告白
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5.カイジ[コンビニver.]
DAWSON……それは、全国に広がる、誰もが知るコンビニの名前だ。
いま私が立っている目の前のコンビニも、なんということはない、普通のDAWSONである。
しかし、私にとってここは特別な場所だ。
なんとここで、私の片思いしている相手である伊藤開司さんがバイトをしているのだから!
片思い、と言っても、彼のことはあまり知らない。実は、ここで一目惚れしてしまったのだ。
接客が特別良いわけでもないし、何故彼が好きになってしまったのかは分からない。
ただとにかく、好きになってしまったので、とりあえず通い続けた。毎日欠かさず、肉まんを買い続けたのだ。別に肉まんが好きなわけじゃないけど、印象に残るように。
初めはあまり愛想もなかったけれど、何度も顔を合わせる内に、一言二言、言葉を交わすくらいにはなった。肉まんも、言わずに出てくるようにまでなった。要は、常連になった。
今日も、いつもと同じように、いつもと同じものを買い、カイジさんのレジへ並ぶ。そして、
「肉まん、ですね」
と、私が言う前に、入れてもらう。
私はにこりと笑顔で頷き返した。
私は、そろそろカイジさんとの仲が進展しても良い頃合いだな、と思い、話しかけることにした。
大丈夫、この時間帯はコンビニも空いていて、私の後ろにレジ待ちしている人もいない。
カイジさんと話すなら、今。
「あ、あの」
私が言うと、カイジさんは首を傾けた。かわいい。
「カイジさん、ですよね」
「え、あ、オレ……そうですけど」
まぁ、そりゃ客から名前呼ばれたら困惑するよね。でも、見た感じ、押したらいけそうかも。
「実は……前から少し、気になってて」
「は……?」
カイジさんは動きを止めた。私は、心臓がばくばくいい始めた。言っちゃった言っちゃった!
「気になっ……?」
カイジさんはまた首をかしげた。あれ? これ、伝わってない感じ?
すると、店の商品を並べていた金髪の若い男のバイトさんが、カイジさんの横にきて、背中をバンと叩いた。
「あ、前に話してたかわいい子じゃないっスか。まさか、ナンパされちゃってるんですか?」
「ば、バカっ……!」
カイジさんは、その人を睨んだ。名札を見ると、その人は “佐原” という人らしい。全体的にちゃらそうな雰囲気だ。
「ちぇ、羨ましい。……まっ、オレは邪魔しないんでっ!」
なんだか楽しそうに、佐原さんは奥へ引っ込んでしまった。私は、冷や汗をかいた。
「あ、で……なんでしたっけ」
カイジさんが尋ねてきた。あぁもう、鈍感。
私は、もうストレートに言うことにした。
「もう! 今の人の言っている通りですよっ」
「佐原の……」
「だから、ナンパしてるんですっ!」
あーあ……。変な女と思われたかな。
私は、言い終わると赤くなってもじもじした。
「え」
カイジさんは、目を丸くした。
「オレ……?」
私は、黙ってこくりと頷いた。
カイジさんは、赤くなって、焦った。
「な、なんでそんな」
「これといった理由はないんですけど、一目惚れしてしちゃって」
ああ、なんでこんなことまで。恥ずかしい。
カイジさんは、私をじっと見たあと、また目を逸らした。
「嘘をついているようには……見えない」
「だって、本当のことですから」
「うっ……!」
やっぱり、こういうことに慣れていないのだろうか。うろたえている。かわいいとしか思えない。
私は、もう一押し、と思った。
「もし良ければ……。連絡先、交換したり」
「て、帝愛の回しもんじゃないよな……」
「え? 良く分かんないですけど、別に何かの回しものではないです」
私は唇を噛んでから、言った。
「すきなんですってば」
カイジさんは目を丸くした。でも、何も言わない。……あれ、いけると思ったんだけど。
私が彼の目を見つめても、何か口を開いてくれる気配はなかった。
あれ? おかしいな?
