無頼な恋
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「なあ工藤。おまえ道端の猫、助けたんだって?」
「……え?」
教室に入ると、すぐに話しかけられた。
「もう結構話題になってるぜ。割と女たちが騒いでるし」
「ふーん」
面倒なことになったな。クラスの雰囲気がいつもと変わって見える。ちらちらとオレを盗み見る視線は、以前とは違うものになっている。
自分の席に着くと、先ほど木の周りにいた女の1人が話しかけてきた。
「工藤くん、今朝かっこよかったよ!」
「え? ……ああ」
すると、その取り巻きがオレの机の周りに群がり出した。
「うん、ありがとう工藤くん」
「ありがとう」
「……別に」
別におまえらのためにやったわけじゃない。
褒められて悪い気分はしないが、こうまで態度をがらりと変えられても反応に困るな。
それに、東雲以外の女を見ても、東雲と話す時のあの高揚した感じは全くしない。
やっぱり、オレが興味を持っているのは東雲だけなんだ。あいつだけ、例外。
言ってみれば、特別。
その間に、東雲も教室に入ってきた。オレの周りに女が群がっているのを見て、訝しげな様子だ。彼女がオレの隣の席に着くと、女の1人が東雲に事の顛末を説明した。
「猫?」
「そう! でね、その時の工藤くんかっこよかったんだよー」
「そ、そうなんだ……」
「うん、イメージ結構変わったよね」
彼女らがくっちゃべっていると、授業の開始を告げるチャイムが鳴り、各々自分の席へ戻る。
「涯くん、猫助けたんだ。すごいね」
東雲が話しかけてきた。
……なるほど、助けてよかったかもしれない。
「大したことじゃないけど」
「女の子にも、人気なんだね……」
「……さあ、どうだろうな」
大勢に人気だとか人気じゃないとか、そんなことより東雲1人の方がオレにとっちゃ大事なんだけど。
「猫、すきなの?」
「……特別好きってわけじゃない」
「そうなんだ」
「けど、今日触ってちょっと……かわいいと思った」
だって猫を助けたのも、猫を東雲に見立てて放っておけなくなったからだし。
東雲みたいでかわいかったからだし。
「だよね! かわいいよね」
「ま、そうだな」
オレが笑うと、東雲はオレの顔をじっと見つめてから、物憂げに言った。
「涯くんのことかっこいいなんて、ほんと今更だよね」
「……え?」
教室に入ると、すぐに話しかけられた。
「もう結構話題になってるぜ。割と女たちが騒いでるし」
「ふーん」
面倒なことになったな。クラスの雰囲気がいつもと変わって見える。ちらちらとオレを盗み見る視線は、以前とは違うものになっている。
自分の席に着くと、先ほど木の周りにいた女の1人が話しかけてきた。
「工藤くん、今朝かっこよかったよ!」
「え? ……ああ」
すると、その取り巻きがオレの机の周りに群がり出した。
「うん、ありがとう工藤くん」
「ありがとう」
「……別に」
別におまえらのためにやったわけじゃない。
褒められて悪い気分はしないが、こうまで態度をがらりと変えられても反応に困るな。
それに、東雲以外の女を見ても、東雲と話す時のあの高揚した感じは全くしない。
やっぱり、オレが興味を持っているのは東雲だけなんだ。あいつだけ、例外。
言ってみれば、特別。
その間に、東雲も教室に入ってきた。オレの周りに女が群がっているのを見て、訝しげな様子だ。彼女がオレの隣の席に着くと、女の1人が東雲に事の顛末を説明した。
「猫?」
「そう! でね、その時の工藤くんかっこよかったんだよー」
「そ、そうなんだ……」
「うん、イメージ結構変わったよね」
彼女らがくっちゃべっていると、授業の開始を告げるチャイムが鳴り、各々自分の席へ戻る。
「涯くん、猫助けたんだ。すごいね」
東雲が話しかけてきた。
……なるほど、助けてよかったかもしれない。
「大したことじゃないけど」
「女の子にも、人気なんだね……」
「……さあ、どうだろうな」
大勢に人気だとか人気じゃないとか、そんなことより東雲1人の方がオレにとっちゃ大事なんだけど。
「猫、すきなの?」
「……特別好きってわけじゃない」
「そうなんだ」
「けど、今日触ってちょっと……かわいいと思った」
だって猫を助けたのも、猫を東雲に見立てて放っておけなくなったからだし。
東雲みたいでかわいかったからだし。
「だよね! かわいいよね」
「ま、そうだな」
オレが笑うと、東雲はオレの顔をじっと見つめてから、物憂げに言った。
「涯くんのことかっこいいなんて、ほんと今更だよね」