15.一辺倒
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そこからは、怒涛の展開だった。鷲巣麻雀という特殊牌を最大に利用し、彼らは普通の麻雀では考えられないような死闘を繰り広げる。
差し込みを無視してのツモあがり。七対子風偽装聴牌での鷲巣の足止め。こっちから見ると手はぐちゃぐちゃなのに、ブラフは相手に効いているようで。アカギの揺さぶりの甲斐あってか、なんと鷲巣からの直取りで逆転してしまう。
こんな麻雀、見たことない。途中から声も身動ぎもできなくなっていた。気がつけば、アカギトップで半荘が終了。色々あったが、これでとりあえず、一回戦は乗り切った……。ふう。
金の精算に入ると、アカギは血液補給の分の600万を引かれた4500万を得る。この回で600cc失った分の血液は補給しなければ。
と、思ったら。
「余計なことだ」
「え?」
「勝ち分は全部、金に変えてもらいたい。」
アカギが堂々と宣言するので、舞美は「えっ」と声を出した。仰木も慌てて「ちょっと待った」をかけた。アカギは血液を補給しないでこのまま行くと言うのだ。腕を賭けている仰木とは意見の相違。そこで作戦会議が再び実施される。
場所を変えて話す際、舞美はアカギの後ろから採血器をがらがらと押して彼についていった。アカギはなんということもなく歩いていく。
足を止めると、アカギは舞美を振り返った。
「どうだった。意外といけるもんでしょ」
何故か得意げな顔。歯がちらりと見えるのが良い。
舞美は自分だけにしか見せない彼のこの表情が大好きだった。
13だった頃の彼が「がんばったでしょ」と言った時の表情と、あまり変わっていない。
いや、そうじゃなくて。
「……ほ、本当にすごいと思った」
目を白黒させつつ言う。しかしさっきのアカギの無茶な発言を思い出し、「でも」と言うと、そこから先は仰木が受け継いだ。
「そうだぞ、アカギ! 何を考えてるんだ。あんまり鷲巣を舐めていると、死ぬぞ」
血液が抜かれたままだというのに、アカギはまたもや煙草を取り出して吸い出した。ああもう、この人の恋人は博打と煙草なんじゃないの。
「あっさり死ぬくらいでちょうどいい」
「はぁ?」
「オレが、あともう一押し。あともう僅か押し込めれば死ぬ。そう思えるところが鷲巣の希望だ」
アカギの声は勝負の際とはまた変わり、今度は優しくなっていた。表情まで穏やかに見える。
「仰木さん。鷲巣の希望を切っちゃいけない。焼かれながらも人は、そこに希望があればついてくる」
差し込みを無視してのツモあがり。七対子風偽装聴牌での鷲巣の足止め。こっちから見ると手はぐちゃぐちゃなのに、ブラフは相手に効いているようで。アカギの揺さぶりの甲斐あってか、なんと鷲巣からの直取りで逆転してしまう。
こんな麻雀、見たことない。途中から声も身動ぎもできなくなっていた。気がつけば、アカギトップで半荘が終了。色々あったが、これでとりあえず、一回戦は乗り切った……。ふう。
金の精算に入ると、アカギは血液補給の分の600万を引かれた4500万を得る。この回で600cc失った分の血液は補給しなければ。
と、思ったら。
「余計なことだ」
「え?」
「勝ち分は全部、金に変えてもらいたい。」
アカギが堂々と宣言するので、舞美は「えっ」と声を出した。仰木も慌てて「ちょっと待った」をかけた。アカギは血液を補給しないでこのまま行くと言うのだ。腕を賭けている仰木とは意見の相違。そこで作戦会議が再び実施される。
場所を変えて話す際、舞美はアカギの後ろから採血器をがらがらと押して彼についていった。アカギはなんということもなく歩いていく。
足を止めると、アカギは舞美を振り返った。
「どうだった。意外といけるもんでしょ」
何故か得意げな顔。歯がちらりと見えるのが良い。
舞美は自分だけにしか見せない彼のこの表情が大好きだった。
13だった頃の彼が「がんばったでしょ」と言った時の表情と、あまり変わっていない。
いや、そうじゃなくて。
「……ほ、本当にすごいと思った」
目を白黒させつつ言う。しかしさっきのアカギの無茶な発言を思い出し、「でも」と言うと、そこから先は仰木が受け継いだ。
「そうだぞ、アカギ! 何を考えてるんだ。あんまり鷲巣を舐めていると、死ぬぞ」
血液が抜かれたままだというのに、アカギはまたもや煙草を取り出して吸い出した。ああもう、この人の恋人は博打と煙草なんじゃないの。
「あっさり死ぬくらいでちょうどいい」
「はぁ?」
「オレが、あともう一押し。あともう僅か押し込めれば死ぬ。そう思えるところが鷲巣の希望だ」
アカギの声は勝負の際とはまた変わり、今度は優しくなっていた。表情まで穏やかに見える。
「仰木さん。鷲巣の希望を切っちゃいけない。焼かれながらも人は、そこに希望があればついてくる」