15.一辺倒
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病院に寄ってきたというアカギが戻ってくると、安岡は心配そうに声をかけた。
「大丈夫なのか、肩の傷」
「あぁ、それはもう大丈夫です。あそこに寄ったのは、これです」
彼は、大量の栄養ドリンクを手にしていた。
「水分が補えればなんでもよかった。今夜は向こうが出すものは、お茶一杯と言えど口にしたくない」
「ああ、すまん! そういうのはこっちが気を回さにゃいかんのに」
「敵は一服盛るくらい平気でやってくる。なにせ、5億をふんだくろうっていう麻雀」
そんなことまで考えていたのか、と舞美は目を見開く。でも、アカギが栄養ドリンクを飲むところがあまり想像できない。
アカギはフフッと笑った。
「注意しすぎるってことはない」
舞美は密かに、そのドリンクを後で分けてもらおうと心に決めた。
***
午後10時。
ざあざあと雨が降り続く中、とうとう車が止まる。外には、大きな屋敷が見えた。
「これが今回の……」
今までの相手とはやっぱり桁違い。ごくりと喉を鳴らし、舞美は車を降り、アカギの後ろに立って、とうとう足を踏み入れる。
前方には、白服達が並んでいた。
すると、バタン、と背後で重々しく扉が閉まるので、舞美はびくっとしそうになって内心慌てる。もう既にここは敵の陣地。脅えなど見せてはいけない。それに、気弱い女だって思われたくないし。そう、こういう時は心の中で繰り返し言うの——女は度胸。
そして舞美は、ここで初めて今回の敵である鷲巣巌を目にする。長髪の老人。髪色は白だけど、アカギのそれとは種類が違っている。
けれど、なんだか変な感じがした。とにかくこの人は、普通じゃない。
「君かね。今夜の対戦相手は」
「ああ」
「若いな。けっこうけっこう。若さは貴重だ。それでこそ、わしの差し出す大金と釣り合う」
そう言って不気味に笑う。すると鷲巣は急に、大きな目玉をぎょろりと動かしこちらを見た。
突然目が合うものだから、舞美は身構えてしまいそうになる。鷲巣は「ほう?」と眉を上げた。
「後ろにいるのは君が大事にしている人かな。」
「……この女は何も関係ない。ただの観戦者」
「そうか。けっこうけっこう。勝負の行く末をちゃんと見る者がいなけりゃつまらんからの」
またもや不気味に笑う鷲巣。舞美は心の中で誓う。どちらが勝とうとも、神聖な勝負を最後まで見届けよう、と。
「では早速、鷲巣麻雀を始めようか」
「大丈夫なのか、肩の傷」
「あぁ、それはもう大丈夫です。あそこに寄ったのは、これです」
彼は、大量の栄養ドリンクを手にしていた。
「水分が補えればなんでもよかった。今夜は向こうが出すものは、お茶一杯と言えど口にしたくない」
「ああ、すまん! そういうのはこっちが気を回さにゃいかんのに」
「敵は一服盛るくらい平気でやってくる。なにせ、5億をふんだくろうっていう麻雀」
そんなことまで考えていたのか、と舞美は目を見開く。でも、アカギが栄養ドリンクを飲むところがあまり想像できない。
アカギはフフッと笑った。
「注意しすぎるってことはない」
舞美は密かに、そのドリンクを後で分けてもらおうと心に決めた。
***
午後10時。
ざあざあと雨が降り続く中、とうとう車が止まる。外には、大きな屋敷が見えた。
「これが今回の……」
今までの相手とはやっぱり桁違い。ごくりと喉を鳴らし、舞美は車を降り、アカギの後ろに立って、とうとう足を踏み入れる。
前方には、白服達が並んでいた。
すると、バタン、と背後で重々しく扉が閉まるので、舞美はびくっとしそうになって内心慌てる。もう既にここは敵の陣地。脅えなど見せてはいけない。それに、気弱い女だって思われたくないし。そう、こういう時は心の中で繰り返し言うの——女は度胸。
そして舞美は、ここで初めて今回の敵である鷲巣巌を目にする。長髪の老人。髪色は白だけど、アカギのそれとは種類が違っている。
けれど、なんだか変な感じがした。とにかくこの人は、普通じゃない。
「君かね。今夜の対戦相手は」
「ああ」
「若いな。けっこうけっこう。若さは貴重だ。それでこそ、わしの差し出す大金と釣り合う」
そう言って不気味に笑う。すると鷲巣は急に、大きな目玉をぎょろりと動かしこちらを見た。
突然目が合うものだから、舞美は身構えてしまいそうになる。鷲巣は「ほう?」と眉を上げた。
「後ろにいるのは君が大事にしている人かな。」
「……この女は何も関係ない。ただの観戦者」
「そうか。けっこうけっこう。勝負の行く末をちゃんと見る者がいなけりゃつまらんからの」
またもや不気味に笑う鷲巣。舞美は心の中で誓う。どちらが勝とうとも、神聖な勝負を最後まで見届けよう、と。
「では早速、鷲巣麻雀を始めようか」