4.丸い弾
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「確かに場所は分かるけど……」
でも、安岡さんに来るなって、言われたし。
躊躇していると、アカギは舞美の手首を握った拳に力を込め、ぎゅうと握った。
舞美はそんなアカギに驚いて、はっと彼の顔を見る。
「あんたがオレを届けたことにすれば、中に入れてもらえるだろ」
「あ……。それは良い考え」
舞美は感心したように頷いて、アカギを見た。
アカギは手首への力を少し緩める。
「じゃ、決まりだね。行こうか……あんたもろとも、死線を潜りに」
にっと笑った少年は、腕をくいと引いて舞美を立ち上がらせた。太くないのに力強い。腕の筋肉に男らしさを感じた舞美は、ふと思った。
(アカギもわたしに女らしさを感じることあるのかな)
外に出ると、舞美は早速例の料亭へと足を進めた。もう遅刻してるっていうのに、アカギはあくまでも焦らずゆっくりついてくる。
「怪我、痛むの?」
「いや全然」
ここから目的地はそう遠くないが、数分の遅れが命取りになるかもしれない。今度は舞美がアカギの腕を引く番だった。
「それならもっと急ごう」
「……あんたって案外せっかちなんだ」
「そういうわけじゃないよ。この間に南郷さんが代わりに負けちゃうかもしれないじゃん」
「ま、その時はその時だな」
「それはいや! アカギの麻雀、見たいもん」
むっとしながら言うと、なぜかアカギに笑われた。
「そんなに言うなら、見せてあげる」
「えっ……」
舞美は最後の曲がり角を越え、ようやく勝負の場へ到着したことに気がついた。
というのも、店の周りには組の回し者と思われる人たちが番をしていたのだ。これは相手のところの者ではなく、仲介人だと思われる。
「ほら。あんたはオレを連れてきたんだろ」
「……うん」
アカギに後押しされたので、舞美は彼の腕を離してから彼の前に立ち、堂々と正面の方へ歩いて行った。
小柄な舞美はすぐに筋者に見つかり、話しかけられる。その人は、後ろの白髪を見たらすぐに察したようだった。
「ようやく来たか……彼が赤木しげるだな?」
「はい、連れて参りました! ええと、中までご案内いただけますか」
こう聞くことで、舞美は自然な流れで料亭に入り込むつもりだった。しかし、黒服は「ご苦労」と言ったきり、舞美を相手にしない。
やはり舞美のことは中に入れないよう手配されているというわけか。
ちぇっ。分かっていたことだけれど、やはり腹が立つ。
「あのさ、」
そんな時、口を出したのはアカギだった。
「別室でも良いから、東雲を中に入れてくれない? できれば勝負の熱が感じられるところにさ」
舞美は相手の男をぱっと見つめる。
「ふむ。別室でも……か」
アカギの条件に、数人が集まってコソコソ話し合い始めた。少しして、1人の男が頷く。
これはもしや、OKということか。
「隣の部屋なら空いている。勝負の部屋との壁はなく、襖一枚のみで隔たれているところだ」
「いいじゃない。あんた、その部屋に置いてもらいな」
「やった……。ありがとうございます」
「ああ。では、こっちについてきてくれ。もう勝負は始まっている」
喜びつつも焦る舞美をよそに、アカギは少しだけ口元を緩めながら彼について行った。舞美はそんなアカギの後を追う。
「東雲舞美はこっちだ」
「はい」
舞美は、アカギとの別れ際、こそりと耳打ちした。
「アカギ、頑張って」
彼はいつもの表情のまま頷いてから、誰にともなく呟いた。
「どちらかが倒れるまで。」
でも、安岡さんに来るなって、言われたし。
躊躇していると、アカギは舞美の手首を握った拳に力を込め、ぎゅうと握った。
舞美はそんなアカギに驚いて、はっと彼の顔を見る。
「あんたがオレを届けたことにすれば、中に入れてもらえるだろ」
「あ……。それは良い考え」
舞美は感心したように頷いて、アカギを見た。
アカギは手首への力を少し緩める。
「じゃ、決まりだね。行こうか……あんたもろとも、死線を潜りに」
にっと笑った少年は、腕をくいと引いて舞美を立ち上がらせた。太くないのに力強い。腕の筋肉に男らしさを感じた舞美は、ふと思った。
(アカギもわたしに女らしさを感じることあるのかな)
外に出ると、舞美は早速例の料亭へと足を進めた。もう遅刻してるっていうのに、アカギはあくまでも焦らずゆっくりついてくる。
「怪我、痛むの?」
「いや全然」
ここから目的地はそう遠くないが、数分の遅れが命取りになるかもしれない。今度は舞美がアカギの腕を引く番だった。
「それならもっと急ごう」
「……あんたって案外せっかちなんだ」
「そういうわけじゃないよ。この間に南郷さんが代わりに負けちゃうかもしれないじゃん」
「ま、その時はその時だな」
「それはいや! アカギの麻雀、見たいもん」
むっとしながら言うと、なぜかアカギに笑われた。
「そんなに言うなら、見せてあげる」
「えっ……」
舞美は最後の曲がり角を越え、ようやく勝負の場へ到着したことに気がついた。
というのも、店の周りには組の回し者と思われる人たちが番をしていたのだ。これは相手のところの者ではなく、仲介人だと思われる。
「ほら。あんたはオレを連れてきたんだろ」
「……うん」
アカギに後押しされたので、舞美は彼の腕を離してから彼の前に立ち、堂々と正面の方へ歩いて行った。
小柄な舞美はすぐに筋者に見つかり、話しかけられる。その人は、後ろの白髪を見たらすぐに察したようだった。
「ようやく来たか……彼が赤木しげるだな?」
「はい、連れて参りました! ええと、中までご案内いただけますか」
こう聞くことで、舞美は自然な流れで料亭に入り込むつもりだった。しかし、黒服は「ご苦労」と言ったきり、舞美を相手にしない。
やはり舞美のことは中に入れないよう手配されているというわけか。
ちぇっ。分かっていたことだけれど、やはり腹が立つ。
「あのさ、」
そんな時、口を出したのはアカギだった。
「別室でも良いから、東雲を中に入れてくれない? できれば勝負の熱が感じられるところにさ」
舞美は相手の男をぱっと見つめる。
「ふむ。別室でも……か」
アカギの条件に、数人が集まってコソコソ話し合い始めた。少しして、1人の男が頷く。
これはもしや、OKということか。
「隣の部屋なら空いている。勝負の部屋との壁はなく、襖一枚のみで隔たれているところだ」
「いいじゃない。あんた、その部屋に置いてもらいな」
「やった……。ありがとうございます」
「ああ。では、こっちについてきてくれ。もう勝負は始まっている」
喜びつつも焦る舞美をよそに、アカギは少しだけ口元を緩めながら彼について行った。舞美はそんなアカギの後を追う。
「東雲舞美はこっちだ」
「はい」
舞美は、アカギとの別れ際、こそりと耳打ちした。
「アカギ、頑張って」
彼はいつもの表情のまま頷いてから、誰にともなく呟いた。
「どちらかが倒れるまで。」