20.孤立牌
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時が止まる。
咄嗟に彼から目を逸らした。
そして、呼吸が生き返る前に、口を開ける。
しかし言葉が見つからない舞美は、困ったようにアカギの顔を盗み見た。
彼はその一連の動作を楽しんでいるかのように目元で笑っていた。舞美は混乱したまま赤面して……その勢いのまま、声を出す。
「それは、その……」
しかしその先が続かない。
アカギはゆったりと構えている。
もう彼に答えをせがむ必要はなかった。
謎を解く材料は全て揃っている。
彼の執着の矛先、“孤立牌”が鍵。
“それ”は序盤から彼の手の内に入り込んでいた。
“それ”の隣はずっと空いていた。
アカギは“それ”を捨てはしなかった。
“それ”がくっつくのを待っていたから。
実は片割れの方も、そうなる時機をずっと待っていた。
アカギは、いずれ2つが隣に並ぶとわかっていた。
他の選択肢は選ばなかった。
そいつらには面白みがなかったから。
——彼は最初から、“舞美”のことを意識していた。
もう十分だ。
あの女は「先に出会っただけのくせに。」と言った。
しかし、アカギが捨てなかったのは、序盤からそこにあったからではない。
たとえいつ出会うとしても、結末は変わらない。
アカギが勝負で嘘をつかないことは、舞美が一番よく知っている。もう証明は終わっていた。そしてこれから先、二度と他人の言葉に惑わされることはない。
しっかりと顔を上げると、アカギは肘をついていた。
「で、解決した?」
「……うん」
彼はふうんと言い、続けた。
「いざという時は、“そいつ”と心中する覚悟をしている。そばに残す時は」
「えっ⁈」
舞美は動転し、目を泳がせた。
なに、今、何か、とんでもないことを言われた。
アカギが、心中……、それって、死が二人を別つまでずっと一緒って……えっ? わたしと?
あまりのことに興奮してゴンと膝をぶつけ、舞美は「痛ッ」とそこをさする。
「ククク……何してんの。今ので納得できたでしょ、オレの打ち筋」
「あ、うん、麻雀ね。大丈夫、もう全然、ホントに……かなり分かったと思うわ。イヤ、本当、あなたって想像を超えてくる。またさらに好きになったわ、えっと……麻雀が」
20.孤立牌〈完〉
咄嗟に彼から目を逸らした。
そして、呼吸が生き返る前に、口を開ける。
しかし言葉が見つからない舞美は、困ったようにアカギの顔を盗み見た。
彼はその一連の動作を楽しんでいるかのように目元で笑っていた。舞美は混乱したまま赤面して……その勢いのまま、声を出す。
「それは、その……」
しかしその先が続かない。
アカギはゆったりと構えている。
もう彼に答えをせがむ必要はなかった。
謎を解く材料は全て揃っている。
彼の執着の矛先、“孤立牌”が鍵。
“それ”は序盤から彼の手の内に入り込んでいた。
“それ”の隣はずっと空いていた。
アカギは“それ”を捨てはしなかった。
“それ”がくっつくのを待っていたから。
実は片割れの方も、そうなる時機をずっと待っていた。
アカギは、いずれ2つが隣に並ぶとわかっていた。
他の選択肢は選ばなかった。
そいつらには面白みがなかったから。
——彼は最初から、“舞美”のことを意識していた。
もう十分だ。
あの女は「先に出会っただけのくせに。」と言った。
しかし、アカギが捨てなかったのは、序盤からそこにあったからではない。
たとえいつ出会うとしても、結末は変わらない。
アカギが勝負で嘘をつかないことは、舞美が一番よく知っている。もう証明は終わっていた。そしてこれから先、二度と他人の言葉に惑わされることはない。
しっかりと顔を上げると、アカギは肘をついていた。
「で、解決した?」
「……うん」
彼はふうんと言い、続けた。
「いざという時は、“そいつ”と心中する覚悟をしている。そばに残す時は」
「えっ⁈」
舞美は動転し、目を泳がせた。
なに、今、何か、とんでもないことを言われた。
アカギが、心中……、それって、死が二人を別つまでずっと一緒って……えっ? わたしと?
あまりのことに興奮してゴンと膝をぶつけ、舞美は「痛ッ」とそこをさする。
「ククク……何してんの。今ので納得できたでしょ、オレの打ち筋」
「あ、うん、麻雀ね。大丈夫、もう全然、ホントに……かなり分かったと思うわ。イヤ、本当、あなたって想像を超えてくる。またさらに好きになったわ、えっと……麻雀が」
20.孤立牌〈完〉