4.丸い弾
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そこにいたのは、拳銃を構えて薄笑いを浮かべるアカギと、その場にひれ伏すように足を押さえた不良たちだった。さっきの音は、アカギが発砲した時のものだったんだ。
舞美は物陰からそっとアカギを見つめた。
アカギも怪我をしている。頭から血が出ているようだ。今すぐにでも介抱したいが、彼を見ると平気そうでもある。
ふと目を向けた先にある、地面に転がった鉄の棒が、先に手を出したのはあちら側だということを示していた。アカギは喧嘩を買ったんだ。
今出て行くのは、危険。
「ククク…切れたセンは繋がったかい……?」
アカギは口元を緩めたまま、1人の男の口へ拳銃を突っ込んだ。舞美はアカギが人を殺すのかと恐怖したが、とにかく口を抑え、余計な声を出さないよう用心した。
(アカギ、一体、どうするつもりなの⁈)
「こんなヤロー殺しちまえってことは、自分も殺されてもかまわないってことだ」
アカギを知る舞美でさえぞっとするような声で、アカギは説く。舞美は鳥肌を立てた。
「そうだろ……? そういう意味なんだろ…?」
「ひっ…! や、やめろっ…!」
「暴れるなって…。指はトリガーにかかってるんだぜ…」
「う…」
「フフ…。オレがまだ子供の頃……虫をひねり殺したことがある……躊躇したこともある…」
舞美はそっと身を乗り出して、アカギの表情を確認した。彼は澄んだ瞳のまま、続ける。
「…今…そんな気分だよ…」
舞美は自分に驚いていた。
彼の狂気にも惚れ込んでいる、舞美自身に。
普通の人なら恐怖を覚えるところだが、舞美はアカギを好いているからか、そんな部分に魅力さえ感じてしまう。
ああ、これが赤木しげるなのだ、と。
アカギはキリキリとトリガーをひき、空打ちさせた。弾は出ないのか。そう思わせた挙句、「まだだ…!」と、一方的な地獄のロシアンルーレットを開始する。いつ弾が出るのか、いつ自分が死ぬのか。強制的に何度も死線を彷徨わされる男の方は、もう正気を保てない。
舞美ももう正気ではなかった。
こんな状況に出くわしたことがないからかもしれない。
ただ、アカギが美しく思えた。
「うせろ…! 1分以内にオレから離れろ」
アカギは拳銃をしまってから、彼ら三人組を睨んだ。それはそれは恐ろしい表情で。
「いらつくんだよてめえら…。殺すぞ…!」
彼らは悲鳴を上げながら退散していく。
アカギの完全勝利だ。
舞美はようやく、我に返り自分の使命を思い出した。このままじゃ、勝負が大変なことに。いや、それより、アカギを助けないと。まだ頭から血が流れている。
この、アカギとの距離を詰めたい。
舞美は勇気を出し、物陰から出た。
「アカギ」
「……あんた、見てたの」
拳銃をしまったアカギはいつものアカギにも見えた。
「なにしてるの、東雲」
舞美は物陰からそっとアカギを見つめた。
アカギも怪我をしている。頭から血が出ているようだ。今すぐにでも介抱したいが、彼を見ると平気そうでもある。
ふと目を向けた先にある、地面に転がった鉄の棒が、先に手を出したのはあちら側だということを示していた。アカギは喧嘩を買ったんだ。
今出て行くのは、危険。
「ククク…切れたセンは繋がったかい……?」
アカギは口元を緩めたまま、1人の男の口へ拳銃を突っ込んだ。舞美はアカギが人を殺すのかと恐怖したが、とにかく口を抑え、余計な声を出さないよう用心した。
(アカギ、一体、どうするつもりなの⁈)
「こんなヤロー殺しちまえってことは、自分も殺されてもかまわないってことだ」
アカギを知る舞美でさえぞっとするような声で、アカギは説く。舞美は鳥肌を立てた。
「そうだろ……? そういう意味なんだろ…?」
「ひっ…! や、やめろっ…!」
「暴れるなって…。指はトリガーにかかってるんだぜ…」
「う…」
「フフ…。オレがまだ子供の頃……虫をひねり殺したことがある……躊躇したこともある…」
舞美はそっと身を乗り出して、アカギの表情を確認した。彼は澄んだ瞳のまま、続ける。
「…今…そんな気分だよ…」
舞美は自分に驚いていた。
彼の狂気にも惚れ込んでいる、舞美自身に。
普通の人なら恐怖を覚えるところだが、舞美はアカギを好いているからか、そんな部分に魅力さえ感じてしまう。
ああ、これが赤木しげるなのだ、と。
アカギはキリキリとトリガーをひき、空打ちさせた。弾は出ないのか。そう思わせた挙句、「まだだ…!」と、一方的な地獄のロシアンルーレットを開始する。いつ弾が出るのか、いつ自分が死ぬのか。強制的に何度も死線を彷徨わされる男の方は、もう正気を保てない。
舞美ももう正気ではなかった。
こんな状況に出くわしたことがないからかもしれない。
ただ、アカギが美しく思えた。
「うせろ…! 1分以内にオレから離れろ」
アカギは拳銃をしまってから、彼ら三人組を睨んだ。それはそれは恐ろしい表情で。
「いらつくんだよてめえら…。殺すぞ…!」
彼らは悲鳴を上げながら退散していく。
アカギの完全勝利だ。
舞美はようやく、我に返り自分の使命を思い出した。このままじゃ、勝負が大変なことに。いや、それより、アカギを助けないと。まだ頭から血が流れている。
この、アカギとの距離を詰めたい。
舞美は勇気を出し、物陰から出た。
「アカギ」
「……あんた、見てたの」
拳銃をしまったアカギはいつものアカギにも見えた。
「なにしてるの、東雲」