと金を手にした。
これは戦利品だ。アカギと2人で戦った証だと考えると、舞美はなんだか嬉しくなった。
周りには、市川とアカギの戦いを興奮して語る者たちが大勢いる。安岡は大金を得たことで笑みが止まらない。ただ、南郷は何か思いつめたように憑き物が落ちたようなアカギの表情を見ていた。
「じゃ、オレは行くよ」
もう用はない、とばかりにアカギは立ち上がる。舞美も慌てて立ち上がった。
「なんだ、乾杯しないのか?」
安岡と南郷はこの料亭を出たら、二次会で乾杯する予定らしい。アカギは首を振った。
「そうか……。なら、気をつけて帰れよ」
「それはお互い様だろ」
「ハハ、確かにな。って、恐いこと言うなよ。舞美ちゃんとも仲良くやるんだぞ」
「東雲? ……別に仲良くやる関係でもないけど」
アカギの言葉に舞美は少しぐさっときたが、南郷と安岡はそれを笑い飛ばした。2人はアカギと舞美の関係を勘違いしているらしい。
「分かったよ。じゃあな、アカギ、舞美ちゃん」
「ん」
「またね。安岡さん、南郷さん」
舞美は手を振り、アカギに続いて料亭を出た。「またね」と言ったものの、彼らと再び会うことはあるのだろうか。
そう考えてから、舞美ははっとした。
そして嫌な予感がしつつも、こう思わずにはいられなかった。
——今度はいつ、アカギと会えるのだろうか、と。
舞美が自信を持って言うと、アカギはクククと笑い出した。
「も、もちろんお金があるに越したことはないんだけどね」
焦って付け加えると、アカギは「そうじゃねえよ」と笑っている理由を否定した。
「あんたみたいな人間、なかなかお目にかかれないからさ」
「え?」
「だってオレと居たいがためだけに、あんた自分を張ったんだろ」
「うん……って、そんなに笑うこと?」
またクスクス笑い出したアカギに対して舞美も困ったように笑った。
そして、アカギは札束から少し金を抜いた。
それはさっき舞美にくれるといった量より少なく、舞美にとってちょうど受け取りやすい額であった。
「あんた、これだけでも受け取りな。要らなきゃ捨てればいい」
「アカギは要らないの?」
「要らねえな。オレはこれのために勝負した訳じゃない。あんたが要らないと言うのなら、オレはコイツを海にでも捨てる」
アカギの言うことだ、本気なんだろう。
「……そう。なら、受け取るよ。勿体ないし」
舞美はそっと金を手にした。
これは戦利品だ。アカギと2人で戦った証だと考えると、舞美はなんだか嬉しくなった。
周りには、市川とアカギの戦いを興奮して語る者たちが大勢いる。安岡は大金を得たことで笑みが止まらない。ただ、南郷は何か思いつめたように憑き物が落ちたようなアカギの表情を見ていた。
「じゃ、オレは行くよ」
もう用はない、とばかりにアカギは立ち上がる。舞美も慌てて立ち上がった。
「なんだ、乾杯しないのか?」
安岡と南郷はこの料亭を出たら、二次会で乾杯する予定らしい。アカギは首を振った。
「そうか……。なら、気をつけて帰れよ」
「それはお互い様だろ」
「ハハ、確かにな。って、恐いこと言うなよ。舞美ちゃんとも仲良くやるんだぞ」
「東雲? ……別に仲良くやる関係でもないけど」
アカギの言葉に舞美は少しぐさっときたが、南郷と安岡はそれを笑い飛ばした。2人はアカギと舞美の関係を勘違いしているらしい。
「分かったよ。じゃあな、アカギ、舞美ちゃん」
「ん」
「またね。安岡さん、南郷さん」
舞美は手を振り、アカギに続いて料亭を出た。「またね」と言ったものの、彼らと再び会うことはあるのだろうか。
そう考えてから、舞美ははっとした。
そして嫌な予感がしつつも、こう思わずにはいられなかった。
——今度はいつ、アカギと会えるのだろうか、と。