12.一本気
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アカギは満足げに煙草を吸いだした。
舞美は両肘をついて、にやにやしながら首を傾げる。
「アカギは、わたしと初めて会った時のこと覚えてる?」
「……覚えてるよ」
ふう、と煙を吐いて、アカギは情景を思い出す素振りをする。あの時2人が出会ったのは、偶然だとも必然だとも断定しがたかった。
「第一印象は、胡散くさい女だったな」
「え」
「仕方ないでしょ。チキンランの直後、見知らぬ女に脅されるんだぜ。どこかのグループの勧誘かと思った」
思い返してみると、確かに声を掛けた時のアカギはとても面倒そうな顔をしていた気がする。
「でも、連れていってくれてよかった。もし脅しが効かなくて断られたら、わたしは打つ手なしだったんだから」
「だろうね。まあ、女1人なら何かあった時もどうにかなるだろうとタカをくくってた」
「そうだったの」
気がつかなかった。舞美は唾を飲み込む。
「それに」
「それに?」
舞美が目をまん丸にすると、アカギは目を逸らした。「いや、なんでもない」と煙草を口に運ぶ様子はアカギらしからぬ行動で。
「なに、教えてよ」
「別に良いけど……舞美怒るなよ」
不機嫌そうにそう言うアカギは、年相応に見えた。そんな彼の一面に舞美はぷっと吹き出して笑う。
「分かった、怒らないから聞かせて」
アカギは再度煙を吐いて言った。
「オレにも下心があったってこと」
「し、下心?」
当時のアカギは謎多き美少年といった神聖な雰囲気で、下心など微塵も感じさせなかった。そもそも、女に興味があるんだかないんだかといった様子だったのに。舞美は驚きを隠せない。
「どういうこと?」
「あれ、忘れたの」
アカギは笑った。
「あんた、下着透けてたから」
あ。
舞美は思い出して、軽くアカギをはたいた。
「ヘンタイ!」
「……2回目だ、あんたにそれ言われたの」
クククと笑うアカギに、舞美はもう一度彼の肌を「もうっ」と冗談混じりに叩いた。
そう言えばそうだった。アカギは完全に神聖な少年なんかではなかった。
「ま、オレもそういう“歳頃”だったから」
「……説得力ない。他の部分が大人びすぎてる」
「フフ、よく言うぜ。あんたが1番下心あったくせに」
「え?」
「オレに興味があってついてきたってのは、そういうことでしょ」
違うの?
にやりと悪い笑みを浮かべるアカギ。
こうしてアカギに抱かれた今、舞美は否定することができず、照れ隠しにもう一度彼をはたいてみるのだった。
舞美は両肘をついて、にやにやしながら首を傾げる。
「アカギは、わたしと初めて会った時のこと覚えてる?」
「……覚えてるよ」
ふう、と煙を吐いて、アカギは情景を思い出す素振りをする。あの時2人が出会ったのは、偶然だとも必然だとも断定しがたかった。
「第一印象は、胡散くさい女だったな」
「え」
「仕方ないでしょ。チキンランの直後、見知らぬ女に脅されるんだぜ。どこかのグループの勧誘かと思った」
思い返してみると、確かに声を掛けた時のアカギはとても面倒そうな顔をしていた気がする。
「でも、連れていってくれてよかった。もし脅しが効かなくて断られたら、わたしは打つ手なしだったんだから」
「だろうね。まあ、女1人なら何かあった時もどうにかなるだろうとタカをくくってた」
「そうだったの」
気がつかなかった。舞美は唾を飲み込む。
「それに」
「それに?」
舞美が目をまん丸にすると、アカギは目を逸らした。「いや、なんでもない」と煙草を口に運ぶ様子はアカギらしからぬ行動で。
「なに、教えてよ」
「別に良いけど……舞美怒るなよ」
不機嫌そうにそう言うアカギは、年相応に見えた。そんな彼の一面に舞美はぷっと吹き出して笑う。
「分かった、怒らないから聞かせて」
アカギは再度煙を吐いて言った。
「オレにも下心があったってこと」
「し、下心?」
当時のアカギは謎多き美少年といった神聖な雰囲気で、下心など微塵も感じさせなかった。そもそも、女に興味があるんだかないんだかといった様子だったのに。舞美は驚きを隠せない。
「どういうこと?」
「あれ、忘れたの」
アカギは笑った。
「あんた、下着透けてたから」
あ。
舞美は思い出して、軽くアカギをはたいた。
「ヘンタイ!」
「……2回目だ、あんたにそれ言われたの」
クククと笑うアカギに、舞美はもう一度彼の肌を「もうっ」と冗談混じりに叩いた。
そう言えばそうだった。アカギは完全に神聖な少年なんかではなかった。
「ま、オレもそういう“歳頃”だったから」
「……説得力ない。他の部分が大人びすぎてる」
「フフ、よく言うぜ。あんたが1番下心あったくせに」
「え?」
「オレに興味があってついてきたってのは、そういうことでしょ」
違うの?
にやりと悪い笑みを浮かべるアカギ。
こうしてアカギに抱かれた今、舞美は否定することができず、照れ隠しにもう一度彼をはたいてみるのだった。