12.一本気
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「あんたって意外とウブだよね」
そう言うアカギの声を聞き流し、舞美はとりあえず人前に出れるような格好になった。
しばらくしてふと振り返ると、アカギもいつもの服装に戻っている。
昨夜、シャツの下を見てしまったからなのか。彼は服を着ているというのに、いやに艶かしく思えた。
(……前からそうだったかも)
***
舞美はアカギと共に宿を後にし、これからの、指針のない生活に心躍らせた。
予定というものが何もない。
明日も明後日も、何もする必要はないし、逆に言うとなんだってできる。
これからは夜の街に生きる。
もう人目を盗んで散歩などすることはない。
アカギといれば、どこにだって行ける。
(アカギより強いやつなんて、いないだろうし)
舞美は、アカギとの生活を、適度に危険で、でも結局は “平穏” とも呼べるような暮らしなのだと思っていた。
***
後に舞美は、自分は大きな思い違いをしていたと分かる。
そして思い知る。
多少、人よりも度胸があるからといって、アカギと一緒にいるのがそんなに簡単にいくわけではない、と。
その兆候は既に始まろうとしていた。
アカギから少し目を離すと、小さいながらも怪我を負って宿に帰ってくるようになったのである。
初めてアカギが傷を作ってきたのは、初夜から二週間も立たぬ頃だった。
12.一本気〈完〉
そう言うアカギの声を聞き流し、舞美はとりあえず人前に出れるような格好になった。
しばらくしてふと振り返ると、アカギもいつもの服装に戻っている。
昨夜、シャツの下を見てしまったからなのか。彼は服を着ているというのに、いやに艶かしく思えた。
(……前からそうだったかも)
***
舞美はアカギと共に宿を後にし、これからの、指針のない生活に心躍らせた。
予定というものが何もない。
明日も明後日も、何もする必要はないし、逆に言うとなんだってできる。
これからは夜の街に生きる。
もう人目を盗んで散歩などすることはない。
アカギといれば、どこにだって行ける。
(アカギより強いやつなんて、いないだろうし)
舞美は、アカギとの生活を、適度に危険で、でも結局は “平穏” とも呼べるような暮らしなのだと思っていた。
***
後に舞美は、自分は大きな思い違いをしていたと分かる。
そして思い知る。
多少、人よりも度胸があるからといって、アカギと一緒にいるのがそんなに簡単にいくわけではない、と。
その兆候は既に始まろうとしていた。
アカギから少し目を離すと、小さいながらも怪我を負って宿に帰ってくるようになったのである。
初めてアカギが傷を作ってきたのは、初夜から二週間も立たぬ頃だった。
12.一本気〈完〉