17.海岸線
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彼——赤木しげるは血液が致死量抜かれたところで一旦意識を飛ばしたものの、勝負への情熱と根性でもう一度鷲巣麻雀を打ちに地獄から舞い戻ってきた。
舞美がそれを知れたのは、ぼんやりと彼の声が耳に入ってきたからだった。その声をたよりに……そう、ただ本当になんとなくだったが、彼女は意識を手繰り寄せることができた。
「よせ……! 男がべたべた触るな! 気色悪い!」
死亡が濃厚だったところに対する彼の目覚めは、蘇りそのものであった。
仰木と安岡は「アカギ!」と叫んでいる。
もちろんそこには、それを許せない者がひとり。
パン、と誰かが叩かれた音がした。
「死っ! 死ね‼︎ 許さんっ‼︎ 黄泉返り‼︎」
「バ…バカヤロォーッ!」
舞美にはドタバタ騒ぎが起こっていることしか分からない。アカギの危機だったらしいが、「離せっ!」と喚く鷲巣の声から察するに、どうやらそれは免れたようだ。
(よかった。アカギは、戻ってきた。)
ふっと息をつくと、それをきっかけに呼吸を思い出す。
とても息がしやすい。
どうやら、自分は誰かに横抱きにされているらしい。この感じだと多分、白服か。なるほど、急に倒れたところを、採血係がちょうど受け止めてくれたのかもしれない。
そう納得すると、こちらに対して、アカギの声が真っ直ぐ聞こえた。
「ねえ、そいつオレの女なんだけど。そろそろ離してくれる」
えっ……。
(アカギが公衆の面前で、わたしを恋人扱い……⁈)
白服は、自分の手元に抱かれている舞美に目をやった。
「し、しかし」
「そうだぞアカギ。彼女、おまえが死んだと思ってショックで……」
周りの声に対し、アカギは「知ってる」と一蹴する。もしかして、さっき視た深海にいたアカギは、本物のアカギの意識そのものだったのかもしれない。
「本当はもう起きてるんでしょ……あんたもそろそろ自分で立ったらどうなの、東雲」
名前を呼ばれた舞美は、それに応えるようにぱちりと目を開ける。驚く白服に礼を言ってから、「下ろして」と頼むと、そっと床に立たせてくれた。
アカギの顔を正面から見ると、彼はやはり疲労困憊していて、つらそうだった。いつもほどの余裕は無いように見える。さっきまで失神していた自分も顔面蒼白かもしれない。
でも、戻ってきた。勝負は続行。
わたしたちが地獄の淵を見せられたんなら、今度は相手が地獄におくられる番だ。
アカギの底なしの瞳を見て、舞美はただ微笑んでみせた。
舞美がそれを知れたのは、ぼんやりと彼の声が耳に入ってきたからだった。その声をたよりに……そう、ただ本当になんとなくだったが、彼女は意識を手繰り寄せることができた。
「よせ……! 男がべたべた触るな! 気色悪い!」
死亡が濃厚だったところに対する彼の目覚めは、蘇りそのものであった。
仰木と安岡は「アカギ!」と叫んでいる。
もちろんそこには、それを許せない者がひとり。
パン、と誰かが叩かれた音がした。
「死っ! 死ね‼︎ 許さんっ‼︎ 黄泉返り‼︎」
「バ…バカヤロォーッ!」
舞美にはドタバタ騒ぎが起こっていることしか分からない。アカギの危機だったらしいが、「離せっ!」と喚く鷲巣の声から察するに、どうやらそれは免れたようだ。
(よかった。アカギは、戻ってきた。)
ふっと息をつくと、それをきっかけに呼吸を思い出す。
とても息がしやすい。
どうやら、自分は誰かに横抱きにされているらしい。この感じだと多分、白服か。なるほど、急に倒れたところを、採血係がちょうど受け止めてくれたのかもしれない。
そう納得すると、こちらに対して、アカギの声が真っ直ぐ聞こえた。
「ねえ、そいつオレの女なんだけど。そろそろ離してくれる」
えっ……。
(アカギが公衆の面前で、わたしを恋人扱い……⁈)
白服は、自分の手元に抱かれている舞美に目をやった。
「し、しかし」
「そうだぞアカギ。彼女、おまえが死んだと思ってショックで……」
周りの声に対し、アカギは「知ってる」と一蹴する。もしかして、さっき視た深海にいたアカギは、本物のアカギの意識そのものだったのかもしれない。
「本当はもう起きてるんでしょ……あんたもそろそろ自分で立ったらどうなの、東雲」
名前を呼ばれた舞美は、それに応えるようにぱちりと目を開ける。驚く白服に礼を言ってから、「下ろして」と頼むと、そっと床に立たせてくれた。
アカギの顔を正面から見ると、彼はやはり疲労困憊していて、つらそうだった。いつもほどの余裕は無いように見える。さっきまで失神していた自分も顔面蒼白かもしれない。
でも、戻ってきた。勝負は続行。
わたしたちが地獄の淵を見せられたんなら、今度は相手が地獄におくられる番だ。
アカギの底なしの瞳を見て、舞美はただ微笑んでみせた。