13.過不及
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きっと、アカギも近々その予定であったのだろう。それでも、舞美からその発言が出たことに、彼は多かれ少なかれ、驚いているようではあった。
しかし、行くとなれば話は早い。
賭場についての情報はすぐに手に入り、とんとん拍子で 倉田組の取り仕切る鉄火場へ赴くことが決定した。
はじめ、舞美はそこへ立ち入ることができなかった。
「また? こういうの、何回目よ」
「まあ、今日は我慢して宿で待ってな。明日からなら歓迎されるかもしれないでしょ」
「そんなことある?」
「案外ね」
「……じゃあ、任せる。がんばって」
屋敷の前でそう言うと、
「うん……“がんばる”、よ」
とアカギが言うので、懐かしい気分になった。
「夜道、気をつけな」
「うん」
宿への道のりは近いのに、アカギから身の安全を気にかけてもらえることが、舞美には嬉しくてたまらない。
***
夜、アカギがちゃんと宿に戻ってきたときは、胸を撫で下ろした。彼の帰る場所は、自分の隣だと胸を張って言える気がする。
そして、アカギが初めて組と勝負をしたその次の日から、アカギの付き添いとして中へ入ることが許された。
「ね、オレの言った通りでしょ」
やはり昨晩、アカギは大勝ちしたようだ。組としてはなんとしてでもアカギを負かし、金を回収しなければならない。だからこそ、彼らは「是非明日も来てください」といった態度に変わる。そうなれば、アカギが舞美を連れ込むことも可能になるわけだ。
もちろん、安全は保証されていない。
屋敷に踏み込むと、アカギは舞美に囁いた。
「離れるなよ、オレから」
「……えっ」
どきっとした。
舞美の “恋する乙女脳”は、今の言葉を口説き文句として処理したらしい。
アカギは続けた。
「勝負が始まったら、オレの後ろにいなよ。じゃなきゃ、何かあった時守れない」
そこで舞美はようやくピンとくる。
屋敷に入るにあたって、アカギは舞美に忠告していたのだった。
まともな仲介人もいない、ヤクザとの賭け勝負。何が起こるか分からない。
しかし、舞美は、アカギに「危ないからついてくるな」と言われなかった。
それはもちろん、舞美がついていきたがっていることを、アカギが十分に理解しているからだ。
つくづく、男らしいな、と思う。
危ないからくるな、ではなく、危ないから離れるな。
そうやって見るアカギの背中は、舞美の大好きな光景の1つでもあった。
しかし、行くとなれば話は早い。
賭場についての情報はすぐに手に入り、とんとん拍子で 倉田組の取り仕切る鉄火場へ赴くことが決定した。
はじめ、舞美はそこへ立ち入ることができなかった。
「また? こういうの、何回目よ」
「まあ、今日は我慢して宿で待ってな。明日からなら歓迎されるかもしれないでしょ」
「そんなことある?」
「案外ね」
「……じゃあ、任せる。がんばって」
屋敷の前でそう言うと、
「うん……“がんばる”、よ」
とアカギが言うので、懐かしい気分になった。
「夜道、気をつけな」
「うん」
宿への道のりは近いのに、アカギから身の安全を気にかけてもらえることが、舞美には嬉しくてたまらない。
***
夜、アカギがちゃんと宿に戻ってきたときは、胸を撫で下ろした。彼の帰る場所は、自分の隣だと胸を張って言える気がする。
そして、アカギが初めて組と勝負をしたその次の日から、アカギの付き添いとして中へ入ることが許された。
「ね、オレの言った通りでしょ」
やはり昨晩、アカギは大勝ちしたようだ。組としてはなんとしてでもアカギを負かし、金を回収しなければならない。だからこそ、彼らは「是非明日も来てください」といった態度に変わる。そうなれば、アカギが舞美を連れ込むことも可能になるわけだ。
もちろん、安全は保証されていない。
屋敷に踏み込むと、アカギは舞美に囁いた。
「離れるなよ、オレから」
「……えっ」
どきっとした。
舞美の “恋する乙女脳”は、今の言葉を口説き文句として処理したらしい。
アカギは続けた。
「勝負が始まったら、オレの後ろにいなよ。じゃなきゃ、何かあった時守れない」
そこで舞美はようやくピンとくる。
屋敷に入るにあたって、アカギは舞美に忠告していたのだった。
まともな仲介人もいない、ヤクザとの賭け勝負。何が起こるか分からない。
しかし、舞美は、アカギに「危ないからついてくるな」と言われなかった。
それはもちろん、舞美がついていきたがっていることを、アカギが十分に理解しているからだ。
つくづく、男らしいな、と思う。
危ないからくるな、ではなく、危ないから離れるな。
そうやって見るアカギの背中は、舞美の大好きな光景の1つでもあった。