無頼な恋
名前変換はコチラから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
気がつけば、東雲と隣になってからひと月が過ぎようとしていた。うちのクラスは1ヶ月に一回という頻度で席替えをするもんだから、今日が東雲の隣、最後の日だ。
席が変われば、話す頻度が少なくなってしまうだろう。最悪の場合、このままずうっと話さないなんてこともあるかもしれない。
そんなことになったら、文字通り最悪。
***
その日の放課後。
オレは東雲と最後ということもあり、中々帰る気にならなかった。帰ってしまえば、翌朝また黒板に新しい席が張り出されることとなる。
せめて、今日東雲が帰るまで彼女を見守っていたい。それくらいのことをする権利くらいは、オレにもあるはずだ。
が。
妙なことに、東雲も教室に残っていた。帰る素ぶりもなく、自分の席で静かに自習をしているが、さっきから見ているとあまりページが進んでおらず、はかどってはいない様子だ。
すると、教室に残っていた、もう1人がここを出て行った。これで、オレたちは誰もいない教室に2人きり、という状態になった。
2人だけの秘密みたいで心地いいが、結構心臓の動きが速くなってしまう。
オレは隣に目を向けた。
「勉強してるのか?」
「うん。テスト近いし……」
「偉いな」
「うん……」
話しかけられるのを待っていたかのように、シャーペンを一旦止め、こちらを見る東雲。
「涯くん、この席明日で終わりって知ってた?」
「……ああ、そうだったな」
思いっきり覚えていたが、オレは忘れていたフリをしてしまう。
東雲は顔を赤くしながら肩をすくめた。
「結構、この席好きだったからちょっとやだな」
「……へえ」
オレはこほん、と咳払いをした。
「それは、なんで?」
「なんでって、ええと……」
「オレと隣だったから、とか?」
「……え?」
東雲は顔が真っ赤になる。
「もう、何言ってるの、涯くん……」
「否定はしないんだ」
オレは彼女の反応にくすりと笑う。
「なんで、いじわる……」
「別に、ただの意地悪じゃないけどな」
「なにそれえ」
ケラケラ笑う東雲を見て、オレはあたたかい気持ちになり、彼女の名を呼んだ。
「東雲」
「……んー?」
眉を少し上げてにこりと微笑む彼女に、目を奪われる。
ああ、これだ。
天使みたい。
オレ、やっぱりおまえのその笑顔が
「——すきだ、東雲」
席が変われば、話す頻度が少なくなってしまうだろう。最悪の場合、このままずうっと話さないなんてこともあるかもしれない。
そんなことになったら、文字通り最悪。
***
その日の放課後。
オレは東雲と最後ということもあり、中々帰る気にならなかった。帰ってしまえば、翌朝また黒板に新しい席が張り出されることとなる。
せめて、今日東雲が帰るまで彼女を見守っていたい。それくらいのことをする権利くらいは、オレにもあるはずだ。
が。
妙なことに、東雲も教室に残っていた。帰る素ぶりもなく、自分の席で静かに自習をしているが、さっきから見ているとあまりページが進んでおらず、はかどってはいない様子だ。
すると、教室に残っていた、もう1人がここを出て行った。これで、オレたちは誰もいない教室に2人きり、という状態になった。
2人だけの秘密みたいで心地いいが、結構心臓の動きが速くなってしまう。
オレは隣に目を向けた。
「勉強してるのか?」
「うん。テスト近いし……」
「偉いな」
「うん……」
話しかけられるのを待っていたかのように、シャーペンを一旦止め、こちらを見る東雲。
「涯くん、この席明日で終わりって知ってた?」
「……ああ、そうだったな」
思いっきり覚えていたが、オレは忘れていたフリをしてしまう。
東雲は顔を赤くしながら肩をすくめた。
「結構、この席好きだったからちょっとやだな」
「……へえ」
オレはこほん、と咳払いをした。
「それは、なんで?」
「なんでって、ええと……」
「オレと隣だったから、とか?」
「……え?」
東雲は顔が真っ赤になる。
「もう、何言ってるの、涯くん……」
「否定はしないんだ」
オレは彼女の反応にくすりと笑う。
「なんで、いじわる……」
「別に、ただの意地悪じゃないけどな」
「なにそれえ」
ケラケラ笑う東雲を見て、オレはあたたかい気持ちになり、彼女の名を呼んだ。
「東雲」
「……んー?」
眉を少し上げてにこりと微笑む彼女に、目を奪われる。
ああ、これだ。
天使みたい。
オレ、やっぱりおまえのその笑顔が
「——すきだ、東雲」