3.酔狂者
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ネオン街には目もくれず、舞美の家を目指す。アカギと一緒に歩く時間は、舞美にとっては至福のひと時だった。彼といるというだけで、なんでもないことが楽しく感じてしまう。
舞美は、少し疑問に思っていたことを尋ねてみることにした。
「そう言えば、どうしてわたしの家からすぐに出て行ってしまったの?」
「あの日はとりあえずいっときの睡魔を抑えたかっただけ。元々あんたに世話になるつもりはなかった……」
「なんだ。そういうことかぁ」
自分の家の居心地が悪かったわけではないのだと分かり、微かに安堵する。
家に到着してしまうと、アカギは上がろうとはせず、玄関先で「じゃ、オレはここで」とクールに言い放った。
「え、もう泊まる場所見つけたってこと?」
「まぁね」
少し残念に思ったが、それを口に出すのはやめておいた。
「気をつけてね」
「確かに……面倒ごとを減らすに越したことはない」
何か含みのある言い方をされ、舞美は違和感を覚えたが、とにかくアカギが無事ならなんでも良いと思って、頷いた。
「オレはあんたの方が気をつけるべきだと思うけどね」
「え、わたし?」
「ヤクザに顔が割れてるんだ。いつ拉致・監禁されてもおかしくない」
相手側が舞美を人質にとって、アカギとの勝負を無かったことにするかもしれない。そんな風にして自分がアカギに迷惑をかけるなんて、舞美にとっては耐えられない。
「分かった。わたし、勝負の日までは夜外出しないようにする」
そう告げると、アカギは満足したようだった。
「じゃ」
片手をあげ、闇に消えていくアカギ。
その後ろ姿が見えなくなるまで舞美は彼を見守る。それくらい、許されるでしょ?
しかし距離が遠くなると、やはり彼とは住む世界が違うのだということを改めて気付かされる。
アカギはギャンブルの天才だ。
舞美のような普通の女が長く一緒にいられるような人間じゃない。それに、アカギは危険を追い求めるから、舞美のことを側に置いておきたいとも思わないだろう。
はぁ、と舞美はため息をつく。
(どれもこれも、全部わたしを虜にした、赤木しげるの所為 なんだから)
3.酔狂者〈完〉
舞美は、少し疑問に思っていたことを尋ねてみることにした。
「そう言えば、どうしてわたしの家からすぐに出て行ってしまったの?」
「あの日はとりあえずいっときの睡魔を抑えたかっただけ。元々あんたに世話になるつもりはなかった……」
「なんだ。そういうことかぁ」
自分の家の居心地が悪かったわけではないのだと分かり、微かに安堵する。
家に到着してしまうと、アカギは上がろうとはせず、玄関先で「じゃ、オレはここで」とクールに言い放った。
「え、もう泊まる場所見つけたってこと?」
「まぁね」
少し残念に思ったが、それを口に出すのはやめておいた。
「気をつけてね」
「確かに……面倒ごとを減らすに越したことはない」
何か含みのある言い方をされ、舞美は違和感を覚えたが、とにかくアカギが無事ならなんでも良いと思って、頷いた。
「オレはあんたの方が気をつけるべきだと思うけどね」
「え、わたし?」
「ヤクザに顔が割れてるんだ。いつ拉致・監禁されてもおかしくない」
相手側が舞美を人質にとって、アカギとの勝負を無かったことにするかもしれない。そんな風にして自分がアカギに迷惑をかけるなんて、舞美にとっては耐えられない。
「分かった。わたし、勝負の日までは夜外出しないようにする」
そう告げると、アカギは満足したようだった。
「じゃ」
片手をあげ、闇に消えていくアカギ。
その後ろ姿が見えなくなるまで舞美は彼を見守る。それくらい、許されるでしょ?
しかし距離が遠くなると、やはり彼とは住む世界が違うのだということを改めて気付かされる。
アカギはギャンブルの天才だ。
舞美のような普通の女が長く一緒にいられるような人間じゃない。それに、アカギは危険を追い求めるから、舞美のことを側に置いておきたいとも思わないだろう。
はぁ、と舞美はため息をつく。
(どれもこれも、全部わたしを虜にした、赤木しげるの
3.酔狂者〈完〉