5.岐れ道
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じれったい。向こうの部屋にアカギがいると分かっているのに、それを見られないなんて。それに、全ての声を聞き取れる訳じゃない。だから、舞美には何がどうなっているのかよく分からなかった。襖を開けたいが、見張りの目があってそんなことは不可能だし。
「あのう」
とうとう耐えきれなくなって、舞美は見張り役の黒服に話しかけた。
「わたし、もっとアカギの近くに行きたい」
「……部屋に入ることは許可されていない」
マニュアル通りの黒服。当然と言えば当然な答えに、舞美は肩を落とした。
「そうだよねえ」
しかしそれでも、と舞美は思いつく。
この部屋から出たところにある、縁側からならアカギの様子が観れるのでは? これなら部屋に入らず、アカギに会える。
「っていうのは、どう?」
早速黒服に伝えると、彼は眉をひそめた。
「もう少し時間が経てば見張りの交代がある、その時に聞いてみよう」
駄目だ、と一蹴されなかったことに舞美は希望を感じた。
「ありがとう」
それからは、またすぐにアカギの様子を探るため耳をすませた。
アカギの相手、市川とやらは相当強いらしく、やはりその道のプロというのは伊達じゃないみたいで、アカギも苦戦しているようだ。
舞美は黒服に尋ねずにはいられない。
「アカギが負けたら、どうなるの?」
「その負債は南郷と刑事が背負う。まあ、ほとんどが南郷のものだろうがな。かといって、アカギも無事ではいられないだろうな」
「それは……まあ……そうなる、か」
具体的にどうなってしまうのかは分からないが、何かとんでもないことが起きるだろう、というところまでは予測できる。
舞美はぞっとした。これは普通の中学生が首を突っ込むべきではない。本来ならここに足を踏み入れることだって避けるべきなのに。
それでも、舞美はアカギに惚れ込んでいた。彼の狂気に飲み込まれるように、少女の心はもうアカギのものだった。
だから彼女は、黒服にこう言った。
「もしアカギが負けたら、借金返済に“わたし”も使って」
少しの間の後、黒服は少しだけ声を荒げた。「自分がなにを言っているか、わかっているのか」と。しかし舞美は自分が何を言ったのか、わかっているようで理解 っていない。
それはただ、彼女の心には“ブレーキ”がなかったというだけであった。
「あのう」
とうとう耐えきれなくなって、舞美は見張り役の黒服に話しかけた。
「わたし、もっとアカギの近くに行きたい」
「……部屋に入ることは許可されていない」
マニュアル通りの黒服。当然と言えば当然な答えに、舞美は肩を落とした。
「そうだよねえ」
しかしそれでも、と舞美は思いつく。
この部屋から出たところにある、縁側からならアカギの様子が観れるのでは? これなら部屋に入らず、アカギに会える。
「っていうのは、どう?」
早速黒服に伝えると、彼は眉をひそめた。
「もう少し時間が経てば見張りの交代がある、その時に聞いてみよう」
駄目だ、と一蹴されなかったことに舞美は希望を感じた。
「ありがとう」
それからは、またすぐにアカギの様子を探るため耳をすませた。
アカギの相手、市川とやらは相当強いらしく、やはりその道のプロというのは伊達じゃないみたいで、アカギも苦戦しているようだ。
舞美は黒服に尋ねずにはいられない。
「アカギが負けたら、どうなるの?」
「その負債は南郷と刑事が背負う。まあ、ほとんどが南郷のものだろうがな。かといって、アカギも無事ではいられないだろうな」
「それは……まあ……そうなる、か」
具体的にどうなってしまうのかは分からないが、何かとんでもないことが起きるだろう、というところまでは予測できる。
舞美はぞっとした。これは普通の中学生が首を突っ込むべきではない。本来ならここに足を踏み入れることだって避けるべきなのに。
それでも、舞美はアカギに惚れ込んでいた。彼の狂気に飲み込まれるように、少女の心はもうアカギのものだった。
だから彼女は、黒服にこう言った。
「もしアカギが負けたら、借金返済に“わたし”も使って」
少しの間の後、黒服は少しだけ声を荒げた。「自分がなにを言っているか、わかっているのか」と。しかし舞美は自分が何を言ったのか、わかっているようで
それはただ、彼女の心には“ブレーキ”がなかったというだけであった。