私は、黙って喉を鳴らした。
えっと? これって、失恋しちゃった感じ?
……。
私は、ようやく自分が先走りすぎたことに気づき、悔やんだ。私からしたら、十分仲良くなったつもりでも、カイジさんからしたら、私はただ来る客の1人に過ぎないっていうのに。
それなのに、私は、勘違いしてしまった。
私は赤くなって、うつむいて、商品を手に取った。
「すっ、すみませんでした」
一刻も早く逃げよう。もうここには来れないや。ストーカーみたいって思われたかも。どうしよう。こんな醜態さらして、泣いちゃいそう。好きだったのにな……。
と、その時。
「ま、待ってくれ」
それは、私の1番聞きたかった言葉が、私の1番好きな人から発された瞬間だった。
私は、足を止めた。
「オレ……もう、シフト終わるから、その、なんていうか……少しで良い! 少し、外で待っててくれないか」
え、やった!
私は喜びでにやけそうになったので、振り向かずに頷いてから、外に出た。
外で待つ間、どきどきが止まらなかった。本当に、来てくれるんだよね? 私、ここで待ってて良いんだよね。聞き違えてないよね。
すぐに、カイジさんが出てきた。コンビニの制服じゃないから、新鮮に感じる。……好き。
「ちょっと、歩きながら話さねえ?」
カイジさんからの提案。私は二つ返事で了承した。願ってもみない提案だった。
私たちは散歩を始めた。これって実質、デートなんじゃない? ……と、コンビニでしか彼に会ったことのない私は考えてしまう。
そして、カイジさんから話しかけられる。
「その……さっきのことなんだけど」
「はいっ」
何を言われるのかと緊張する。
丁寧に断られるっていうのもあり得るからだ。
しかし、それは杞憂だった。
「実は、オレも、あんたのこと……見てたっていうか」
「え?」
「いや、その、さっき金髪のやつが言ってたのを聞いたかもしれないけど、あんたのこと……かわいいとか……話してて」
かわいい。私が。というか、カイジさんがそんな風に思ってくれていたなんて。
「でも、あんたみたいな人、オレには勿体ねぇかなって」
私は、即座に否定した。
「そんなこと、ないです! 勿体ないとか言わないで」
そして、「でも」とかグズグズ言ってるカイジさんの手を握った。指のあたりに傷があった気がしたけれど、気にしない。
カイジさんは照れていたので、私は勇気を出して、つま先立ちでほっぺにキスをした。傷のある頰。
キスをしたのは一瞬で、軽く触れるだけだったけれど、私の本気は伝わっただろう。
カイジさんは驚き、頰に手を当て、私を真正面から見つめた。
「カイジさん……っ」
私も、それに応えるように彼の目をじっと見つめた。
すると、彼はいきなり、
「あぁ、もう無理だ!」
と言い、私の肩を持ち、ぐっと引き寄せた。
「こんな子目の前にして、我慢しろって言う方が無理な話なんだ」
「えっ」
カイジさんは手に力を入れた。
そして、私の様子を伺いつつも、強気に聞いてきた。
「オレに一目惚れ、したんだったな」
「は、はいっ」
答えると、彼はにやりと笑った。
「もう離さねぇよ」
「え……」
なんだか野生的な笑顔に、心が動かされるような感覚に陥った。
「こんな僥倖は、もう二度とないかもしれない……!」
「えっと」
これって、めちゃくちゃ良い流れなんじゃないの?
すると、カイジさんは、
「オレん家、来れるな……?」
と尋ねてきた。
——え、そんな急に?
カイジさんの家に行くなんて……
それ、急接近できちゃいそう。
「い、行きます!」
即答だった。
カイジさんは、しめしめといった風に、そのまま歩き出した。私は、幸せでいっぱいになった。もしかしたら、これから、カイジさんと深い関係になれるかも……!
