2.目覚め
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それに、チキンランなんてしでかしたやつはこんなところで悠長に麻雀を打たないし、ここにいる人たちが庇うはずもない。アカギはそのように論を展開した。
「なるほど……」
刑事は完全に納得してはいなさそうだが、なんとか丸め込むことができたようだ。舞美は密かに安堵し、アカギの服から手を離した。
「さてと……始めようか?」
「え…?」
「番!」
「ああ…」
なんだかよく分からない内に、アカギは勝負を再開させた。
すると、アカギの待ちである“西”がサシウマ相手である竜崎から転がり落ちてきたではないか。
「ロン…!」
ここまで上手くいくものなの⁈ と、アカギの強運に嫉妬する舞美。しかし、こんな人に出会えたんだから、わたしも運が良い方なのだろう。舞美はそう思うことにした。
が、やはりヤクザたちは許してはくれない。
「なんだっこりゃ、てめぇっ…! なめとんのかっ…!」
隣に座っていたアカギが、首元を掴まれ、その場に立たされる。舞美は「アカギ」と叫びそうになったが、刑事がいることを思い出してなんとか機転を利かせ、
「しげ兄 !」
と言いつつアカギに縋った。
それから、「アカギに手を出したら噛み付くわよ」といったような顔で、きっとヤクザたちを睨む。
竜崎は刑事がいることもあり、「よせ」とそいつを止め、仕方なく和了を認めた。
つまり、この勝負はアカギの勝ちってこと!
舞美は手を叩きそうになったが、竜崎は恐ろしい声色でこう告げた。
「もし…またやってその現場を押さえられたらこの世界じゃ指をとる」
ヤクザをなめた罪、それはこの世で一番重い実刑。情状酌量の余地なし——
そんなことを言われても、アカギは少しの笑みを浮かべたまま、余裕そうに立っていた。
舞美は自分の両手の指をじっと見つめてから、きゅっと握った。自分に指を賭ける度胸があったとしても、才が無ければ意味がない。
やはり、アカギは特別なのだろう。
竜崎らは一旦休憩と称し、少し席を外した。
舞美も、アカギに近寄って、「やったね」と声をかける。アカギは「うん」と頷いた。
「がんばったでしょ」
「え?」
さっきまであんなイカサマとかしてた人が、澄んだ瞳で「がんばった」なんて言うものだから、舞美は驚いて固まった。
「フフ、あんたががんばれって言ったんじゃない……」
「それは、そうだけど。頑張りすぎ。本当にすごいと思う。色々危なかったのに」
「まぁね」
そう言ってからアカギは、何か思い出したようで、「ああ、そうそう」と言いながら、舞美の耳元に口を寄せた。
何を言われるのだろうかと、舞美はどきどきが止まらない。こしょこしょ話はいつになっても、どんな状況でも楽しいものである。
アカギは、吐息がかったその声で囁いた。
「しげ兄ってなんだよ。あの時、笑いを堪えるのが大変だった」
「あ、あれは……!」
舞美は恥ずかしくて、真っ赤になった。確かにあの呼び名はおかしい。アカギはクククと楽しそうに笑った。それから、
「ま、あんたも夜を知ってるだけあって、咄嗟の判断は結構上手いんじゃない」
と、舞美を褒めた。そんなことを言われるとは予想していなかった舞美は、照れながら、「そう?」と頭をかく。
「連れていかなきゃ通報する、って脅されたこと、オレは忘れないと思うけど」
横目でじっと見られ、舞美は「うっ」と声を出した。
でも、そのままわたしのことをずっと覚えていてほしい。
なんとなく、そう願った。
(わたしは忘れないだろうから)
「なるほど……」
刑事は完全に納得してはいなさそうだが、なんとか丸め込むことができたようだ。舞美は密かに安堵し、アカギの服から手を離した。
「さてと……始めようか?」
「え…?」
「番!」
「ああ…」
なんだかよく分からない内に、アカギは勝負を再開させた。
すると、アカギの待ちである“西”がサシウマ相手である竜崎から転がり落ちてきたではないか。
「ロン…!」
ここまで上手くいくものなの⁈ と、アカギの強運に嫉妬する舞美。しかし、こんな人に出会えたんだから、わたしも運が良い方なのだろう。舞美はそう思うことにした。
が、やはりヤクザたちは許してはくれない。
「なんだっこりゃ、てめぇっ…! なめとんのかっ…!」
隣に座っていたアカギが、首元を掴まれ、その場に立たされる。舞美は「アカギ」と叫びそうになったが、刑事がいることを思い出してなんとか機転を利かせ、
「しげ
と言いつつアカギに縋った。
それから、「アカギに手を出したら噛み付くわよ」といったような顔で、きっとヤクザたちを睨む。
竜崎は刑事がいることもあり、「よせ」とそいつを止め、仕方なく和了を認めた。
つまり、この勝負はアカギの勝ちってこと!
舞美は手を叩きそうになったが、竜崎は恐ろしい声色でこう告げた。
「もし…またやってその現場を押さえられたらこの世界じゃ指をとる」
ヤクザをなめた罪、それはこの世で一番重い実刑。情状酌量の余地なし——
そんなことを言われても、アカギは少しの笑みを浮かべたまま、余裕そうに立っていた。
舞美は自分の両手の指をじっと見つめてから、きゅっと握った。自分に指を賭ける度胸があったとしても、才が無ければ意味がない。
やはり、アカギは特別なのだろう。
竜崎らは一旦休憩と称し、少し席を外した。
舞美も、アカギに近寄って、「やったね」と声をかける。アカギは「うん」と頷いた。
「がんばったでしょ」
「え?」
さっきまであんなイカサマとかしてた人が、澄んだ瞳で「がんばった」なんて言うものだから、舞美は驚いて固まった。
「フフ、あんたががんばれって言ったんじゃない……」
「それは、そうだけど。頑張りすぎ。本当にすごいと思う。色々危なかったのに」
「まぁね」
そう言ってからアカギは、何か思い出したようで、「ああ、そうそう」と言いながら、舞美の耳元に口を寄せた。
何を言われるのだろうかと、舞美はどきどきが止まらない。こしょこしょ話はいつになっても、どんな状況でも楽しいものである。
アカギは、吐息がかったその声で囁いた。
「しげ兄ってなんだよ。あの時、笑いを堪えるのが大変だった」
「あ、あれは……!」
舞美は恥ずかしくて、真っ赤になった。確かにあの呼び名はおかしい。アカギはクククと楽しそうに笑った。それから、
「ま、あんたも夜を知ってるだけあって、咄嗟の判断は結構上手いんじゃない」
と、舞美を褒めた。そんなことを言われるとは予想していなかった舞美は、照れながら、「そう?」と頭をかく。
「連れていかなきゃ通報する、って脅されたこと、オレは忘れないと思うけど」
横目でじっと見られ、舞美は「うっ」と声を出した。
でも、そのままわたしのことをずっと覚えていてほしい。
なんとなく、そう願った。
(わたしは忘れないだろうから)