20.孤立牌
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「心当たり、ですって?」
舞美の心臓はどきりと音を立てる。
「あんたがオレの麻雀に嗅ぎとった違和感の正体」
アカギは言った。
舞美は自分の感覚が間違っていなかったことに頷く。
「そう、そうなの……上手く言えないんだけど、何か不思議なの。例えば、アカギはさっきああ言ったけど、隣牌が来ると思っていたとしても、それが孤立牌を残す理由にはならないでしょ? 別に捨てたってよかった。選択肢は他にもあったはずなんだ」
「まあね」
「かと言って……どの選択肢をあなたが選ぼうが、わたしは全てに理由を求めはしない。アカギは手なりで打つ時もあるし。でも、今回は明らかに、あなたの強い意思が反映されていたような気がするの。とんでもない勝負所に見えたの」
舞美は肩をすくめた。
「なんでかな……? その心当たりっていうのを、教えてほしい」
アカギはまた静かに口を開く。
「……他の選択肢を全部捨てたのは、面白みを感じなかったから。」
「面白み?」
「オレがほんとうに待ってたのは……そういった好機。オレの麻雀は、素朴に派手なのがいい。」
素朴、そして派手。それらは正反対な言葉だ。しかし“素朴に派手”な麻雀、というのは彼の打ちまわしをよく表現できている、と舞美は思った。
同時に、「まあね。待ってたから。」というアカギの発言は多重な意味を含んでいることを知り、唾をのんだ。牌に固執したのは、山に片割れの牌が待っている、と知って いたから。そしてアカギがその選択肢に手を伸ばしたのは、アカギ自身が“自分の麻雀”を打つチャンスをじっと待っていたから。
正確にはまだ理解しきれていないが、くっつきテンパイという面白みを追いかけたかったということだろう、と舞美は受け取った。
「なるほど……わかった、かもしれない」
「あんたがこのテンパイに敏感に反応した理由は、オレが何かに固執することに慣れていなかったから。そして——オレが最近になって、“打ち方”を意識し始めたから」
「えっ?」
「オレの心当たりはこれのこと」
「待って、やっぱりわたし、ついていけてないみたい」
混乱しそうになって、一旦アカギを止める。
彼はゆっくりと舞美の言葉を待つ。
「えっと、まず……。アカギ、打ち方……変えたの?」
「大きく変えてはない。けど、ただ、少し、意識するようにはなった」
「……意識って、なにを?」
アカギはしっかりと舞美と目を合わせた。
「あんたのことを」
舞美の心臓はどきりと音を立てる。
「あんたがオレの麻雀に嗅ぎとった違和感の正体」
アカギは言った。
舞美は自分の感覚が間違っていなかったことに頷く。
「そう、そうなの……上手く言えないんだけど、何か不思議なの。例えば、アカギはさっきああ言ったけど、隣牌が来ると思っていたとしても、それが孤立牌を残す理由にはならないでしょ? 別に捨てたってよかった。選択肢は他にもあったはずなんだ」
「まあね」
「かと言って……どの選択肢をあなたが選ぼうが、わたしは全てに理由を求めはしない。アカギは手なりで打つ時もあるし。でも、今回は明らかに、あなたの強い意思が反映されていたような気がするの。とんでもない勝負所に見えたの」
舞美は肩をすくめた。
「なんでかな……? その心当たりっていうのを、教えてほしい」
アカギはまた静かに口を開く。
「……他の選択肢を全部捨てたのは、面白みを感じなかったから。」
「面白み?」
「オレがほんとうに待ってたのは……そういった好機。オレの麻雀は、素朴に派手なのがいい。」
素朴、そして派手。それらは正反対な言葉だ。しかし“素朴に派手”な麻雀、というのは彼の打ちまわしをよく表現できている、と舞美は思った。
同時に、「まあね。待ってたから。」というアカギの発言は多重な意味を含んでいることを知り、唾をのんだ。牌に固執したのは、山に片割れの牌が待っている、と
正確にはまだ理解しきれていないが、くっつきテンパイという面白みを追いかけたかったということだろう、と舞美は受け取った。
「なるほど……わかった、かもしれない」
「あんたがこのテンパイに敏感に反応した理由は、オレが何かに固執することに慣れていなかったから。そして——オレが最近になって、“打ち方”を意識し始めたから」
「えっ?」
「オレの心当たりはこれのこと」
「待って、やっぱりわたし、ついていけてないみたい」
混乱しそうになって、一旦アカギを止める。
彼はゆっくりと舞美の言葉を待つ。
「えっと、まず……。アカギ、打ち方……変えたの?」
「大きく変えてはない。けど、ただ、少し、意識するようにはなった」
「……意識って、なにを?」
アカギはしっかりと舞美と目を合わせた。
「あんたのことを」