そして、カイジさんは、うつむいて、
「実は、」
と、ボソッと一言だけ言った。
「っ。オレもずっと、すきだったっ……。あんたの名前、教えてくれないか?」
DAWSON……それは、全国に広がる、誰もが知るコンビニの名前だ。
いま私が立っている目の前のコンビニも、なんということはない、普通のDAWSONである。
しかし、私にとってここは特別な場所だ。
なんとここで、私の片思いしている相手である伊藤開司さんがバイトをしているのだから!
片思い、と言っても、彼のことはあまり知らない。実は、ここで一目惚れしてしまったのだ。
接客が特別良いわけでもないし、何故彼が好きになってしまったのかは分からない。
ただとにかく、好きになってしまったので、とりあえず通い続けた。毎日欠かさず、肉まんを買い続けたのだ。別に肉まんが好きなわけじゃないけど、印象に残るように。
初めはあまり愛想もなかったけれど、何度も顔を合わせる内に、一言二言、言葉を交わすくらいにはなった。肉まんも、言わずに出てくるようにまでなった。要は、常連になった。
今日も、いつもと同じように、いつもと同じものを買い、カイジさんのレジへ並ぶ。そして、
「肉まん、ですね」
と、私が言う前に、入れてもらう。
私はにこりと笑顔で頷き返した。
私は、そろそろカイジさんとの仲が進展しても良い頃合いだな、と思い、話しかけることにした。
大丈夫、この時間帯はコンビニも空いていて、私の後ろにレジ待ちしている人もいない。
カイジさんと話すなら、今。
「あ、あの」
私が言うと、カイジさんは首を傾けた。かわいい。
「カイジさん、ですよね」
「え、あ、オレ……そうですけど」
まぁ、そりゃ客から名前呼ばれたら困惑するよね。でも、見た感じ、押したらいけそうかも。
「実は……前から少し、気になってて」
「は……?」
カイジさんは動きを止めた。私は、心臓がばくばくいい始めた。言っちゃった言っちゃった!
「気になっ……?」
カイジさんはまた首をかしげた。あれ? これ、伝わってない感じ?
すると、店の商品を並べていた金髪の若い男のバイトさんが、カイジさんの横にきて、背中をバンと叩いた。
「あ、前に話してたかわいい子じゃないっスか。まさか、ナンパされちゃってるんですか?」
「ば、バカっ……!」
カイジさんは、その人を睨んだ。名札を見ると、その人は “佐原” という人らしい。全体的にちゃらそうな雰囲気だ。
「ちぇ、羨ましい。……まっ、オレは邪魔しないんでっ!」
なんだか楽しそうに、佐原さんは奥へ引っ込んでしまった。私は、冷や汗をかいた。
「あ、で……なんでしたっけ」
カイジさんが尋ねてきた。あぁもう、鈍感。
私は、もうストレートに言うことにした。
「もう! 今の人の言っている通りですよっ」
「佐原の……」
「だから、ナンパしてるんですっ!」
あーあ……。変な女と思われたかな。
私は、言い終わると赤くなってもじもじした。
「え」
カイジさんは、目を丸くした。
「オレ……?」
私は、黙ってこくりと頷いた。
カイジさんは、赤くなって、焦った。
「な、なんでそんな」
「これといった理由はないんですけど、一目惚れしてしちゃって」
ああ、なんでこんなことまで。恥ずかしい。
カイジさんは、私をじっと見たあと、また目を逸らした。
「嘘をついているようには……見えない」
「だって、本当のことですから」
「うっ……!」
やっぱり、こういうことに慣れていないのだろうか。うろたえている。かわいいとしか思えない。
私は、もう一押し、と思った。
「もし良ければ……。連絡先、交換したり」
「て、帝愛の回しもんじゃないよな……」
「え? 良く分かんないですけど、別に何かの回しものではないです」
私は唇を噛んでから、言った。
「すきなんですってば」
カイジさんは目を丸くした。でも、何も言わない。……あれ、いけると思ったんだけど。
私が彼の目を見つめても、何か口を開いてくれる気配はなかった。
あれ? おかしいな?
