20.孤立牌
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あの嵐の闘いから数日後、相変わらず赤木しげるは光の当たらない世界に暮らしていた。以前と違っているのは、彼は自分の他に見つけた悪魔のような男から逃亡していることである。鷲巣巌——もう1人の悪魔——との出会いは、良くも悪くも、赤木しげるに変化をもたらしたようだった。
これは誰かが側 から見ていたとしても気がつかないのがほとんどだろうが、アカギが唯一連れていた女への態度も僅かながら変わっていた。東雲舞美はもう、ただの庇護対象とは呼べない。
彼女が切望していたように、ただ、横に。
「あんたさあ、男ばかりに囲まれてたまには辟易しないわけ?」
舞美は好奇心も度胸も人一倍あったが、女らしさをずっと保っていた。アカギの前ではできるだけいい女でいようとするのは普通のことだ。
しかしそういうことを別とした“女らしさ”というのも存在する。例えば、女友達といったものだ。世間の女たちは結構この付き合いを大事にすると言う。舞美にそんな友達はいない。
「なんでかは分からないけど、わたしって今の生活が一番合ってるような気がするの。だから、なんにも不満とかない」
それに、と舞美は胸元に揺れるネックレスをいじった。
「欲しいものは全部手に入ってるの……」
アカギは居心地が悪そうに「そう……」とだけ言って両手をポケットに突っ込んだ。少し前、彼から形あるものを贈られた時はどうしようかと思った。ギャンブルで勝った金の行き場がなかったにしろ、彼がわざわざ自分のために用意してくれただけで満足だった。
そしてその行いをアカギが照れくさく思っていることが今の言動で明らかになった。本当に、もうこれ以上何を望むというのか。
そもそも女友達が仮にいたとして、加えてアカギを紹介したとして……絶対、みんなアカギに惚れてしまうから会わせたくない。好きすぎて、自慢したいとかそういう気持ちもない。それに、街を少し歩くだけで、“いい男を連れているいい女” にはなれるわけだし。
むしろ男だらけの環境に舞美は感謝していた。アカギが店などで女遊びをするならともかく、その辺の一般人の女に掻っ攫われていったらと考えるだけで胸が痛い。……しかしそんな予兆はなく、この気持ちは舞美の心の中にそっと仕舞い込まれていた。今までは。
これは誰かが
彼女が切望していたように、ただ、横に。
「あんたさあ、男ばかりに囲まれてたまには辟易しないわけ?」
舞美は好奇心も度胸も人一倍あったが、女らしさをずっと保っていた。アカギの前ではできるだけいい女でいようとするのは普通のことだ。
しかしそういうことを別とした“女らしさ”というのも存在する。例えば、女友達といったものだ。世間の女たちは結構この付き合いを大事にすると言う。舞美にそんな友達はいない。
「なんでかは分からないけど、わたしって今の生活が一番合ってるような気がするの。だから、なんにも不満とかない」
それに、と舞美は胸元に揺れるネックレスをいじった。
「欲しいものは全部手に入ってるの……」
アカギは居心地が悪そうに「そう……」とだけ言って両手をポケットに突っ込んだ。少し前、彼から形あるものを贈られた時はどうしようかと思った。ギャンブルで勝った金の行き場がなかったにしろ、彼がわざわざ自分のために用意してくれただけで満足だった。
そしてその行いをアカギが照れくさく思っていることが今の言動で明らかになった。本当に、もうこれ以上何を望むというのか。
そもそも女友達が仮にいたとして、加えてアカギを紹介したとして……絶対、みんなアカギに惚れてしまうから会わせたくない。好きすぎて、自慢したいとかそういう気持ちもない。それに、街を少し歩くだけで、“いい男を連れているいい女” にはなれるわけだし。
むしろ男だらけの環境に舞美は感謝していた。アカギが店などで女遊びをするならともかく、その辺の一般人の女に掻っ攫われていったらと考えるだけで胸が痛い。……しかしそんな予兆はなく、この気持ちは舞美の心の中にそっと仕舞い込まれていた。今までは。