21.入り目*[終]
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こうして一瞬で全てを晴らした舞美は、酒盛りを進めながら普段通り……いや、数倍増しで、赤木しげるにうっとりしていた。
さっきの麻雀の話が頭に残って、目の前のアカギを見つめて。はぁ、と感嘆のため息をつく。
隣に並べるという幸せを何度だって噛み締める。もうこうなっては愛が止まらない。また頭に血が上っていく。そしてつい、彼の横顔を見て思ったことを口走った。
「わたし、会った時から思ってたんだけど。アカギって本当に整った顔してる」
そう言えば、アカギのことが好きすぎて 容姿を直接褒めることは少なかった。急な舞美の発言にアカギは一瞬目を丸くして、ほんの少しだけ視線をずらし、
「そりゃどうも……」
と小さく言った。
その様子に、きゅん、と胸が高鳴る。
え、どういうこと……。効いている?
アカギに今の言葉が効いているというの……?
まじまじと彼の顔を見つめ続けると、なんとなくアカギも居心地が悪いようで、「何……」と横目でこちらを見てくる。その表情はさながら、懐いているのかいないんだか分からないその辺の猫のようだ。心が締め付けられて、その愛らしさに歯を食いしばってしまうほどの。
「実はアカギって、かわいいって言われること多い?」
「何言ってんだあんた……」
アカギはさらに困ったように酒を継ぎ足した。
「あんたぐらいじゃない、オレにそんなこと言うなんて」
「え……あ、そうなの……?」
確かにアカギはかっこいいと言われていたような気がする。勿論舞美もそう思っている。しかしこんなアカギをかわいいと思わない女なんていないはずなのに……。
あ。
「もしかして、わたしの前だけってこと……?」
「ん……?」
目に微笑をたたえ、肘をついて少しだけ首を傾げるアカギ。空いた手にはゆらゆら波立つ酒。棘のない、柔らかな空気。
舞美は固まった。
無防備。素。油断。隙。
そういった単語が脳内に並んで、目が離せなくなる。
ずっとそうだったのかもしれない。
もう既に、他の人から見た赤木しげると、東雲舞美から見た赤木しげるは異なっていたのかも。
もしかしたらこの表情は舞美だけに見せてくれるものなのでは? 今までアカギが関わってきた女にも見せていない彼の性質を、舞美の前ではさらけ出せているとしたら……?
彼はこれに気づいているのだろうか。
そう思った時、ふと分かった。
——もうアカギは、“捕まってくれている”状態ではない。
さっきの麻雀の話が頭に残って、目の前のアカギを見つめて。はぁ、と感嘆のため息をつく。
隣に並べるという幸せを何度だって噛み締める。もうこうなっては愛が止まらない。また頭に血が上っていく。そしてつい、彼の横顔を見て思ったことを口走った。
「わたし、会った時から思ってたんだけど。アカギって本当に整った顔してる」
そう言えば、アカギのことが好きすぎて 容姿を直接褒めることは少なかった。急な舞美の発言にアカギは一瞬目を丸くして、ほんの少しだけ視線をずらし、
「そりゃどうも……」
と小さく言った。
その様子に、きゅん、と胸が高鳴る。
え、どういうこと……。効いている?
アカギに今の言葉が効いているというの……?
まじまじと彼の顔を見つめ続けると、なんとなくアカギも居心地が悪いようで、「何……」と横目でこちらを見てくる。その表情はさながら、懐いているのかいないんだか分からないその辺の猫のようだ。心が締め付けられて、その愛らしさに歯を食いしばってしまうほどの。
「実はアカギって、かわいいって言われること多い?」
「何言ってんだあんた……」
アカギはさらに困ったように酒を継ぎ足した。
「あんたぐらいじゃない、オレにそんなこと言うなんて」
「え……あ、そうなの……?」
確かにアカギはかっこいいと言われていたような気がする。勿論舞美もそう思っている。しかしこんなアカギをかわいいと思わない女なんていないはずなのに……。
あ。
「もしかして、わたしの前だけってこと……?」
「ん……?」
目に微笑をたたえ、肘をついて少しだけ首を傾げるアカギ。空いた手にはゆらゆら波立つ酒。棘のない、柔らかな空気。
舞美は固まった。
無防備。素。油断。隙。
そういった単語が脳内に並んで、目が離せなくなる。
ずっとそうだったのかもしれない。
もう既に、他の人から見た赤木しげると、東雲舞美から見た赤木しげるは異なっていたのかも。
もしかしたらこの表情は舞美だけに見せてくれるものなのでは? 今までアカギが関わってきた女にも見せていない彼の性質を、舞美の前ではさらけ出せているとしたら……?
彼はこれに気づいているのだろうか。
そう思った時、ふと分かった。
——もうアカギは、“捕まってくれている”状態ではない。