告白
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7.神域
「赤木さぁん」
甘い声で彼を呼ぶけれど、彼はいつも私を女として見てくれない。そりゃ、多少年齢差があることは承知だけど、もう少しこっちを見てくれたって良いのに。
「ん、どうした?」
彼の麻雀に魅せられて、今となってはようやくここまで近づけたけれど、ここから先が進まないんだから、しょうがない。
私は真剣勝負に入れてもらえないし、それだけじゃなくて、多分このままだと、私と赤木さんはいつか会えなくなってしまう。
彼とは、そんな脆い関係。
「ちょっと、付き合ってもらえませんか?」
「何にだ?」
「なんでも良いです、買い物とかどうですか?」
「そんなもん、若いのと行ってこいよ」
「別に、若い男の人に興味なんて、ないですから」
「かと言って俺を誘うのもおかしな話だろう」
「おかしくないですよ」
「フフ、そうか」
「え、じゃあ……!」
「いや、駄目だな」
私は呻いた。
「どうしてですかあー」
駄々をこねる。
「私、赤木さんとデートしたいのにー」
「おまえも物好きだな」
「ね、ダメですか?」
「おまえに手を出したくはないのさ」
赤木さんはさらりと流したけれど、私はそこに食いついた。
「手、出して良いですから!」
「は?」
いや、そりゃそんな呆れ顔もするだろうけどさ。
私はもう、言っちまえ、と思った。
ここまで言えば、もう恥はない。
「私、赤木さんのこと、すきです。あなたと、恋仲になりたいんです!」
沈黙。
赤木さんはゆっくり、煙草に火をつけた。
「フー……」
煙が吐き出されるその様子を、固唾を呑んで見守る私。あとは赤木さんの反応を見る。
「まぁ、」
赤木さんが私を見た。
「そんなとこだろうとは思ってたが——まさか本当に、言っちまうとはな、舞美よ」
「あ、えと」
見抜かれてた、のは、恥ずかしいけど、置いといて。その、私が自分の気持ちを言わない方が良かった、みたいな言い草はちょっと気になる。いや、だいぶ気になる。
「迷惑、ですか」
おずおずと上目遣いで言うと、赤木さんは、
「ああ、迷惑だな」
と切り捨てた。
私は赤木さんの目を交互に見て、でも、ああ、彼の1番大切なものは “赤木しげる” だから、私のことなんて、目に入っていないのか。
私は顔を伏せた。
「……ごめんなさい」
まぁ、そうか。こんな風に女から求められるのは、赤木さんにとっては日常茶飯事。だから、こんな近くにいる女なんかと面倒を起こしたくないんだ。代わりはいくらでもいるし。
ああ、私だけは可愛がられてると、思ったんだけど。
「俺が迷惑だと言ったからって、謝る必要はねぇよ」
それでも、優しいひと。
「だって、」
私は何か言おうとしたけれど、言葉が続かなかった。実際、謝る必要は無いのかも知れない。
でも、私は何か言うことを野暮に感じた。
「まぁ、そんなに思い詰めるなよ」
「……あ、はい、そうですね」
「クク、こりゃ駄目だな」
「はい。ダメですね、私」
あはは、と乾いた笑いが自分の耳にも入る。酷い顔しちゃってるかも。
私は多分、もう彼の隣にはいられない。せっかく捕まえたと思った赤木さんは、私の手の届かないところに行ってしまう。捨てられる。
「そんな顔されちゃあ、こっちもたまったもんじゃないな」
「そ、そうですよね。落ち込んでても、意味ないってことは分かってるんですけど」
私が頑張って笑顔を作ると、赤木さんは少し目を見開いて、それから、頭をかいた。
「舞美」
「はい……」
「確かに迷惑だとは言ったが、おまえの気持ちに応えないとは言ってないはずだ」
……え?