私は、黙って喉を鳴らした。
えっと? これって、失恋しちゃった感じ?
……。
私は、ようやく自分が先走りすぎたことに気づき、悔やんだ。私からしたら、十分仲良くなったつもりでも、カイジさんからしたら、私はただ来る客の1人に過ぎないっていうのに。
それなのに、私は、勘違いしてしまった。
私は赤くなって、うつむいて、商品を手に取った。
「すっ、すみませんでした」
一刻も早く逃げよう。もうここには来れないや。ストーカーみたいって思われたかも。どうしよう。こんな醜態さらして、泣いちゃいそう。好きだったのにな……。
と、その時。
「ま、待ってくれ」
それは、私の1番聞きたかった言葉が、私の1番好きな人から発された瞬間だった。
私は、足を止めた。
「オレ……もう、シフト終わるから、その、なんていうか……少しで良い! 少し、外で待っててくれないか」
え、やった!
私は喜びでにやけそうになったので、振り向かずに頷いてから、外に出た。
外で待つ間、どきどきが止まらなかった。本当に、来てくれるんだよね? 私、ここで待ってて良いんだよね。聞き違えてないよね。
すぐに、カイジさんが出てきた。コンビニの制服じゃないから、新鮮に感じる。……好き。
「ちょっと、歩きながら話さねえ?」
カイジさんからの提案。私は二つ返事で了承した。願ってもみない提案だった。
私たちは散歩を始めた。これって実質、デートなんじゃない? ……と、コンビニでしか彼に会ったことのない私は考えてしまう。
そして、カイジさんから話しかけられる。
「その……さっきのことなんだけど」
「はいっ」
何を言われるのかと緊張する。
丁寧に断られるっていうのもあり得るからだ。
しかし、それは杞憂だった。
「実は、オレも、あんたのこと……見てたっていうか」
「え?」
「いや、その、さっき金髪のやつが言ってたのを聞いたかもしれないけど、あんたのこと……かわいいとか……話してて」
かわいい。私が。というか、カイジさんがそんな風に思ってくれていたなんて。
「でも、あんたみたいな人、オレには勿体ねぇかなって」
私は、即座に否定した。
「そんなこと、ないです! 勿体ないとか言わないで」
そして、「でも」とかグズグズ言ってるカイジさんの手を握った。指のあたりに傷があった気がしたけれど、気にしない。
カイジさんは照れていたので、私は勇気を出して、つま先立ちでほっぺにキスをした。傷のある頰。
キスをしたのは一瞬で、軽く触れるだけだったけれど、私の本気は伝わっただろう。
カイジさんは驚き、頰に手を当て、私を真正面から見つめた。
「カイジさん……っ」
私も、それに応えるように彼の目をじっと見つめた。
すると、彼はいきなり、
「あぁ、もう無理だ!」
と言い、私の肩を持ち、ぐっと引き寄せた。
「こんな子目の前にして、我慢しろって言う方が無理な話なんだ」
「えっ」
カイジさんは手に力を入れた。
そして、私の様子を伺いつつも、強気に聞いてきた。
「オレに一目惚れ、したんだったな」
「は、はいっ」
答えると、彼はにやりと笑った。
「もう離さねぇよ」
「え……」
なんだか野生的な笑顔に、心が動かされるような感覚に陥った。
「こんな僥倖は、もう二度とないかもしれない……!」
「えっと」
これって、めちゃくちゃ良い流れなんじゃないの?
すると、カイジさんは、
「オレん家、来れるな……?」
と尋ねてきた。
——え、そんな急に?
カイジさんの家に行くなんて……
それ、急接近できちゃいそう。
「い、行きます!」
即答だった。
カイジさんは、しめしめといった風に、そのまま歩き出した。私は、幸せでいっぱいになった。もしかしたら、これから、カイジさんと深い関係になれるかも……!
そして、カイジさんは、うつむいて、
「実は、」
と、ボソッと一言だけ言った。
「っ。オレもずっと、すきだったっ……。あんたの名前、教えてくれないか?」