15.一辺倒
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仰木の屋敷に世話になって数週間。
アカギの傷も最初よりは癒えており、包帯を変えるのもずっと上手くなった。
夜の営みが屋敷の者にバレていないか、は微妙だけど。いや多分バレバレなので、舞美はそのことを考えないようにしていた。
そしてとうとう、勝負相手と連絡がついたとの報告が入る。アカギはにやりと笑っていた。
***
そして勝負当日。
「わ、わたしは……?」
向かう準備を始めろと言う仰木に尋ねると、「問題ない」といった答えが返ってきた。
「こちらも数人の黒服を連れていく。その中に1人見物人として女が混じっていても構わんだろう」
「え、本当に! 嬉しい。ありがとうございます」
仲間はずれにされず、堂々とアカギの麻雀を見られるなんてかなりツイてる。
……負けたら命がなくなる、かもしれない麻雀。アカギが勝てば平山の敵討ちにもなる。そんなのを見逃すわけにはいかないから、もし観戦を断られたらなんとか屋敷に潜り込むつもりでいた。幸運にもその必要はなくなったけど。
雨音が激しくなってきて、舞美は訳もなく雨に打たれてずぶ濡れになりたいと思った。
勿論そんな奇行に走ることなく、アカギと同じ車に大人しく乗り込む。今日は軽々しくアカギに話しかけようなどとは思わない。
今回の勝負が今までと圧倒的に違っていることは、黒服たちの武装でよく分かった。
「あのさ」
それなのになんと、アカギの方から耳打ちをされる。舞美は話しかけられたことが嬉しくて、「何々?」と身体を寄せる。
そんな彼女の胸中とは裏腹に、彼の発する単語は聞こえが良いものではなかった。
「たとえオレが死のうと、あんたは生きなよ。」
「……えっ」
「後追いしそうだからさ、あんた」
舞美は動きを止める。
「あれ、違った?」
普段通りに笑うアカギに舞美は目を向け、ごくりと唾を飲む。アカギのいない世界なんて、そんなのあり得ない。けど、勝負に命を賭けるアカギが好きでもあって。
自分の愛したその矛盾に、初めて追い詰められた。
あの日結局出せなかった結論を迫られている。
アカギは自殺するなと言う。
「それはあんたの意志じゃないだろ。」
舞美は小さく言った。
「それはその時考える。死ぬ時は死ぬ」
アカギの口調を真似たのもあってか、彼はくすくす笑い出した。
「ああ。あんたは初めからそうだった」
そして、仰木に「ちょっと寄って欲しいところがある」と告げ、車を降りていった。
もう、アカギにとって“死ぬ” “死なない” の話は終わったらしかった。
アカギの傷も最初よりは癒えており、包帯を変えるのもずっと上手くなった。
夜の営みが屋敷の者にバレていないか、は微妙だけど。いや多分バレバレなので、舞美はそのことを考えないようにしていた。
そしてとうとう、勝負相手と連絡がついたとの報告が入る。アカギはにやりと笑っていた。
***
そして勝負当日。
「わ、わたしは……?」
向かう準備を始めろと言う仰木に尋ねると、「問題ない」といった答えが返ってきた。
「こちらも数人の黒服を連れていく。その中に1人見物人として女が混じっていても構わんだろう」
「え、本当に! 嬉しい。ありがとうございます」
仲間はずれにされず、堂々とアカギの麻雀を見られるなんてかなりツイてる。
……負けたら命がなくなる、かもしれない麻雀。アカギが勝てば平山の敵討ちにもなる。そんなのを見逃すわけにはいかないから、もし観戦を断られたらなんとか屋敷に潜り込むつもりでいた。幸運にもその必要はなくなったけど。
雨音が激しくなってきて、舞美は訳もなく雨に打たれてずぶ濡れになりたいと思った。
勿論そんな奇行に走ることなく、アカギと同じ車に大人しく乗り込む。今日は軽々しくアカギに話しかけようなどとは思わない。
今回の勝負が今までと圧倒的に違っていることは、黒服たちの武装でよく分かった。
「あのさ」
それなのになんと、アカギの方から耳打ちをされる。舞美は話しかけられたことが嬉しくて、「何々?」と身体を寄せる。
そんな彼女の胸中とは裏腹に、彼の発する単語は聞こえが良いものではなかった。
「たとえオレが死のうと、あんたは生きなよ。」
「……えっ」
「後追いしそうだからさ、あんた」
舞美は動きを止める。
「あれ、違った?」
普段通りに笑うアカギに舞美は目を向け、ごくりと唾を飲む。アカギのいない世界なんて、そんなのあり得ない。けど、勝負に命を賭けるアカギが好きでもあって。
自分の愛したその矛盾に、初めて追い詰められた。
あの日結局出せなかった結論を迫られている。
アカギは自殺するなと言う。
「それはあんたの意志じゃないだろ。」
舞美は小さく言った。
「それはその時考える。死ぬ時は死ぬ」
アカギの口調を真似たのもあってか、彼はくすくす笑い出した。
「ああ。あんたは初めからそうだった」
そして、仰木に「ちょっと寄って欲しいところがある」と告げ、車を降りていった。
もう、アカギにとって“死ぬ” “死なない” の話は終わったらしかった。