「なに、なんですか。もう一回」
私はぱっと顔を上げた。
「フ……そりゃ、迷惑だよ。目にかけてた女から口説かれちゃ。今までの我慢が水の泡だ」
「がまん?」
「随分と前から誘惑してたようだな?」
「えっ! は、恥ずかしいです」
「ま、そういうことだ」
赤木さんは私のアプローチに気付いてて、それでも無視をしてたんだ。
それが、赤木さんの我慢。
「赤木さん」
私は、もう一押しだと思って、思い切って赤木さんの胸に飛び込み、擦り寄った。
「おいおい」
「ね……お願い」
「……そんなの、どこで覚えたんだよ」
「赤木さんだけです」
ぎゅ、と彼の服を握って、顔をすりすりと胸板に押し付ける。
赤木さんは、「まいったな」と笑って、私の腰に触れた。赤木さんから触ってきてくれたのは初めてで、ドキドキが止まらない。
「離したくなくなっちまうよ」
「離さないでください」
「クク、言ったな」
赤木さんは、私の腰に手を添えたまま、歩き出した。戸惑い、足を踏み出し遅れると、ぐいと押すようにして私を引き寄せた。
「赤木さんっ? どこに、」
「食べにだよ」
「えーと?」
「おまえを、食べに」
「え、」
え、え、え、まさか。
私が絶句していると、赤木さんは私の顔を覗き込んだ。
「……嫌か?」
私はふるふると首を振った。
「嫌じゃないです、むしろ、」
赤くなってうつむく。
赤木さんは、私の顎をくいっと持ち上げて、私と目を合わせた後、指で私の唇に触れた。
ふに、と優しく押されて、なんだか官能的な気分になってしまう。
「赤木さ、」
私が口を開けると、その指が口の中に入ってきた。
「ん、ぁ」
指使いだけで、とろけそう。唾液が垂れそうになって、慌てて赤木さんの指を吸う。
「んん」
へんな気持ちにさせられて、私は息を荒くした。そのまま、指を甘噛みする。
赤木さんはそれを見て、クックッと笑う。
「困った小娘だな」
どうしよう、これから何されちゃうんだろう。
私は、これからを思って身体を疼かせた。
「ま、せいぜい楽しみにしてな」
「赤木さぁん」
甘い声で彼を呼ぶけれど、彼はいつも私を女として見てくれない。そりゃ、多少年齢差があることは承知だけど、もう少しこっちを見てくれたって良いのに。
「ん、どうした?」
彼の麻雀に魅せられて、今となってはようやくここまで近づけたけれど、ここから先が進まないんだから、しょうがない。
私は真剣勝負に入れてもらえないし、それだけじゃなくて、多分このままだと、私と赤木さんはいつか会えなくなってしまう。
彼とは、そんな脆い関係。
「ちょっと、付き合ってもらえませんか?」
「何にだ?」
「なんでも良いです、買い物とかどうですか?」
「そんなもん、若いのと行ってこいよ」
「別に、若い男の人に興味なんて、ないですから」
「かと言って俺を誘うのもおかしな話だろう」
「おかしくないですよ」
「フフ、そうか」
「え、じゃあ……!」
「いや、駄目だな」
私は呻いた。
「どうしてですかあー」
駄々をこねる。
「私、赤木さんとデートしたいのにー」
「おまえも物好きだな」
「ね、ダメですか?」
「おまえに手を出したくはないのさ」
赤木さんはさらりと流したけれど、私はそこに食いついた。
「手、出して良いですから!」
「は?」
いや、そりゃそんな呆れ顔もするだろうけどさ。
私はもう、言っちまえ、と思った。
ここまで言えば、もう恥はない。
「私、赤木さんのこと、すきです。あなたと、恋仲になりたいんです!」
沈黙。
赤木さんはゆっくり、煙草に火をつけた。
「フー……」
煙が吐き出されるその様子を、固唾を呑んで見守る私。あとは赤木さんの反応を見る。
「まぁ、」
赤木さんが私を見た。
「そんなとこだろうとは思ってたが——まさか本当に、言っちまうとはな、舞美よ」
「あ、えと」
