15.一辺倒
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もう、そんなことを言われてはその場にいた何者も軽い発言など出来なくなる。あの天才が命を張って鷲巣を操ろうとしているのだ、凡人が何か言えた事ではない。
アカギはふっと舞美に目を向けた。
目がぱっちりと合って、ドギマギしてしまう。
「な……なに?」
軽く笑いながら尋ねると、「なんでもない」と返される。空気を読んだのか、安岡と仰木は「先戻ってるぜ」と向こうに行ってしまった。
「わたしたち、まだ戻らなくて良いの?」
首を傾げると、アカギは舞美に言う。
「……休憩くらいさせてよ」
「休憩って、えっ」
休憩と言いつつ、アカギは舞美の腰に手を当てるので、舞美は混乱した。
(今からすぐにまた勝負するっていうのに、急になんなの⁈)
「えっ、アカ、アカギ?」
「ん……?」
どうかした……?
なんて甘い声で囁いてくるのがあまりに自然で、舞美はまるで自分が変なのかと疑う。
いや、でもこの状況で迫ってくるのは明らかにおかしい。
(え、ここは鷲巣の屋敷よね?)
舞美はアカギの動きを止めるかのように慌てて尋ねる。
「な、何しようとしてるの?」
「……なにって、」
アカギは目を細め、そして苦々しく言った。
「キスくらいさせてよ」
「えっ!」
舞美は驚いて声を上げる。
「き、きす……!」
「ハ。なんでそんなに赤くなってんの……今更でしょ」
キス、なんて言葉をアカギから真っ直ぐ言われたら、こんな風になってしまうのは当然だ。
「オレのこと好きでしょ」
「ん、なっ……」
「ねえ、して良い?」
いつもは問答無用で激しい口づけを交わすというのに、改まって聞かれると真っ赤になってしまう。舞美は否定も肯定もできず、まるで恋愛を知らない生娘に戻ってしまった。
「あんた本当に飽きさせないね。」
アカギは言うと、顔をその瞬間だけ近づけてきた。そして、唇と唇が重なる音がした、と思ったら、即座にして全ては元に戻った。
触れ合っていた時間は本当に一瞬だった。
「え、あ、あの……」
舞美があたふたするのを、気にも留めないアカギ。
「なに? 戻るよ。」
「え? あ、うん、はい……」
翻弄されるだけ翻弄されて、舞美は再び採血器を運んでいく。これだけ開き直られると、やっぱり自分がおかしいような気がする。
アカギが急に甘えてきた?
案外もう血液が足りないとか?
(でもまだ600ccだよね……?)
アカギとはそれなりに色々なことをしてきているはずなのに、ただの口づけに、こんなになってしまうなんて。自分でも驚いてしまう。
彼との恋愛にマンネリだとか慣れだとかは無いらしい。これも全部、赤木しげるの女だからこその特権。舞美は勝負の席につくアカギを後ろから見て、改めて惚れ直していた。
15.一辺倒〈完〉
アカギはふっと舞美に目を向けた。
目がぱっちりと合って、ドギマギしてしまう。
「な……なに?」
軽く笑いながら尋ねると、「なんでもない」と返される。空気を読んだのか、安岡と仰木は「先戻ってるぜ」と向こうに行ってしまった。
「わたしたち、まだ戻らなくて良いの?」
首を傾げると、アカギは舞美に言う。
「……休憩くらいさせてよ」
「休憩って、えっ」
休憩と言いつつ、アカギは舞美の腰に手を当てるので、舞美は混乱した。
(今からすぐにまた勝負するっていうのに、急になんなの⁈)
「えっ、アカ、アカギ?」
「ん……?」
どうかした……?
なんて甘い声で囁いてくるのがあまりに自然で、舞美はまるで自分が変なのかと疑う。
いや、でもこの状況で迫ってくるのは明らかにおかしい。
(え、ここは鷲巣の屋敷よね?)
舞美はアカギの動きを止めるかのように慌てて尋ねる。
「な、何しようとしてるの?」
「……なにって、」
アカギは目を細め、そして苦々しく言った。
「キスくらいさせてよ」
「えっ!」
舞美は驚いて声を上げる。
「き、きす……!」
「ハ。なんでそんなに赤くなってんの……今更でしょ」
キス、なんて言葉をアカギから真っ直ぐ言われたら、こんな風になってしまうのは当然だ。
「オレのこと好きでしょ」
「ん、なっ……」
「ねえ、して良い?」
いつもは問答無用で激しい口づけを交わすというのに、改まって聞かれると真っ赤になってしまう。舞美は否定も肯定もできず、まるで恋愛を知らない生娘に戻ってしまった。
「あんた本当に飽きさせないね。」
アカギは言うと、顔をその瞬間だけ近づけてきた。そして、唇と唇が重なる音がした、と思ったら、即座にして全ては元に戻った。
触れ合っていた時間は本当に一瞬だった。
「え、あ、あの……」
舞美があたふたするのを、気にも留めないアカギ。
「なに? 戻るよ。」
「え? あ、うん、はい……」
翻弄されるだけ翻弄されて、舞美は再び採血器を運んでいく。これだけ開き直られると、やっぱり自分がおかしいような気がする。
アカギが急に甘えてきた?
案外もう血液が足りないとか?
(でもまだ600ccだよね……?)
アカギとはそれなりに色々なことをしてきているはずなのに、ただの口づけに、こんなになってしまうなんて。自分でも驚いてしまう。
彼との恋愛にマンネリだとか慣れだとかは無いらしい。これも全部、赤木しげるの女だからこその特権。舞美は勝負の席につくアカギを後ろから見て、改めて惚れ直していた。
15.一辺倒〈完〉