15.一辺倒
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屋敷の中へ進むと天井の高い大きな広間に出た。真ん中にはこれ以上ないほど荘厳な造りの麻雀卓がある。鷲巣は「大方聞いているだろうが」と“鷲巣麻雀”のハウスルールについて簡単に説明した。
「このあとの取り決めについては仰木くんも知らない話」
「……⁈」
「わしは以前、数百万を賭けて麻雀をしていた時期がある」
レートについての話になった途端、舞美はアカギの様子が変わったのを感じた。アカギは既に、心の奥で目覚め始めている。もう目の前の老人を狩ろうとしているみたいだ。
「はやい話、レートが変化した」
舞美は鷲巣の言葉を待つ。これだけの億万長者。欲しいものは全て手に入れられるはずの彼は、富と引き換えに何を欲すのか。
「つまり——」
「察しはついてます」
口を挟んだのは、他でもないアカギだった。
「おそらく、打つものの血——血液を賭けろと言うんでしょう?」
打つものの血……⁈
アカギの血液って……。
(あ……じゃあ、平山さんは……)
舞美は絶句する。
アカギの発言に、みな驚いていた。
鷲巣はすぐに表情を歪める。
「聡明聡明。実に察しがいい」
舞美は後ろから、アカギの後頭部を見つめた。そして思った。アカギの望んでいた勝負は、こういうのなんじゃないかって。
「負けたら、君は死ぬ」
鷲巣は血液量について、あるいは実際のレートのやり取りについて説明を始めた。
半荘を6回で20万点。2000cc、2000万。
(20万点、ですって?)
舞美は顎に手を当てる。たとえ全ての半荘で飛んで、25000点が毎回0点になったとしても、6半荘なら失う点数は計15万点だ。死のボーダーラインである20万点には届かない。それならたぶん、アカギは死なないのではないか。
もしかしてこのゲーム、楽勝?
(いや、ちょっと待って。だったらどうして平山さんは死んだの? ……おかしい)
舞美は、平山が一種の天才であったことを認めていた。彼は確率を信頼していた。アカギのような者に確率では敵わずとも、一般的には、平山は “負けない”麻雀を得手としていたのに。
それなのに、20万点を失って死んだ……?
(間違いなく、相手は確率を超えてくる。アカギと同じように)
舞美の予想は半分当たり半分外れていた。
20万点の取り決めにはまだ続きがあったからだ。サシウマを握っての勝負ということで、手痛く負ければたった1回の半荘で11万点取られてしまうこともあり得るらしい。
ただ。そうだとしても。
平山が、単に偶然毎回大きく負けた結果、死んだわけではないことは確かであった。
理詰めの平山が死んだ。
鷲巣は確率を大きく超えてくる。
その点において、舞美の予想は、やはり正しかったのである。
「このあとの取り決めについては仰木くんも知らない話」
「……⁈」
「わしは以前、数百万を賭けて麻雀をしていた時期がある」
レートについての話になった途端、舞美はアカギの様子が変わったのを感じた。アカギは既に、心の奥で目覚め始めている。もう目の前の老人を狩ろうとしているみたいだ。
「はやい話、レートが変化した」
舞美は鷲巣の言葉を待つ。これだけの億万長者。欲しいものは全て手に入れられるはずの彼は、富と引き換えに何を欲すのか。
「つまり——」
「察しはついてます」
口を挟んだのは、他でもないアカギだった。
「おそらく、打つものの血——血液を賭けろと言うんでしょう?」
打つものの血……⁈
アカギの血液って……。
(あ……じゃあ、平山さんは……)
舞美は絶句する。
アカギの発言に、みな驚いていた。
鷲巣はすぐに表情を歪める。
「聡明聡明。実に察しがいい」
舞美は後ろから、アカギの後頭部を見つめた。そして思った。アカギの望んでいた勝負は、こういうのなんじゃないかって。
「負けたら、君は死ぬ」
鷲巣は血液量について、あるいは実際のレートのやり取りについて説明を始めた。
半荘を6回で20万点。2000cc、2000万。
(20万点、ですって?)
舞美は顎に手を当てる。たとえ全ての半荘で飛んで、25000点が毎回0点になったとしても、6半荘なら失う点数は計15万点だ。死のボーダーラインである20万点には届かない。それならたぶん、アカギは死なないのではないか。
もしかしてこのゲーム、楽勝?
(いや、ちょっと待って。だったらどうして平山さんは死んだの? ……おかしい)
舞美は、平山が一種の天才であったことを認めていた。彼は確率を信頼していた。アカギのような者に確率では敵わずとも、一般的には、平山は “負けない”麻雀を得手としていたのに。
それなのに、20万点を失って死んだ……?
(間違いなく、相手は確率を超えてくる。アカギと同じように)
舞美の予想は半分当たり半分外れていた。
20万点の取り決めにはまだ続きがあったからだ。サシウマを握っての勝負ということで、手痛く負ければたった1回の半荘で11万点取られてしまうこともあり得るらしい。
ただ。そうだとしても。
平山が、単に偶然毎回大きく負けた結果、死んだわけではないことは確かであった。
理詰めの平山が死んだ。
鷲巣は確率を大きく超えてくる。
その点において、舞美の予想は、やはり正しかったのである。