パチ屋の拾い物
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翌朝。
すうすうと隣で寝息を立てているカイジを見て、舞美は幸せな気分になった。
とは言え、部屋はとんでもない有様だ。
ビールの空き缶や食べかけのおつまみが転がっていて、ゴミ箱には使い終わったゴムの成れの果てがいくつか結んである。
片付けは面倒だろうなあ。
しかしどれもこれも、隣のカイジの顔を見ればそれだけでどうでも良くなる。
舞美はカイジの頰にキスをした。
「ん……」
「あ、起こしちゃった?」
「うっ、あっ、舞美……?」
「おはよ」
裸のまま布団に入っている舞美を見て、カイジは挙動不審になる。
「おまっ、おまえっ、服着ろって」
「えっ……。ていうか、カイジも裸だし。それに昨日いっぱい見たでしょ」
「そ、それとこれとは別……! あ、朝から変な気分にさせんじゃねぇよ」
「……」
舞美は昨日豹変して獣のように求めてくるカイジに堕とされたが、それでもまだ彼には性欲が有り余っているのか。
まあ、確かに、そんなことを言われれば舞美の方も変な気分ってやつになるのだが。
「いや……オレ、ずっと女とかいなかったから……すっげ溜まってて」
カイジは眉をハの字にさせていた。
「やっぱ昨日やりすぎたよな……? てかオレ、流石におかしいよな……ハハ」
煙草を取り出して火をつけようとするものの、ここが舞美の家であることを思い出して小さく舌打ちをしてから煙草を戻すカイジ。
「全然大丈夫だよ、カイジ」
「え?」
「煙草も、その……えっちも」
「それって」
「ま、またしたいから……。これからも会ってくれるよね?」
「良いのか……? オレ、ほんと何するか分かんねえっていうか……」
「何しても良いよ」
「マジ? オレ毎日でも会いたいんだけど」
「あたしはそこまで暇じゃないけどなあ」
「あ、そ、そうだよな」
舞美は薄々感づいていたことを口にする。
「カイジって、働いてないよね?」
「あっ……いやっ、そんなことはねえ、と思う」
「もー。分かってるから大丈夫だよ、会ったのもそもそもパチ屋だったじゃん」
「う……」
カイジは決まりの悪そうな顔をしてから、舞美を見て言った。
「でも! でもオレ、おまえのことほんとすきで……!」
もう少しいじめれば、カイジはポロポロ泣いてしまうんじゃないかと舞美は思えてきた。
「やっぱ、オレみたいなやつじゃ、ダメ?」
「ダメなんて言ってないよ!」
カイジ、すきだから。
そう言おうとすると、
「オレにはおまえしかいないんだって……」
と涙目ですがりついてくるカイジ。
「あ、ぅん」
そんなカイジに弱い舞美。
ドキドキと胸が高鳴って、例えばカイジの鎖骨や胸板に目がいきそうになってしまう。
彼女はとうとう、「じゃあさ、」と、こう口にした。
「カイジ、うちに住んでみる……?」
「えっ?」
ぱあぁと顔を明るくさせるカイジ。
尻尾をぶんぶんと振っているのが幻覚で見えてきそう。こんなのって、ズルいと思う。
「い、良いのか? オレ、ここにいても良い?」
「うん……カイジ、一緒に住も」
「住む……! オレ、家事がんばる!」
「うん」
「マジで嬉しい、ありがてぇ」
「あ、でもこれで味を占めて他の女の子のところ行かないでね」
「は、当たり前だろ。……舞美もだからな」
「うん、カイジだけがすきだよ」
「お、オレもっ……」
よしよしと頭を撫でると、うつむいて無言になるカイジ。照れているのは一目瞭然だ。
舞美はクスクス笑って意地悪を言う。
「じゃ、早速朝ごはん作ってもらおうかな」
「えっ……もう? もうちょっとイチャイチャしてようぜ」
「……しょうがないな」
「後で家事教えて。そうしたら、オレに任せていいから」
「了解」
引き続きカイジを可愛がる舞美。
もう、このクズにメロメロなのは舞美の方だった。
(代わりに夜はオレが満足させてやるからな、舞美)
舞美はカイジにぎゅううと抱きつかれ、これ以上ないしあわせを噛みしめる。
「……舞美ー」
「あっちょっと、胸触んないでっ……!」
「フフ、かわいーな。おまえのこと、ホントすき」
彼女はベッドでその立場が逆転させられるたびに真っ赤になり、彼に惚れ直す。
(だって、すきなんだもん)
世間から見たらクズな男だが、そんな彼を拾ってしまったことは、舞美にとって大きな僥倖そのものだった。
——そして一番の幸せ者は、自分のタイプの女に拾われた男、伊藤開司に違いない。
「舞美、オレのこと捨てんなよ」
「……当たり前。」
出会いはどこであれ。
また、幸せな男女が、一組できたのだった。
