Prrrrrr......

『0 から 着信 です』

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もしもし、こんばんは。宇海です。

うん、そう。

キミの言う“あの宇海” っていうのがオレのことか分からないけど、宇海零です。


あ、突然夜遅くに電話しちゃってごめん。

驚かせちゃったね。

でも、やっぱりまだ起きてたんだ。

もしかしてもうすぐ寝るところ？

それなら切るけど……。

大丈夫、か。それなら良かった。

ふふふ。舞美って結構夜更かしなんだね。知らなかったよ。


オレは……色々考え事してただけだけどさ。

え？　そうかな？

まあ、確かに……。

電話相手がキミじゃなかったら、「夜更かしは体に良くないよ」くらい、言うかもしれないけど。

でも、オレが電話したくて掛けたんだから。

舞美の声だけでも聞けてよかった。


……えっ、誰でも良かったわけじゃないよ！

そりゃ、オレも男だから、寂しい夜だってある……。

って、そうじゃなくてさ。

舞美に掛けたくて掛けたの。

他の子なんていないよ。


……。

……ねえ、聞いてる？

ああごめん、返事が無かったから。

——もしかして照れてるの？


ふふ、てっきり嫌われちゃったのかと思った。

照れるなんて可愛いね。

とっても女の子らしくて。

まあ、オレも意外と照れてるけど。

あ、気がつかなかった？

オレ結構緊張してるんだぜ。


ほんとほんと！ 嘘じゃないって。

さっきも躊躇しちゃって、電話番号何度か打ち直したもん。

なっ。

頭良いのにって言うけど、勉強できるかどうかなんて関係ないだろ、“恋愛”に。


……きゅ、急に黙るのやめてよ！

あのね、オレがいくら優等生に見えるからって、どこまでも純粋（ピュア）だって思わないでね。

オレだって男なんだよ。

女の子のこと好きになったって良いでしょ……？


あーあ。

こんなこと言ってたら舞美に会いたくなっちゃった。

ああ、安心して。

こんな夜遅く急に行ったりしないからさ。

なんでって、そりゃ、迷惑だしさ……。

逆に、もしオレが今舞美ん家の前にいたらどうするんだよ？

……え、入れてくれる、の？


ふーん……そうなんだ。

そうなんだ……。


ああ、舞美、ごめんね。悪いけど、

急用ができたからちょっと電話切る。

とりあえず、もう少しの間起きてて欲しいな。

あと、玄関には注意しておいてよ。

そんなに時間、掛からないから。




ま、ここまで言えば分かるかな。



——フフ、急用ってなんだと思う？














……待ってて。




Pips.