が、オレは今日学校に来て衝撃を受けた。

黒板に張り出された新しい席順……！
これが示すものはただひとつ。席替えだ。
そしてオレの席は……。
あ、あの東雲の隣……？

さすがに、少し焦ってしまう。でも、なんていうか、悪くないとも思っている。
というのも、例えば、これが東雲と話すきっかけになるかもしれないからだ。

とりあえず自分の席につくと、しばらくして、東雲が教室に入ってきた。彼女は黒板を確認してから真っ直ぐこちらへ向かってくる。そして勿論、オレの隣に座った。
それだけのことなのに、どうしてオレはこんなに緊張してるんだよ。
彼女がオレの隣に座るのは当たり前だろ。彼女の席はそこなんだから。

彼女はオレをちらりと見てから、荷物を置き、それからもう一度ちらりと見てきた。
やっぱり、この火傷の跡結構目立つよな……？

なんとなく跡を指でかきながら、東雲の視線に気がつかないフリを続けると、なんと、

「お、おはよっ……」

と可憐な声。
その挨拶はもちろん、隣の東雲から発されたもので……、きっと、オレに向けてのもの。

「……はよ。」

こんなことには慣れていないから、オレは無愛想にそう言うことしかできなかった。
しかしそれでも、東雲はぱっと顔を明るくさせた。……やっぱり、コイツの笑顔には何か惹かれるものがあるみたいで、それだけでオレはあまり感じたことのない種の満足感を得た。

だが彼女がそれ以上話しかけてくることはなく、オレは何かよく分からないまま、窓の外を見つめるなどして気分を落ち着けた。今までずっと男としか話していなかったから、女との接し方がよく分からない。
東雲の方は（おそらく）、勇気を出してオレに話しかけてくれたというのに。

しかしまあとにかく、将来社会に出て孤立する時、こんなようではオレも苦労しちまう。
とにかく、孤立とは全てにおいて独りになれば良いというものではないってのが最近になってよく分かったし。
であれば、これを機になんとか東雲と親しくなることで、また真の“孤立”への道へ一歩踏み出すべきじゃないか？

そう考えて、理由をつけて。オレは決心した。

……よし、なんとか東雲と話すきっかけを作ろう。