15.一辺倒
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「泣こうが喚こうが、死……!」
麻雀の説明を終えた鷲巣が凄んでも、まだアカギには通用していない。いや、それどころか。
「念を押されるまでもない。問題はこの先」
「先……?」
「1つだけ変更していただきたいことがある」
舞美は久しぶりなアカギの微妙な敬語にぞくりとした。
「あれでは足りぬ。あのレートでは」
アカギは飄々と、笑みをたたえてまで言い放った。
「あなたが破滅しない。」
「なに」
「破滅させるには、桁を変えるしかない。つまりレートを——10倍にしていただきたい」
(じゅ……10倍⁈)
「馬鹿な。ふざけるな。ガキひとりの命に2億も出せと言うのか!」
だん、と拳で卓を叩く鷲巣に、アカギは涼しくふっと笑ってみせた。どこまでも余裕。今まで見たアカギの中で、1番かっこいいかも。
「いいえ、それは論外です」
「ん……?」
「なんの背景も持たぬチンピラのオレには、2000万ですら過大評価。問題は、20万点という過剰な点で薄めている点。つまり、2000万円を20万点とするからダメなんで、2000万を、2万点にすれば良い」
アカギは目をぎらつかせた。
「仮にオレが50万点勝てば、2億をさらう計算……」
もう、舞美の隣で眠っていた猫のような男はいない。偽りの姿をかき消して、アカギは再び、狂気に身をまかせ始める。
「これで範疇……。あなたの滅びに手が届く」
ガタン、と勢いよく立ったのは対戦相手だった。
「馬鹿な⁉︎ 話にならん。持ち点2万点でどうやって半荘を凌ぐ。ウマが1-3つく麻雀だぞ」
6半荘のうち、一度でも鷲巣を下回れば死。
全体で満貫2回を振れば致死量。
直撃の際は、加えて祝儀払いでも殺され、挙句の果てにただツモられ続けただけでも死ぬ。
「凌げるわけがあるまい!」
舞美はアカギの凄さを知っている。……それでも、鷲巣相手だとどうかは分からない。今回だけは相手が違う。そんな気がする。
それなのに、今までで1番無謀な賭けをするって?
賭けというよりも、ほとんど身投げに近い。
そもそも麻雀はそんなことが可能なゲームではないはずだ。
万が一、仮に……相手の運が良くて、天和だの地和だの出てしまったら、その時点で即死だなんて。あり得ない。
それなのに、アカギは変わらない。
「フ……フフフ……満更、凌げなくもない」
「なに?」
「第一、20万点を2万点に設定していただかなければ、あなたを殺せない」
殺す、という単語をアカギが使ったのは初めてではない。もちろん、そのことを舞美は知っている。
彼があの時言った言葉を、忘れたことはない。
***
殺しちまえってことは
自分も殺されてもかまわないってことだ
そうだろ……?
麻雀の説明を終えた鷲巣が凄んでも、まだアカギには通用していない。いや、それどころか。
「念を押されるまでもない。問題はこの先」
「先……?」
「1つだけ変更していただきたいことがある」
舞美は久しぶりなアカギの微妙な敬語にぞくりとした。
「あれでは足りぬ。あのレートでは」
アカギは飄々と、笑みをたたえてまで言い放った。
「あなたが破滅しない。」
「なに」
「破滅させるには、桁を変えるしかない。つまりレートを——10倍にしていただきたい」
(じゅ……10倍⁈)
「馬鹿な。ふざけるな。ガキひとりの命に2億も出せと言うのか!」
だん、と拳で卓を叩く鷲巣に、アカギは涼しくふっと笑ってみせた。どこまでも余裕。今まで見たアカギの中で、1番かっこいいかも。
「いいえ、それは論外です」
「ん……?」
「なんの背景も持たぬチンピラのオレには、2000万ですら過大評価。問題は、20万点という過剰な点で薄めている点。つまり、2000万円を20万点とするからダメなんで、2000万を、2万点にすれば良い」
アカギは目をぎらつかせた。
「仮にオレが50万点勝てば、2億をさらう計算……」
もう、舞美の隣で眠っていた猫のような男はいない。偽りの姿をかき消して、アカギは再び、狂気に身をまかせ始める。
「これで範疇……。あなたの滅びに手が届く」
ガタン、と勢いよく立ったのは対戦相手だった。
「馬鹿な⁉︎ 話にならん。持ち点2万点でどうやって半荘を凌ぐ。ウマが1-3つく麻雀だぞ」
6半荘のうち、一度でも鷲巣を下回れば死。
全体で満貫2回を振れば致死量。
直撃の際は、加えて祝儀払いでも殺され、挙句の果てにただツモられ続けただけでも死ぬ。
「凌げるわけがあるまい!」
舞美はアカギの凄さを知っている。……それでも、鷲巣相手だとどうかは分からない。今回だけは相手が違う。そんな気がする。
それなのに、今までで1番無謀な賭けをするって?
賭けというよりも、ほとんど身投げに近い。
そもそも麻雀はそんなことが可能なゲームではないはずだ。
万が一、仮に……相手の運が良くて、天和だの地和だの出てしまったら、その時点で即死だなんて。あり得ない。
それなのに、アカギは変わらない。
「フ……フフフ……満更、凌げなくもない」
「なに?」
「第一、20万点を2万点に設定していただかなければ、あなたを殺せない」
殺す、という単語をアカギが使ったのは初めてではない。もちろん、そのことを舞美は知っている。
彼があの時言った言葉を、忘れたことはない。
***
殺しちまえってことは
自分も殺されてもかまわないってことだ
そうだろ……?