13.過不及
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舞美は可哀想な倉田組を見て笑みを隠すのに必死だった。アカギに目をつけられたばかりに、次々と毟られていく彼ら。
賭け事が、まさか丁半博打だとは。アカギにとって、たかが2分の1の出目を予想することなど、赤子の手をひねるようなものだ。
(ふふ、可哀想な壺振りさん)
他の客もいるというのに、向こうの奴らはもうアカギしか見えていないようだ。完全にこちらを潰そうとしている。それも無理はない、アカギに引き際なんてものはないから。
ここぞという大一番で出目を当てると、アカギは一瞬だけ舞美に視線を送る。
舞美はそれだけで笑みが消せなくなってしまう。まるで「褒めて」と言わんばかりだ。
今夜も所持金を何倍かにして、組の屋敷を出た。たまにお遊びで舞美も賭けてみたが、中々楽しめた。まるでテーマパークに訪れるかのように、毎夜ヤクザの屋敷に足を運ぶ男女。
ヤクザにとって、かつてアカギと舞美ほどしゃくに触る客はいなかったろう。
そんな調子で、ここ数日は、丁半博打ばかりしていた。もちろんアカギは手加減などしない。
屋敷を潰す勢いだ。
そして、アカギの噂も飛び交いだした。
舞美はなんとなく誇らしくなる。
(……まあ、アカギは富も名声も、さして興味がないんでしょうけど)
***
ある日の博打の帰り、彼らから声をかけられた。
「すまないが、アカギさん。流石にそれだけ勝たれると、こちらとしても苦しい部分がありましてな」
アカギは動きを止め、だろうね、と呟いてから首を傾げた。
「……だから?」
舞美はアカギの後ろで不安になった。
流石に勝ちすぎたんだ。出禁になるかも。
一方、彼らが口にしたのは1つの提案だった。
「どうかな、明日は賭場を早めに閉め、アカギさんとサシ勝負をしたいのだが」
「……なるほど」
ヤクザ側の口調は丁寧だが、目の奥はギラつき、隠した牙でこちらを噛み殺そうとしているのが分かる。もちろん、この誘いは断れるものではないだろう。
「今まであんたが勝った分全額を賭けて、勝負してもらおうか」
「面白い。」
当然、アカギはすぐに受け入れた。
舞美は全額がいくらになるのか分からず、とにかくこれは相当な大勝負だぞ、と密かに興奮していた。
勝てばまた倍になり、奴らに大きなダメージを与えられるし、負ければその分の負債を背負うことになる。そうなれば舞美も無関係ではいられない。
「ただし、」
そいつは言う。
「明日は、是非1人で来ていただきたい。」
賭け事が、まさか丁半博打だとは。アカギにとって、たかが2分の1の出目を予想することなど、赤子の手をひねるようなものだ。
(ふふ、可哀想な壺振りさん)
他の客もいるというのに、向こうの奴らはもうアカギしか見えていないようだ。完全にこちらを潰そうとしている。それも無理はない、アカギに引き際なんてものはないから。
ここぞという大一番で出目を当てると、アカギは一瞬だけ舞美に視線を送る。
舞美はそれだけで笑みが消せなくなってしまう。まるで「褒めて」と言わんばかりだ。
今夜も所持金を何倍かにして、組の屋敷を出た。たまにお遊びで舞美も賭けてみたが、中々楽しめた。まるでテーマパークに訪れるかのように、毎夜ヤクザの屋敷に足を運ぶ男女。
ヤクザにとって、かつてアカギと舞美ほどしゃくに触る客はいなかったろう。
そんな調子で、ここ数日は、丁半博打ばかりしていた。もちろんアカギは手加減などしない。
屋敷を潰す勢いだ。
そして、アカギの噂も飛び交いだした。
舞美はなんとなく誇らしくなる。
(……まあ、アカギは富も名声も、さして興味がないんでしょうけど)
***
ある日の博打の帰り、彼らから声をかけられた。
「すまないが、アカギさん。流石にそれだけ勝たれると、こちらとしても苦しい部分がありましてな」
アカギは動きを止め、だろうね、と呟いてから首を傾げた。
「……だから?」
舞美はアカギの後ろで不安になった。
流石に勝ちすぎたんだ。出禁になるかも。
一方、彼らが口にしたのは1つの提案だった。
「どうかな、明日は賭場を早めに閉め、アカギさんとサシ勝負をしたいのだが」
「……なるほど」
ヤクザ側の口調は丁寧だが、目の奥はギラつき、隠した牙でこちらを噛み殺そうとしているのが分かる。もちろん、この誘いは断れるものではないだろう。
「今まであんたが勝った分全額を賭けて、勝負してもらおうか」
「面白い。」
当然、アカギはすぐに受け入れた。
舞美は全額がいくらになるのか分からず、とにかくこれは相当な大勝負だぞ、と密かに興奮していた。
勝てばまた倍になり、奴らに大きなダメージを与えられるし、負ければその分の負債を背負うことになる。そうなれば舞美も無関係ではいられない。
「ただし、」
そいつは言う。
「明日は、是非1人で来ていただきたい。」