17.海岸線
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血で血を洗う戦争、とはよく言ったものだ。
今回を喩えて言うのなら、血で血を求む麻雀、だろうか。
長い長い勝負だった。もちろんあの後も、一波乱どころでは済まなかった。
それでも、勝負には終わりが来る。へんぴな言葉であの勝負を汚したくないから、舞美はその様子を誰かに語るといったことはしなかったが、とにかく、決着はついたのだ。
決着がついた。
つまり勝負は、終わったのだ。
舞美は、勝負と、勝負の終わりをしっかりと見届けた。残った者は血を戻し、舞美は安岡と仰木に軽い挨拶をして、それから黙って“彼”と共に屋敷を出て行った。
そう簡単に、口はきけなかった。
立場上の勝者はいても、誰が勝ったのかという答えは、人によって変わるかもしれない。
舞美には舞美の考えがあり、彼には彼の解釈があった。
それを一々議論するなんて野暮なことはしない。
それに、彼はどうやら急いであの屋敷から遠ざかっているようにも思える。
やはり勝利の凱旋といった気分ではないらしい。
しかしそんなこと舞美は気にしていない。
(……アカギは、生き残った。)
それだけでもう、心から喜べる。
この夜が過ぎる頃には、以前よりもまた、何十倍も彼を好きになっていた。
***
一言も話さないまま車を走らせ、舞美は彼と共に宿に着いた。
(本当に、終わったんだ)
静かな密室に来ると、実感が湧いた。
そろそろ言葉を発していい頃かもしれない。
とりあえず、彼に抱きつこう。
彼は生き残ったんだ。
(そう、なにせもう、わたしたちは自由!)
そうとなれば、ぎゅうっと体を捕まえて、彼の存在を確かめたい。
それから、あの深海にいたのは本当にアカギの意識だったのかと、わたしを救 けたのはあなたなのかと尋ねたい。
そう思ってアカギの顔を見たのだが。
彼は冷ややかな視線をこちらに向けていた。
瞬間、背筋がぞくりと凍る。
こちらに向けられた負のオーラを感じたから。
いや、そんなはずはないと信じたい。
気のせいかな、自意識過剰かな。
舞美がそう思い始めた時に、アカギは静かな声で言った。
「失望したならそう言いなよ。」
今回を喩えて言うのなら、血で血を求む麻雀、だろうか。
長い長い勝負だった。もちろんあの後も、一波乱どころでは済まなかった。
それでも、勝負には終わりが来る。へんぴな言葉であの勝負を汚したくないから、舞美はその様子を誰かに語るといったことはしなかったが、とにかく、決着はついたのだ。
決着がついた。
つまり勝負は、終わったのだ。
舞美は、勝負と、勝負の終わりをしっかりと見届けた。残った者は血を戻し、舞美は安岡と仰木に軽い挨拶をして、それから黙って“彼”と共に屋敷を出て行った。
そう簡単に、口はきけなかった。
立場上の勝者はいても、誰が勝ったのかという答えは、人によって変わるかもしれない。
舞美には舞美の考えがあり、彼には彼の解釈があった。
それを一々議論するなんて野暮なことはしない。
それに、彼はどうやら急いであの屋敷から遠ざかっているようにも思える。
やはり勝利の凱旋といった気分ではないらしい。
しかしそんなこと舞美は気にしていない。
(……アカギは、生き残った。)
それだけでもう、心から喜べる。
この夜が過ぎる頃には、以前よりもまた、何十倍も彼を好きになっていた。
***
一言も話さないまま車を走らせ、舞美は彼と共に宿に着いた。
(本当に、終わったんだ)
静かな密室に来ると、実感が湧いた。
そろそろ言葉を発していい頃かもしれない。
とりあえず、彼に抱きつこう。
彼は生き残ったんだ。
(そう、なにせもう、わたしたちは自由!)
そうとなれば、ぎゅうっと体を捕まえて、彼の存在を確かめたい。
それから、あの深海にいたのは本当にアカギの意識だったのかと、わたしを
そう思ってアカギの顔を見たのだが。
彼は冷ややかな視線をこちらに向けていた。
瞬間、背筋がぞくりと凍る。
こちらに向けられた負のオーラを感じたから。
いや、そんなはずはないと信じたい。
気のせいかな、自意識過剰かな。
舞美がそう思い始めた時に、アカギは静かな声で言った。
「失望したならそう言いなよ。」