16.透明牌
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「んむっ。ん、」
アカギの肩を押しのけるようにして、なんとか強引にやめさせる。
「ちょ、ちょっと……!」
「ふう」
「ふうじゃない!」
強めに言うと、彼は首を傾げた。きょとんとした顔がかわいい……のは置いておいて。
「あんたが拒むなんて。珍しいね。嫌だった?」
「い、嫌とかじゃなくて……。ここ、人のお屋敷って分かってる?」
「仰木さんのところでもやったでしょ」
「今、勝負中だっていうのに……、その、それよ」
目を合わせられず、視線を彷徨わせる。
「それ。どうしてそんなことになってるの」
「ああ、これか」
アカギは舞美の言いたいことを察し、自分の下半身をちらりと見てから、肩をすくめた。
「じきおさまるでしょ」
「な。そんな悠長な……」
「別に悠長ってわけじゃない」
アカギはやれやれといった風に舞美から距離をとった。離れたら離れたで寂しいような気がしてしまうけれど、まあ、今はこれが正解のはず。
「これが、生存本能ってやつか」
「え?」
アカギはこちらを見て、可笑しそうに笑った。
「血をちょっと抜かれただけでこうなるなんてね。ま、すぐ慣れるだろ」
「つまり……」
アカギの体が自分の危機を感じとり、人間の本能が子孫を残そうとしてるということ?
その作用でアカギは舞美に軽く欲情した、と。
「フフ、こんなのに左右されるなんざ、オレもまだまだだね」
「異常が起こってるってことじゃない!」
「ん。まあ、こうなったきっかけは、あくまでもあんただけどね」
「そんな。わたしのせいで」
「何言ってんの。そういう意味じゃない」
アカギは舞美の頭の後ろを押さえるようにして、そのまま、ぽすっ、と胸元で受け止めた。
「えっ……」
驚いて彼を見上げると、もういつもの瞳に戻っていた。つまり本能的な欲情はしていないのに舞美を抱き寄せているということで。
とくん。とくん。
アカギの心臓の音が聞こえてくる。
どうか、この音をずっと聞かせてくれますように。
「終わり」
アカギは端的に言うと、突然舞美を抱き寄せた理由だとか、好きだとか愛してるの言葉もなしに彼女を手放した。
舞美は勝負の部屋へと歩き出した彼についていく。
もう、この瞬間には、彼には鷲巣しか見えていないだろう。
それでいい、それで構わない。
(……いや、彼はそうでなくちゃいけない。)
***
そしてとうとう、赤木しげると鷲巣巌、双方が本気を出しての、最後の2半荘が開始された。
アカギの肩を押しのけるようにして、なんとか強引にやめさせる。
「ちょ、ちょっと……!」
「ふう」
「ふうじゃない!」
強めに言うと、彼は首を傾げた。きょとんとした顔がかわいい……のは置いておいて。
「あんたが拒むなんて。珍しいね。嫌だった?」
「い、嫌とかじゃなくて……。ここ、人のお屋敷って分かってる?」
「仰木さんのところでもやったでしょ」
「今、勝負中だっていうのに……、その、それよ」
目を合わせられず、視線を彷徨わせる。
「それ。どうしてそんなことになってるの」
「ああ、これか」
アカギは舞美の言いたいことを察し、自分の下半身をちらりと見てから、肩をすくめた。
「じきおさまるでしょ」
「な。そんな悠長な……」
「別に悠長ってわけじゃない」
アカギはやれやれといった風に舞美から距離をとった。離れたら離れたで寂しいような気がしてしまうけれど、まあ、今はこれが正解のはず。
「これが、生存本能ってやつか」
「え?」
アカギはこちらを見て、可笑しそうに笑った。
「血をちょっと抜かれただけでこうなるなんてね。ま、すぐ慣れるだろ」
「つまり……」
アカギの体が自分の危機を感じとり、人間の本能が子孫を残そうとしてるということ?
その作用でアカギは舞美に軽く欲情した、と。
「フフ、こんなのに左右されるなんざ、オレもまだまだだね」
「異常が起こってるってことじゃない!」
「ん。まあ、こうなったきっかけは、あくまでもあんただけどね」
「そんな。わたしのせいで」
「何言ってんの。そういう意味じゃない」
アカギは舞美の頭の後ろを押さえるようにして、そのまま、ぽすっ、と胸元で受け止めた。
「えっ……」
驚いて彼を見上げると、もういつもの瞳に戻っていた。つまり本能的な欲情はしていないのに舞美を抱き寄せているということで。
とくん。とくん。
アカギの心臓の音が聞こえてくる。
どうか、この音をずっと聞かせてくれますように。
「終わり」
アカギは端的に言うと、突然舞美を抱き寄せた理由だとか、好きだとか愛してるの言葉もなしに彼女を手放した。
舞美は勝負の部屋へと歩き出した彼についていく。
もう、この瞬間には、彼には鷲巣しか見えていないだろう。
それでいい、それで構わない。
(……いや、彼はそうでなくちゃいけない。)
***
そしてとうとう、赤木しげると鷲巣巌、双方が本気を出しての、最後の2半荘が開始された。