17.海岸線
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「し、失望……?」
一体なんのこと、と言いかけた舞美は、アカギの瞳を真っ直ぐ見てしまってから、口をつぐんだ。彼はただ静かに、言葉を吐いた。
「あんたは他ならぬ、“無敗の”オレに焦がれてたんでしょ。でも、鷲巣が勝ち、皮肉にもオレが生き延びた——オレは死に損なった。おかげで、あんたにかかった呪いは完全に解けたわけだ。東雲、あんたがオレを追う理由はなくなった」
舞美は目を見開いたあと、まったく彼は何を言っているのだろうか、と息をついた。
その大きなため息を聞いたアカギは、無造作に鞄をよこした。中にはたくさんの札束。
「これ、持っていきな」
「持っていけって……そんな餞別みたいに」
アカギが誰かにこれほどの金額を手渡したことは、今まで一度もなかった。
「もう会うこともないだろうから」
言われ、舞美はそっとアカギに近寄った。
「え……どうしちゃったの、急に」
「別に。そのまんまの意味だけど」
いつもより冷たく接される。こわい。
好きな人に拒絶されるのが、こんなに心の痛むことだとは思わなかった。少し、いや、かなり傷つく。
「分からない……。どういうこと?」
「……だからあんたが、」
「違う。なんでそんなこと言うの? わたしがアカギを大好きだって、知ってるくせに。」
舞美がアカギに失望するなど有り得ない。それどころか、さっきの勝負でさらに好きになった。そんなことはアカギもわかっているはず。
じゃあなぜ、わざわざ突き放すようなことを言うの?
舞美は肩をすくめる。
「冗談飛ばすなら、もうちょっと表情を柔らかくして分かりやすくしてくれないかな」
アカギは相変わらず冷たかった。
「オレは本気だけど」
「え?」
かつて、アカギが舞美に対し“本気”だと伝えた時とはまったく違う。胸の奥がじくじくと痛くなってきた。アカギの憂いな瞳がこちらを射抜く。
そして——いやな予感は、真実となる。
「金ならやる。……もうあんたとは一緒にいられない。」
東雲。——別れよう。
一体なんのこと、と言いかけた舞美は、アカギの瞳を真っ直ぐ見てしまってから、口をつぐんだ。彼はただ静かに、言葉を吐いた。
「あんたは他ならぬ、“無敗の”オレに焦がれてたんでしょ。でも、鷲巣が勝ち、皮肉にもオレが生き延びた——オレは死に損なった。おかげで、あんたにかかった呪いは完全に解けたわけだ。東雲、あんたがオレを追う理由はなくなった」
舞美は目を見開いたあと、まったく彼は何を言っているのだろうか、と息をついた。
その大きなため息を聞いたアカギは、無造作に鞄をよこした。中にはたくさんの札束。
「これ、持っていきな」
「持っていけって……そんな餞別みたいに」
アカギが誰かにこれほどの金額を手渡したことは、今まで一度もなかった。
「もう会うこともないだろうから」
言われ、舞美はそっとアカギに近寄った。
「え……どうしちゃったの、急に」
「別に。そのまんまの意味だけど」
いつもより冷たく接される。こわい。
好きな人に拒絶されるのが、こんなに心の痛むことだとは思わなかった。少し、いや、かなり傷つく。
「分からない……。どういうこと?」
「……だからあんたが、」
「違う。なんでそんなこと言うの? わたしがアカギを大好きだって、知ってるくせに。」
舞美がアカギに失望するなど有り得ない。それどころか、さっきの勝負でさらに好きになった。そんなことはアカギもわかっているはず。
じゃあなぜ、わざわざ突き放すようなことを言うの?
舞美は肩をすくめる。
「冗談飛ばすなら、もうちょっと表情を柔らかくして分かりやすくしてくれないかな」
アカギは相変わらず冷たかった。
「オレは本気だけど」
「え?」
かつて、アカギが舞美に対し“本気”だと伝えた時とはまったく違う。胸の奥がじくじくと痛くなってきた。アカギの憂いな瞳がこちらを射抜く。
そして——いやな予感は、真実となる。
「金ならやる。……もうあんたとは一緒にいられない。」
東雲。——別れよう。