5.岐れ道
名前変換はコチラから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
勝負のサイ振り。生き残るには麻雀の前にこれでいい目が出ないといけない。
親の市川がまず振り、出た目は3と4。対七 で、運命のサイはアカギに託された。
アカギは2つのサイコロをつまむように持ち上げてから、ぎゅっとその手に握りしめた。緊迫した空気が流れ、舞美も胸のあたりが苦しくなる。
アカギは一度だけ、舞美の方を横目でちらりと見、示し合わせたように潔く振った。
コロコロとそれらは転がり、最後の最後まで結果を見せてはくれない。最終的にその内の1つが回転し、とうとう、止まった。
舞美からその目は見えない。
が、アカギは口元を緩めたように見えた。
「三……」
3。これは理想的な数字だ。舞美はそっと「良かった」と頷いた。とりあえず生き残った。
しかし配牌は微妙。が、がっかりしている場合ではない。ノーテン罰符でも飛んでしまうし、次に持ち越したとしても、次こそサイコロがこちらへ牙を剥くかもしれないのだ。
どうすればこの手を、市川が振り込むような満貫手に育てられるのか。麻雀をうろ覚えの舞美には見当もつかなかった。
アカギは意気消沈せず、むしろ闘志に燃えているようだ。しっかりと市川を殺 りにいっている。
4巡目、アカギが動く。
「チー!」
そしてまた、6巡目でもチー。
鳴いて三色同順。加えて白が重なった。
市川もアカギを追い始める、そんな気配。
が、9巡目。舞美の視点はアカギの手牌から離せない。どうして、3枚あるのにその内の1枚を切ってしまうの……? それは大切な点数源なのに。それは一体、どんな狙いが?
ポーカーフェイスを保ってはいるものの、安岡や南郷も信じられない思いでいっぱいだろう。とにかく、舞美は黙ってその先を見据えた。アカギのツモは噛み合い、とりあえずテンパイというところまではたどり着いた。
アカギの横顔はいつになく必死で、彼も焦っていることが感じられる。まだ麻雀も覚えたて。無敵のアカギ様、というわけにはいかない。彼も勝つために、かなり無理をしているのだ。
その後、市川の長考が入る。彼はいったい何を悩んでいるのだろう。今回のアカギの手は満貫に届きそうにない。何をそこまで恐れているのだろう? もしくは、悪巧みしてるとか?
市川は熟考の末、生牌の北を吐き出した。
そこでようやく、アカギは口角を上げる。
まるで市川が捨てるのを、ずっと待ち望んでいたかのように。
彼は正面を見据え、ひときわ大きく言った。
「カン…!」
親の市川がまず振り、出た目は3と4。
アカギは2つのサイコロをつまむように持ち上げてから、ぎゅっとその手に握りしめた。緊迫した空気が流れ、舞美も胸のあたりが苦しくなる。
アカギは一度だけ、舞美の方を横目でちらりと見、示し合わせたように潔く振った。
コロコロとそれらは転がり、最後の最後まで結果を見せてはくれない。最終的にその内の1つが回転し、とうとう、止まった。
舞美からその目は見えない。
が、アカギは口元を緩めたように見えた。
「三……」
3。これは理想的な数字だ。舞美はそっと「良かった」と頷いた。とりあえず生き残った。
しかし配牌は微妙。が、がっかりしている場合ではない。ノーテン罰符でも飛んでしまうし、次に持ち越したとしても、次こそサイコロがこちらへ牙を剥くかもしれないのだ。
どうすればこの手を、市川が振り込むような満貫手に育てられるのか。麻雀をうろ覚えの舞美には見当もつかなかった。
アカギは意気消沈せず、むしろ闘志に燃えているようだ。しっかりと市川を
4巡目、アカギが動く。
「チー!」
そしてまた、6巡目でもチー。
鳴いて三色同順。加えて白が重なった。
市川もアカギを追い始める、そんな気配。
が、9巡目。舞美の視点はアカギの手牌から離せない。どうして、3枚あるのにその内の1枚を切ってしまうの……? それは大切な点数源なのに。それは一体、どんな狙いが?
ポーカーフェイスを保ってはいるものの、安岡や南郷も信じられない思いでいっぱいだろう。とにかく、舞美は黙ってその先を見据えた。アカギのツモは噛み合い、とりあえずテンパイというところまではたどり着いた。
アカギの横顔はいつになく必死で、彼も焦っていることが感じられる。まだ麻雀も覚えたて。無敵のアカギ様、というわけにはいかない。彼も勝つために、かなり無理をしているのだ。
その後、市川の長考が入る。彼はいったい何を悩んでいるのだろう。今回のアカギの手は満貫に届きそうにない。何をそこまで恐れているのだろう? もしくは、悪巧みしてるとか?
市川は熟考の末、生牌の北を吐き出した。
そこでようやく、アカギは口角を上げる。
まるで市川が捨てるのを、ずっと待ち望んでいたかのように。
彼は正面を見据え、ひときわ大きく言った。
「カン…!」