「フフ、今ので興奮したの？」

アカギは楽しそうに舞美の下に手を当てる。
びくりと身体を震わせると、彼はトントンと指で叩き下着の上から小さな刺激を与える。
おそらく、女が一番敏感な部分。
でも、それだけじゃ満足に感じられない。

「そ、それ……やだ……」
「ん？」
「もっと強くっ」
「おことわり。」

アカギは片手で胸の頂に触れる。
ほんとうに、“ふれる”、だけ。
その動きが、舞美に劣情を教え込む。
身体の全てを支配されているような感覚。

「アカギだけ、ずるい、」
「ずるい？ 何が」
「わたしもさわりたいのに」
「ん？」

動きを止めるアカギ。

「何、オレのに触りたいの。」

顔を赤くして頷く。

「あんた、これ結構好きだよな」

舞美の手を握り、アカギはその手を誘導した。

「ほら。すきにしなよ」

手のひらに感じる熱。
舞美はチャックを下ろしてアカギの表情を盗み見る。
どうかしたの、と言いたげな彼の瞳からすぐに目を逸らし、ソレに集中した。

握ると、鼓動を感じられるような気がする。
舌を一寸だけ出し、そしてやめた。
すぐに口をつけたりはしないでおく。
少しはアカギの焦る様子も見てみたい。

指の先を使って筋の部分をつうとなぞってみる。
アカギはどこが好きなのか探りたいと前々から思っていた。
いっそ聞いてしまいたい気持ちに駆られる。
でも、答え合わせの前に、もう少しだけ。

親指で先のところをぐり、と比較的力を入れて刺激してみる。それから、人差し指と親指で輪っかを作り、皮を上下させる。丁寧に、しかし官能的に。
そうしたら少し、そこから液体がのぞいていることに気がつく。

人差し指ですくってみると、透明な糸がのびた。でも、まだたったこれだけなので、すぐにその糸は切れてなくなってしまう。なんだか悔しくなった舞美は、さらに燃えた。

基本、アカギに翻弄されたいという気持ちが強いのだが、もし、もしあのアカギが、自分に「たのむ、」と懇願してきたら……と考えなくもないのだ。たまにはそんな、年相応の赤木しげるを見てみたくなる。

そんな悪魔の欲。

「アカギ、覚悟して」

言うと、アカギは少し、目の奥で動揺した、ような気がした。