見抜かれてた、のは、恥ずかしいけど、置いといて。その、私が自分の気持ちを言わない方が良かった、みたいな言い草はちょっと気になる。いや、だいぶ気になる。
「迷惑、ですか」
おずおずと上目遣いで言うと、赤木さんは、
「ああ、迷惑だな」
と切り捨てた。
私は赤木さんの目を交互に見て、でも、ああ、彼の1番大切なものは “赤木しげる” だから、私のことなんて、目に入っていないのか。
私は顔を伏せた。
「……ごめんなさい」
まぁ、そうか。こんな風に女から求められるのは、赤木さんにとっては日常茶飯事。だから、こんな近くにいる女なんかと面倒を起こしたくないんだ。代わりはいくらでもいるし。
ああ、私だけは可愛がられてると、思ったんだけど。
「俺が迷惑だと言ったからって、謝る必要はねぇよ」
それでも、優しいひと。
「だって、」
私は何か言おうとしたけれど、言葉が続かなかった。実際、謝る必要は無いのかも知れない。
でも、私は何か言うことを野暮に感じた。
「まぁ、そんなに思い詰めるなよ」
「……あ、はい、そうですね」
「クク、こりゃ駄目だな」
「はい。ダメですね、私」
あはは、と乾いた笑いが自分の耳にも入る。酷い顔しちゃってるかも。
私は多分、もう彼の隣にはいられない。せっかく捕まえたと思った赤木さんは、私の手の届かないところに行ってしまう。捨てられる。
「そんな顔されちゃあ、こっちもたまったもんじゃないな」
「そ、そうですよね。落ち込んでても、意味ないってことは分かってるんですけど」
私が頑張って笑顔を作ると、赤木さんは少し目を見開いて、それから、頭をかいた。
「舞美」
「はい……」
「確かに迷惑だとは言ったが、おまえの気持ちに応えないとは言ってないはずだ」
……え?
「なに、なんですか。もう一回」
私はぱっと顔を上げた。
「フ……そりゃ、迷惑だよ。目にかけてた女から口説かれちゃ。今までの我慢が水の泡だ」
「がまん?」
「随分と前から誘惑してたようだな?」
「えっ! は、恥ずかしいです」
「ま、そういうことだ」
赤木さんは私のアプローチに気付いてて、それでも無視をしてたんだ。
それが、赤木さんの我慢。
「赤木さん」
私は、もう一押しだと思って、思い切って赤木さんの胸に飛び込み、擦り寄った。
「おいおい」
「ね……お願い」
「……そんなの、どこで覚えたんだよ」
「赤木さんだけです」
ぎゅ、と彼の服を握って、顔をすりすりと胸板に押し付ける。
赤木さんは、「まいったな」と笑って、私の腰に触れた。赤木さんから触ってきてくれたのは初めてで、ドキドキが止まらない。
「離したくなくなっちまうよ」
「離さないでください」
「クク、言ったな」
赤木さんは、私の腰に手を添えたまま、歩き出した。戸惑い、足を踏み出し遅れると、ぐいと押すようにして私を引き寄せた。
「赤木さんっ? どこに、」
「食べにだよ」
「えーと?」
「おまえを、食べに」
「え、」
え、え、え、まさか。
私が絶句していると、赤木さんは私の顔を覗き込んだ。
「……嫌か?」
私はふるふると首を振った。
「嫌じゃないです、むしろ、」
赤くなってうつむく。
赤木さんは、私の顎をくいっと持ち上げて、私と目を合わせた後、指で私の唇に触れた。
ふに、と優しく押されて、なんだか官能的な気分になってしまう。
「赤木さ、」
私が口を開けると、その指が口の中に入ってきた。
「ん、ぁ」
指使いだけで、とろけそう。唾液が垂れそうになって、慌てて赤木さんの指を吸う。
「んん」
へんな気持ちにさせられて、私は息を荒くした。そのまま、指を甘噛みする。
赤木さんはそれを見て、クックッと笑う。
「困った小娘だな」
どうしよう、これから何されちゃうんだろう。
私は、これからを思って身体を疼かせた。
「ま、せいぜい楽しみにしてな」