13.過不及
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しばらくして、タクシーが止まった。目的地に着いたらしい。安岡と共に降りると、そこは寂れた病院だった。ここにアカギがいるという。
舞美と安岡が急いで中に入ると、廊下に男が立っていた。
「仰木」
と、安岡がその男に呼びかける。
ということは、この男こそが例の若頭のようだ。
「アカギは」
「今向こうで治療中だ」
「死なないのか」
「ああ。あのくらいの傷は、元々命に関わるようなものじゃねえ。血さえ止まればな」
「ほ、本当に?」
舞美はその言葉を安岡の後ろで聞き、安心してほっと息をつき、壁に寄り掛かった。
極道がそう言うのならきっと大丈夫だ。
「良かった……」
本当は姿を見るまで心配なのだが、とりあえずこれが原因で死ぬことはなくなった。つまりここにいればまたアカギに会える。
そんな舞美を見た仰木は、眉をあげた。
「彼女が、例の女性か」
「ああ、そうだ」
「え? わたし?」
舞美は自分のことを話されていると気がつき、仰木に向き直り挨拶をした。
「こんばんは。アカギを助けてくれてありがとうございました」
「構わねえよ。それより、名前をなんといったかな」
「東雲舞美といいます」
「なるほど。流石、赤木しげるが唯一愛した女性 だな」
「えっ」
舞美は驚いて固まった。
流石に思いあがってしまう。
すると安岡が言った。
「それより、おまえの恋人、本当に変わらないな。おまえがもっとちゃんとしつけてやれよ」
第三者から“恋人” なんて言葉を使われると、舞美はこうして赤くなってしまう。
「わ、わたしがアカギをしつけるなんてできるわけないでしょ。それに、安岡さんたちはアカギが常人じゃないからこそ、その力を借りに来たんじゃないの」
「……まあ、その通りだな」
そして自分も、アカギのそんな部分が好き。
(早くアカギに会いたい)
……とは言え、“もしアカギをしつけられたら” なんていう妄想をするのも悪くないかも。
舞美は心の中で舌を出した。
***
しばらくして治療は終わった。
アカギには病室が与えられる。
もちろん初めは入れてもらえなかったが、重病というわけではないためすぐに解放された。
やった、彼に会える!
と、意気込んで病室に入る舞美。
——そこには、目をつむって安らかな寝息を立てる、患者衣を纏ったアカギがいたのだった。
舞美と安岡が急いで中に入ると、廊下に男が立っていた。
「仰木」
と、安岡がその男に呼びかける。
ということは、この男こそが例の若頭のようだ。
「アカギは」
「今向こうで治療中だ」
「死なないのか」
「ああ。あのくらいの傷は、元々命に関わるようなものじゃねえ。血さえ止まればな」
「ほ、本当に?」
舞美はその言葉を安岡の後ろで聞き、安心してほっと息をつき、壁に寄り掛かった。
極道がそう言うのならきっと大丈夫だ。
「良かった……」
本当は姿を見るまで心配なのだが、とりあえずこれが原因で死ぬことはなくなった。つまりここにいればまたアカギに会える。
そんな舞美を見た仰木は、眉をあげた。
「彼女が、例の女性か」
「ああ、そうだ」
「え? わたし?」
舞美は自分のことを話されていると気がつき、仰木に向き直り挨拶をした。
「こんばんは。アカギを助けてくれてありがとうございました」
「構わねえよ。それより、名前をなんといったかな」
「東雲舞美といいます」
「なるほど。流石、赤木しげるが唯一愛した
「えっ」
舞美は驚いて固まった。
流石に思いあがってしまう。
すると安岡が言った。
「それより、おまえの恋人、本当に変わらないな。おまえがもっとちゃんとしつけてやれよ」
第三者から“恋人” なんて言葉を使われると、舞美はこうして赤くなってしまう。
「わ、わたしがアカギをしつけるなんてできるわけないでしょ。それに、安岡さんたちはアカギが常人じゃないからこそ、その力を借りに来たんじゃないの」
「……まあ、その通りだな」
そして自分も、アカギのそんな部分が好き。
(早くアカギに会いたい)
……とは言え、“もしアカギをしつけられたら” なんていう妄想をするのも悪くないかも。
舞美は心の中で舌を出した。
***
しばらくして治療は終わった。
アカギには病室が与えられる。
もちろん初めは入れてもらえなかったが、重病というわけではないためすぐに解放された。
やった、彼に会える!
と、意気込んで病室に入る舞美。
——そこには、目をつむって安らかな寝息を立てる、患者衣を纏ったアカギがいたのだった。