16.透明牌
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そこからは目まぐるしい闘いの連続だった。
2回戦目、アカギは初手満貫ツモをくらう。しかし相手の差し込みを頭ハネで和了るなど冷静に対処して同様に勝利を得た。もちろん輸血はしない。もう誰も疑問を抱かない。
3回戦目、鷲巣のドラ爆に対しアカギが振り込んだかと思いきや、安岡によって今度は鷲巣の頭を直接ハネた。あのときはびっくりした。鷲巣は激怒して牌を投げるなどしたが、気持ちもわからなくない。アカギがかっこ良すぎるのだ。
気がつけばその調子で4回戦目まで勝ち進んだ。鷲巣の5億あった資産も残り2億。あまりのことに彼はソファで寝込んでしまった。
かく言うアカギも1400ccの血を失っている。
これ以上の続行は互いに危険だ。
それにおそらく、鷲巣は続行不可だろう。
「もうここまでかな」
舞美は最高潮のハラハラを味わったあとなので興奮冷め切らないまま、アカギに言った。
「お疲れさま」
「……何が? まだ終わらせる気はないよ」
「えっ、でも、あの人……きっと無理よ」
「このままじゃね。こちらからの譲歩が必要だ」
「譲歩?」
舞美は鷲巣の方へ向かうアカギについて行った。何か、鷲巣をその気にさせるものでもあるのだろうか? アカギはギャンブルの天才だから、交渉術とかも得意ってこと?
耳をそばだてると、彼は直球に「休憩は終わりだ」などと言い放った。流石の白服も「もう終わりだ」とアカギを拒絶する。
「いいの、勝手にこんなこと言わせて」
アカギはまだ鷲巣に話しかける。
そして——。「これ借りるぜ」と洗面器を寄せ、彼は血液の入った瓶の蓋を開け始めた。
「ん、なっ……」
異変に気がついた仰木が止めようとするが、間に合わない。そこに注がれる、真っ赤な血。
舞美だけはそれを止めようともせず、またアカギを咎めることもなく、ただ見守っていた。まさかとは思っていたけれど、本当に血を捨ててしまうなんて。
「おい、すぐに戻せ!」
仰木が慌てると、アカギは最後に、吸っていた煙草をぷっと洗面器に落とした。じゅっ、という音がしたと思えば、灰皿を取り掴んでたくさんの吸い殻をボタボタと落としていく。
「ああ……!」
なんてことを、とばやく仰木をアカギは無視し、ただ鷲巣だけに話しかける。
「見ての通り、血は破棄した」
むくり、と起き上がる鷲巣。やはりこの老人もただ者ではない。俄然やる気になったようだ。舞美はアカギの身を心配しながらも、この素晴らしい試合が続くことに興奮し始めていた。
(本当に、次こそアカギは死ぬかもしれない……!)
高いものを賭ければ賭けるほど、熱をもつのがギャンブル。アカギより貴重なものなど、思い付かない。紛うことなく、史上最高のギャンブルがまた、幕を開けるのだ。
2回戦目、アカギは初手満貫ツモをくらう。しかし相手の差し込みを頭ハネで和了るなど冷静に対処して同様に勝利を得た。もちろん輸血はしない。もう誰も疑問を抱かない。
3回戦目、鷲巣のドラ爆に対しアカギが振り込んだかと思いきや、安岡によって今度は鷲巣の頭を直接ハネた。あのときはびっくりした。鷲巣は激怒して牌を投げるなどしたが、気持ちもわからなくない。アカギがかっこ良すぎるのだ。
気がつけばその調子で4回戦目まで勝ち進んだ。鷲巣の5億あった資産も残り2億。あまりのことに彼はソファで寝込んでしまった。
かく言うアカギも1400ccの血を失っている。
これ以上の続行は互いに危険だ。
それにおそらく、鷲巣は続行不可だろう。
「もうここまでかな」
舞美は最高潮のハラハラを味わったあとなので興奮冷め切らないまま、アカギに言った。
「お疲れさま」
「……何が? まだ終わらせる気はないよ」
「えっ、でも、あの人……きっと無理よ」
「このままじゃね。こちらからの譲歩が必要だ」
「譲歩?」
舞美は鷲巣の方へ向かうアカギについて行った。何か、鷲巣をその気にさせるものでもあるのだろうか? アカギはギャンブルの天才だから、交渉術とかも得意ってこと?
耳をそばだてると、彼は直球に「休憩は終わりだ」などと言い放った。流石の白服も「もう終わりだ」とアカギを拒絶する。
「いいの、勝手にこんなこと言わせて」
アカギはまだ鷲巣に話しかける。
そして——。「これ借りるぜ」と洗面器を寄せ、彼は血液の入った瓶の蓋を開け始めた。
「ん、なっ……」
異変に気がついた仰木が止めようとするが、間に合わない。そこに注がれる、真っ赤な血。
舞美だけはそれを止めようともせず、またアカギを咎めることもなく、ただ見守っていた。まさかとは思っていたけれど、本当に血を捨ててしまうなんて。
「おい、すぐに戻せ!」
仰木が慌てると、アカギは最後に、吸っていた煙草をぷっと洗面器に落とした。じゅっ、という音がしたと思えば、灰皿を取り掴んでたくさんの吸い殻をボタボタと落としていく。
「ああ……!」
なんてことを、とばやく仰木をアカギは無視し、ただ鷲巣だけに話しかける。
「見ての通り、血は破棄した」
むくり、と起き上がる鷲巣。やはりこの老人もただ者ではない。俄然やる気になったようだ。舞美はアカギの身を心配しながらも、この素晴らしい試合が続くことに興奮し始めていた。
(本当に、次こそアカギは死ぬかもしれない……!)
高いものを賭ければ賭けるほど、熱をもつのがギャンブル。アカギより貴重なものなど、思い付かない。紛うことなく、史上最高のギャンブルがまた、幕を開けるのだ。