4.丸い弾
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そして。
赤木 と暴力団川田組との800万をかけた麻雀勝負、その決戦当日——午後6時。
勝負は8時から赤坂の料亭で行われる。もちろん舞美はそこに立ち入ることはできない。だからその2時間前、料亭近くのサ店に4人集合し、最後のミーティングをする予定だった。
舞美にとってはこれが、勝負前に、最後にアカギに会えるチャンスだった。
しかし…
かんじんの赤木 が来ない…!
「アカギ、なにしてるんだろ」
舞美はぽつりと呟いて、先日ちらりと見た銃のことを考えた。まさか、あれが関係してはいないよね。そんなはずない、だってアカギが騒ぎを起こす利点なんてなにも無いはずだから。
しかしそれでも、一向にアカギは来なかった。
ミーティングをすっぽかしているだけでなく、勝負そのものに遅刻しそうな勢いだ。もう拉致されてしまったのかもしれない、と安岡が苦しそうに言う。
そうなれば、もう南郷がアカギの代わりに自分で打つしかなくなる。舞美はぞっとした。南郷が向こうに勝てるわけないから。
……アカギは勝負に怖気づいて逃げるわけないし、かと言って安岡の言うように拉致されたとも考えにくい。何しろ、彼は銃を持っている。
やはり、考えるべきは彼がどこかでその銃を使おうとしているということだ。ここまで来たら、そうとしか考えられない。たった今、どこかで、アカギは危険な目に遭っている。
とは言え……ああ、時間がない。
舞美はすくっとその場に立った。
「もうすぐ、料亭に行かなきゃいけない時間でしょ。流石におかしい。わたし、アカギを探しに行ってくる」
「でも、舞美ちゃん、」
「大丈夫。この辺りはわたし、知り尽くしてるから。それよりアカギがいないことの方が大変でしょ」
「それはそうだが……どうするつもりだ?」
「見つけたら、料亭までなんとかして連れて行く。2人は先に行ってて」
「……分かった。たしかに、もう舞美ちゃんに頼むしか手は残されていないみたいだ」
「うん……なんとか見つけるね」
こうして、2人と別れ、街にひとり駆け出した舞美。
当てはなかった。ただ、とにかく自分ならアカギにたどり着いて会えるはずだ、といった根拠のない自信をもっていた。
アカギへの想いが、自分を彼の元へ導いてくれると信じ切っていたのかもしれない。
彼女は初めてアカギを探した時のように、街を走り回る。少しずつ日が沈み出す。
舞美は焦った。
アカギ、どこにいるの?
彼はこんなところにいるだろうか、それとも、こっちかな。
探し回るうち、舞美は海の方まで来てしまった。
どうしようかと頭を抱えると、その瞬間、「パァン」と乾いた銃声のような音が響いた。
「きゃっ、なにっ⁈」
叫んだのち、彼女の頭に思い浮かんだのは、そこにアカギがいるかもしれないということだった。
例えばその音が銃声だとして、それを使ったのがアカギとは限らない。その場にアカギがいるのかさえ分からない。行ったところで、全く関係のない闘争に巻き込まれるかもしれない。
しかし、舞美にとってその銃声は希望そのものだった。ようやく、手がかりらしい手がかりを耳にしたのだ。諦めるわけにはいかない。
音のした方へと注意深く近づいていく舞美。ドキドキと心臓が高鳴る。
“女は度胸。”
そんな言葉を心に、舞美は歩みを早めた。
そしてとうとう、舞美はそこで何が行われているのかを知ることとなる。
「……アカギ」
勝負は8時から赤坂の料亭で行われる。もちろん舞美はそこに立ち入ることはできない。だからその2時間前、料亭近くのサ店に4人集合し、最後のミーティングをする予定だった。
舞美にとってはこれが、勝負前に、最後にアカギに会えるチャンスだった。
しかし…
かんじんの
「アカギ、なにしてるんだろ」
舞美はぽつりと呟いて、先日ちらりと見た銃のことを考えた。まさか、あれが関係してはいないよね。そんなはずない、だってアカギが騒ぎを起こす利点なんてなにも無いはずだから。
しかしそれでも、一向にアカギは来なかった。
ミーティングをすっぽかしているだけでなく、勝負そのものに遅刻しそうな勢いだ。もう拉致されてしまったのかもしれない、と安岡が苦しそうに言う。
そうなれば、もう南郷がアカギの代わりに自分で打つしかなくなる。舞美はぞっとした。南郷が向こうに勝てるわけないから。
……アカギは勝負に怖気づいて逃げるわけないし、かと言って安岡の言うように拉致されたとも考えにくい。何しろ、彼は銃を持っている。
やはり、考えるべきは彼がどこかでその銃を使おうとしているということだ。ここまで来たら、そうとしか考えられない。たった今、どこかで、アカギは危険な目に遭っている。
とは言え……ああ、時間がない。
舞美はすくっとその場に立った。
「もうすぐ、料亭に行かなきゃいけない時間でしょ。流石におかしい。わたし、アカギを探しに行ってくる」
「でも、舞美ちゃん、」
「大丈夫。この辺りはわたし、知り尽くしてるから。それよりアカギがいないことの方が大変でしょ」
「それはそうだが……どうするつもりだ?」
「見つけたら、料亭までなんとかして連れて行く。2人は先に行ってて」
「……分かった。たしかに、もう舞美ちゃんに頼むしか手は残されていないみたいだ」
「うん……なんとか見つけるね」
こうして、2人と別れ、街にひとり駆け出した舞美。
当てはなかった。ただ、とにかく自分ならアカギにたどり着いて会えるはずだ、といった根拠のない自信をもっていた。
アカギへの想いが、自分を彼の元へ導いてくれると信じ切っていたのかもしれない。
彼女は初めてアカギを探した時のように、街を走り回る。少しずつ日が沈み出す。
舞美は焦った。
アカギ、どこにいるの?
彼はこんなところにいるだろうか、それとも、こっちかな。
探し回るうち、舞美は海の方まで来てしまった。
どうしようかと頭を抱えると、その瞬間、「パァン」と乾いた銃声のような音が響いた。
「きゃっ、なにっ⁈」
叫んだのち、彼女の頭に思い浮かんだのは、そこにアカギがいるかもしれないということだった。
例えばその音が銃声だとして、それを使ったのがアカギとは限らない。その場にアカギがいるのかさえ分からない。行ったところで、全く関係のない闘争に巻き込まれるかもしれない。
しかし、舞美にとってその銃声は希望そのものだった。ようやく、手がかりらしい手がかりを耳にしたのだ。諦めるわけにはいかない。
音のした方へと注意深く近づいていく舞美。ドキドキと心臓が高鳴る。
“女は度胸。”
そんな言葉を心に、舞美は歩みを早めた。
そしてとうとう、舞美はそこで何が行われているのかを知ることとなる。
「……アカギ」