パチ屋の拾い物〈完〉
すうすうと隣で寝息を立てているカイジを見て、舞美は幸せな気分になった。
とは言え、部屋はとんでもない有様だ。
ビールの空き缶や食べかけのおつまみが転がっていて、ゴミ箱には使い終わったゴムの成れの果てがいくつか結んである。
片付けは面倒だろうなあ。
しかしどれもこれも、隣のカイジの顔を見ればそれだけでどうでも良くなる。
舞美はカイジの頰にキスをした。
「ん……」
「あ、起こしちゃった?」
「うっ、あっ、舞美……?」
「おはよ」
裸のまま布団に入っている舞美を見て、カイジは挙動不審になる。
「おまっ、おまえっ、服着ろって」
「えっ……。ていうか、カイジも裸だし。それに昨日いっぱい見たでしょ」
「そ、それとこれとは別……! あ、朝から変な気分にさせんじゃねぇよ」
「……」
舞美は昨日豹変して獣のように求めてくるカイジに堕とされたが、それでもまだ彼には性欲が有り余っているのか。
まあ、確かに、そんなことを言われれば舞美の方も変な気分ってやつになるのだが。
「いや……オレ、ずっと女とかいなかったから……すっげ溜まってて」
カイジは眉をハの字にさせていた。
「やっぱ昨日やりすぎたよな……? てかオレ、流石におかしいよな……ハハ」
煙草を取り出して火をつけようとするものの、ここが舞美の家であることを思い出して小さく舌打ちをしてから煙草を戻すカイジ。
「全然大丈夫だよ、カイジ」
「え?」
「煙草も、その……えっちも」
「それって」
「ま、またしたいから……。これからも会ってくれるよね?」
「良いのか……? オレ、ほんと何するか分かんねえっていうか……」
「何しても良いよ」
「マジ? オレ毎日でも会いたいんだけど」
「あたしはそこまで暇じゃないけどなあ」
「あ、そ、そうだよな」
舞美は薄々感づいていたことを口にする。
「カイジって、働いてないよね?」
「あっ……いやっ、そんなことはねえ、と思う」
「もー。分かってるから大丈夫だよ、会ったのもそもそもパチ屋だったじゃん」
「う……」
カイジは決まりの悪そうな顔をしてから、舞美を見て言った。
「でも! でもオレ、おまえのことほんとすきで……!」
もう少しいじめれば、カイジはポロポロ泣いてしまうんじゃないかと舞美は思えてきた。
「やっぱ、オレみたいなやつじゃ、ダメ?」
「ダメなんて言ってないよ!」
カイジ、すきだから。
そう言おうとすると、
「オレにはおまえしかいないんだって……」
と涙目ですがりついてくるカイジ。
「あ、ぅん」
そんなカイジに弱い舞美。
ドキドキと胸が高鳴って、例えばカイジの鎖骨や胸板に目がいきそうになってしまう。
彼女はとうとう、「じゃあさ、」と、こう口にした。
「カイジ、うちに住んでみる……?」
「えっ?」
ぱあぁと顔を明るくさせるカイジ。
尻尾をぶんぶんと振っているのが幻覚で見えてきそう。こんなのって、ズルいと思う。
「い、良いのか? オレ、ここにいても良い?」
「うん……カイジ、一緒に住も」
「住む……! オレ、家事がんばる!」
「うん」
「マジで嬉しい、ありがてぇ」
「あ、でもこれで味を占めて他の女の子のところ行かないでね」
「は、当たり前だろ。……舞美もだからな」
「うん、カイジだけがすきだよ」
「お、オレもっ……」
よしよしと頭を撫でると、うつむいて無言になるカイジ。照れているのは一目瞭然だ。
舞美はクスクス笑って意地悪を言う。
「じゃ、早速朝ごはん作ってもらおうかな」
「えっ……もう? もうちょっとイチャイチャしてようぜ」
「……しょうがないな」
「後で家事教えて。そうしたら、オレに任せていいから」
「了解」
引き続きカイジを可愛がる舞美。
もう、このクズにメロメロなのは舞美の方だった。
(代わりに夜はオレが満足させてやるからな、舞美)
舞美はカイジにぎゅううと抱きつかれ、これ以上ないしあわせを噛みしめる。
「……舞美ー」
「あっちょっと、胸触んないでっ……!」
「フフ、かわいーな。おまえのこと、ホントすき」
彼女はベッドでその立場が逆転させられるたびに真っ赤になり、彼に惚れ直す。
(だって、すきなんだもん)
世間から見たらクズな男だが、そんな彼を拾ってしまったことは、舞美にとって大きな僥倖そのものだった。
——そして一番の幸せ者は、自分のタイプの女に拾われた男、伊藤開司に違いない。
「舞美、オレのこと捨てんなよ」
「……当たり前。」
出会いはどこであれ。
また、幸せな男女が、一組できたのだった。
パチ屋の拾い物〈完〉
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