無頼な恋
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「私と涯くんは、恋人ってこと……?」
「わ、分からないけど……多分。」
「えっじゃあ、涯くんは、私の、か、彼氏……。それで私は、」
「オレの“彼女”」
カノジョ、なんて言葉を発するオレが珍しかったのか、東雲は照れながらもクスクス笑った。
「嬉しい……けど、恋人って、どういうこと、するんだろう」
「それは……」
「さっきみたいなのは、まだ、ダメだからね」
「え。じゃあ、いつになったら良いんだよ?」
「ま、待っててよ。心の準備が……」
「待ってたら、舞美からしてもらえるってんなら、待つ」
オレはまた、意地悪に口を歪ませた。
男慣れしていない東雲の反応が堪らない。
「オレのこと好きなんだろ」
「……うん」
素直に顔を赤くするのもずるいだろ。
つられて赤くなってしまう。
せっかく格好がついてたのに……。
「今日はこれで、我慢してね……」
って、オイ⁈
東雲は、色っぽくこちらへ近づいてきた。
そして、オレの頰にそっと口付ける。
彼女の柔らかな唇の感触を確かめた瞬間に、オレはその一点から固まって、熱くなった。
ふしゅーと湯気が出そうになり、オレは半ば催眠術にかかったかのように、呟いた。
「……こんなんじゃ、もたねえ」
***
その日の帰り、せっかく東雲と帰ったというのに、オレは緊張して手を繋ぐことさえできなかった。赤信号待ちの時、一瞬だけ小指を絡ませられただけで今日は十分……。
って、こんな調子じゃ、彼女の唇を奪えるのはずっと先になりそうだな。
それまでは、まあ、恋愛初心者のオレたちは少しずつ距離を縮めることから始めるしかない。
だから、そのためにはまず、
「涯くん、……すき」
この笑顔に一々悩殺されるのを、克服しなきゃな。
そしてこれからは、オレが東雲を守るんだ。……他の男が寄り付かないように。
だってコイツはもう、オレのものだから。
「舞美」
「……はあい」
オレは彼女の目を覗き込む。
「……オレもすき」
ぽっと赤くなる東雲。
以前オレが謳っていた「孤立」は、やはり誤っていたのだ。
今のオレは、東雲を欲している。
これに間違いはない。
悔しいが、それが今回の真実だ。
真実はただオレの元に。
——ま、結局、一目惚れしちまったオレの負けってことで手を打ってやるよ。
そして。
たとえオレが孤立しようとも、
おまえだけは、オレのそばに。
無頼な恋〈完〉
「わ、分からないけど……多分。」
「えっじゃあ、涯くんは、私の、か、彼氏……。それで私は、」
「オレの“彼女”」
カノジョ、なんて言葉を発するオレが珍しかったのか、東雲は照れながらもクスクス笑った。
「嬉しい……けど、恋人って、どういうこと、するんだろう」
「それは……」
「さっきみたいなのは、まだ、ダメだからね」
「え。じゃあ、いつになったら良いんだよ?」
「ま、待っててよ。心の準備が……」
「待ってたら、舞美からしてもらえるってんなら、待つ」
オレはまた、意地悪に口を歪ませた。
男慣れしていない東雲の反応が堪らない。
「オレのこと好きなんだろ」
「……うん」
素直に顔を赤くするのもずるいだろ。
つられて赤くなってしまう。
せっかく格好がついてたのに……。
「今日はこれで、我慢してね……」
って、オイ⁈
東雲は、色っぽくこちらへ近づいてきた。
そして、オレの頰にそっと口付ける。
彼女の柔らかな唇の感触を確かめた瞬間に、オレはその一点から固まって、熱くなった。
ふしゅーと湯気が出そうになり、オレは半ば催眠術にかかったかのように、呟いた。
「……こんなんじゃ、もたねえ」
***
その日の帰り、せっかく東雲と帰ったというのに、オレは緊張して手を繋ぐことさえできなかった。赤信号待ちの時、一瞬だけ小指を絡ませられただけで今日は十分……。
って、こんな調子じゃ、彼女の唇を奪えるのはずっと先になりそうだな。
それまでは、まあ、恋愛初心者のオレたちは少しずつ距離を縮めることから始めるしかない。
だから、そのためにはまず、
「涯くん、……すき」
この笑顔に一々悩殺されるのを、克服しなきゃな。
そしてこれからは、オレが東雲を守るんだ。……他の男が寄り付かないように。
だってコイツはもう、オレのものだから。
「舞美」
「……はあい」
オレは彼女の目を覗き込む。
「……オレもすき」
ぽっと赤くなる東雲。
以前オレが謳っていた「孤立」は、やはり誤っていたのだ。
今のオレは、東雲を欲している。
これに間違いはない。
悔しいが、それが今回の真実だ。
真実はただオレの元に。
——ま、結局、一目惚れしちまったオレの負けってことで手を打ってやるよ。
そして。
たとえオレが孤立しようとも、
おまえだけは、オレのそばに。
無頼な恋〈完〉
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