5.岐れ道
名前変換はコチラから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
そして始まった、仕切り直し後の一局目。ようやく舞美はアカギの麻雀をその目で見ることができる。
しかし、雀荘みどりでの観戦と違って、彼女にも危険が及んでいる。舞美にとってもこれが初めての、本当の意味でのギャンブルだ。
アカギの点数は5500点。もう、この局で負ける可能性だってある。それでもアカギはこの流れを逃さなかった。怯まず7巡目リーチ。
これで決まってもおかしくない高い手だったが、それを察したか市川が他家に差し込み、和了ならず。これで市川は4600、アカギは4500。いよいよ後のない戦いに突入する。
「負けないで」
「ハナからそのつもり」
舞美は心臓がばくばくしてきた。身の危険が迫っているからか、それでも屈した様子のないアカギに恋しているからか。
舞美は対面の雀士を見た。盲目らしいが、その気迫はアカギにも劣らない。お互い自分を曲げず、真っ直ぐ勝ちに向かっているのが分かる。おそらく、既に相手の待ち牌は読みきっているのだろう。
舞美はアカギの手元に注目する。彼がまだ出ていない發を捨てた、その時。
「カン…!」
門前手だったはずの市川が、まさかの大明カン。何がしたいのか、意味が分からない。
アカギもまさかの行動に戸惑っているようだ。
「赤木よ………倒してからもめるのはイヤだから釘を刺しておく…」
ここで今オレがリンシャンカイホーでツモあがりした場合は生牌をカンさせたおまえの一人払いになるが…そのことは知っているだろうな…。市川の言葉は恐ろしいものだった。
「……そうなのか………?」
アカギは知らなかったようだ。当然、舞美もそんなことは知らなかったが、これで市川の狙いがハッキリした。今の状態で対戦相手からの直撃が取れる方法の1つがコレなんだから。
めったにおこらない、という安岡の呟きに、市川は「常に何%か可能性はある」と返した。つまり0ではない限り、こちら側は“何かが起こっても”、文句は言えないというわけ。
引くな。
舞美は市川を見た。
が、市川はツモった牌を表側にして晒し、直後、手牌を倒した。ああ! リンシャンカイホーとか言ってたやつが、起こってしまった。
「新ドラをめくってくれ赤木……」
ドラが1つでものれば、アカギの負けが確定する。舞美は息が切れそうになる。そんな、そんなこと、あっちゃならないのに!
カシッ、と音を立ててドラがめくられたものだから、舞美は驚いてびくりと反応した。一筒。……なんとか、市川にはのらず、すんでのところで一命を取り留めた。舞美はほっと息をつこうとして、気がつく。これでアカギは残り1300。いよいよ後がない。全然安心できない。息なんてついてちゃ、ダメ。
「悪運尽きねえヤローだぜ」
市川は笑った。
「イタズラも結構だが、やる相手を間違えたな……赤木…」
(なに、その言い方)
舞美は眉をひそめた。それってまさか……。
と、その時。
「休憩。」
それはアカギの口から出た単語だった。
「外の空気、吸ってくる」
珍しい。アカギが勝負の途中にそんなことを言うなんて。どうしたんだろう?
——アカギは安岡と南郷についてくるよう目で合図した後立ち上がり、ゆっくりと舞美のいる方へ近づいてきた。
しかし、雀荘みどりでの観戦と違って、彼女にも危険が及んでいる。舞美にとってもこれが初めての、本当の意味でのギャンブルだ。
アカギの点数は5500点。もう、この局で負ける可能性だってある。それでもアカギはこの流れを逃さなかった。怯まず7巡目リーチ。
これで決まってもおかしくない高い手だったが、それを察したか市川が他家に差し込み、和了ならず。これで市川は4600、アカギは4500。いよいよ後のない戦いに突入する。
「負けないで」
「ハナからそのつもり」
舞美は心臓がばくばくしてきた。身の危険が迫っているからか、それでも屈した様子のないアカギに恋しているからか。
舞美は対面の雀士を見た。盲目らしいが、その気迫はアカギにも劣らない。お互い自分を曲げず、真っ直ぐ勝ちに向かっているのが分かる。おそらく、既に相手の待ち牌は読みきっているのだろう。
舞美はアカギの手元に注目する。彼がまだ出ていない發を捨てた、その時。
「カン…!」
門前手だったはずの市川が、まさかの大明カン。何がしたいのか、意味が分からない。
アカギもまさかの行動に戸惑っているようだ。
「赤木よ………倒してからもめるのはイヤだから釘を刺しておく…」
ここで今オレがリンシャンカイホーでツモあがりした場合は生牌をカンさせたおまえの一人払いになるが…そのことは知っているだろうな…。市川の言葉は恐ろしいものだった。
「……そうなのか………?」
アカギは知らなかったようだ。当然、舞美もそんなことは知らなかったが、これで市川の狙いがハッキリした。今の状態で対戦相手からの直撃が取れる方法の1つがコレなんだから。
めったにおこらない、という安岡の呟きに、市川は「常に何%か可能性はある」と返した。つまり0ではない限り、こちら側は“何かが起こっても”、文句は言えないというわけ。
引くな。
舞美は市川を見た。
が、市川はツモった牌を表側にして晒し、直後、手牌を倒した。ああ! リンシャンカイホーとか言ってたやつが、起こってしまった。
「新ドラをめくってくれ赤木……」
ドラが1つでものれば、アカギの負けが確定する。舞美は息が切れそうになる。そんな、そんなこと、あっちゃならないのに!
カシッ、と音を立ててドラがめくられたものだから、舞美は驚いてびくりと反応した。一筒。……なんとか、市川にはのらず、すんでのところで一命を取り留めた。舞美はほっと息をつこうとして、気がつく。これでアカギは残り1300。いよいよ後がない。全然安心できない。息なんてついてちゃ、ダメ。
「悪運尽きねえヤローだぜ」
市川は笑った。
「イタズラも結構だが、やる相手を間違えたな……赤木…」
(なに、その言い方)
舞美は眉をひそめた。それってまさか……。
と、その時。
「休憩。」
それはアカギの口から出た単語だった。
「外の空気、吸ってくる」
珍しい。アカギが勝負の途中にそんなことを言うなんて。どうしたんだろう?
——アカギは安岡と南郷についてくるよう目で合図した後立ち上がり、ゆっくりと舞美のいる方へ近づいてきた。