告白
名前変換はコチラから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
3.一条
ここは私の勤めている裏カジノ。
この職場、本当に最高なの。
だって、最高な上司がいるから!
店長、今日もかっこいい……。
どうしてそんなにかっこいいんですか?
私がうっとりと一条店長を見つめると、彼は私の視線に気が付き、つかつかと歩み寄ってきた。
「おい東雲。何をサボってる」
「あっ、はい、すみません」
私は頭をかいて言った。
「店長に見とれてしまって……」
「馬鹿なことを言う暇があったら手を動かせ」
「す、すみませんっ」
店長は私のことなど眼中にないから、私が際どいことを言ってもすぐに流されてしまう。
そういうところもかっこいいんだけど、でも、ちょっとは寂しかったりして。
大体、この職場に女の子はあんまりいないし、一条店長は他の場所で沢山の女の子と知り合いで、お店のVIPだったりするらしい。
だから、彼は職場で恋愛のことなんか考えていないんだ。私は恋愛対象外。
はぁ。
……いけないいけない、また怒られちゃう。
私は素早く動作チェックを終え、ようやく休憩に入ることにした。
スタッフルームに戻ると、ラッキーなことに、店長と2人きりだった。こんなことはあんまりない。大抵、誰かはいるから。
今がアピールチャンスだ、と思った。
「店長、コーヒー淹れました」
「ん、ああ。ありがとう」
何やら書類を見ているようで、忙しそう。
そんな時に、このコーヒーは結構良いでしょ。
それを隣に置くと、彼は書類を置いて、目のあたりを押さえながらコーヒーに手を伸ばした。
「結構お疲れなんですね」
「まぁな。やることが沢山ある」
「えっと……あんまり無理しないでください」
「お心遣いに感謝するよ」
本当は手伝いたいくらいだけど、あれは店長の仕事。私が手を出せるようなものじゃない。
私は後ろから彼の背中を見つめることしかできなかった。
「……そんな見られても困るな」
店長が背中越しに話しかけてきた。
「なんで分かるんですか」
「そんなに凝視されたらオレじゃなくとも分かるだろうよ」
「えー」
私は視線でさえ邪魔になるのか、と反省して、別のところに目を向けた。
すると、店長が振り返って言った。
「そう言えばさっきも見とれてたとか言ってたか?」
「あ、言いました」
「ククク……。本当に惚れてたりしてな」
店長は冗談のように笑って、また仕事に戻ってしまった。けど、私は何かもやもやした気分だった。……本当に惚れてるんだけどなぁ、って。
だから、
「あってますよ」
って言ってみた。
「あ?」
「私……店長のことすきなんです」
「そんなに簡単にオレは騙せないだろ」
店長は全く本気にしていなかった。
冗談だと思われてる。
結構、勇気出してみたのに。
私は恥ずかしさとかで顔が真っ赤になった。
「まぁ、気が乗ればオレが遊んでやらないこともないが——」
店長がさらに冗談を重ねながら、座っていた椅子をくるりと回して私の方に向き直った。
「なっ……!」
驚きの声をあげたのは、店長だった。
「なんでお前、そんな顔赤くして……⁈」
えっ、そんなに赤いの?
恥ずかしい、なかったことにしたい。
「あはは、いや……なんでもないです。ちょっと熱いかな、なんて?」
私は顔に両手を当てて誤魔化した。
「ふーん?」
店長はそんな私を見ながら足を組む。
「自分から挑発しておいて、あとは姑息に逃げる。それは当カジノの理念には反するな。違うか?」
あれ……。
私は顔を伏せた。
「お、おっしゃる通りです」
「その雰囲気だと、オレの金目当てってわけでもない……か。で? ちゃんと聞いてやるから、もう一回チャンスを与えてやろう」
「え」
店長はそれ以上、口を開こうとはしなかった。
あくまで、私が話し出すのを待っている。
「ですから……、ええと、店長に惚れてしまいまして……」
私は腹をくくった。
「すきです、店長」
私が馬鹿正直に言うと思わなかったのだろうか、店長は少しだけ目を見開いた。
でもすぐ普段の表情に戻って、言った。
「おまえ、今日はこの後予定ないのか?」
「はい……」
え、これって、もしかして。
「ま……最近仕事の出来も良くなってきたし、ちょうど良い。ご褒美だ。豪華な夕食をプレゼントしてやるよ」
「えっ、店長とですか? それって、」
「勘違いするなよ。おまえをオレの女にするってわけじゃないさ。ただ——」
店長はそこでニヤリと笑って、言った。
私はその悪そうな笑顔に悩殺されそうになる。
「ちょっと味見したくなっただけだ」
私は頭がとろけてしまいそうなくらい、幸せだった。味見……、うそ。
「店長」
「なんだ?」
「期待しちゃっても良いですか……?」
私がそう言うと、店長は眉をぴくりと上げた。
「それは東雲の態度次第だが……。まぁ、場合によっては、どうなるか分からないな」
にっと笑う彼。
私は目の前が明るくなった気がした。
既に今夜が楽しみでドキドキする。
店長は続けた。
「が、その言葉……。他の男にやすやすと言うんじゃない、分かったな……!」
言い終わると、彼はぷいっと仕事に戻ってしまった。
え、何今の。
もしかして結構、希望ある……?
私は店長の背中に向かって言った。
「こんなこと、店長にしか言いませんよ。だって本気で、好きなんですから」
店長はその言葉を無視したけれど、彼の耳は少しだけ、赤くなっていた。
ここは私の勤めている裏カジノ。
この職場、本当に最高なの。
だって、最高な上司がいるから!
店長、今日もかっこいい……。
どうしてそんなにかっこいいんですか?
私がうっとりと一条店長を見つめると、彼は私の視線に気が付き、つかつかと歩み寄ってきた。
「おい東雲。何をサボってる」
「あっ、はい、すみません」
私は頭をかいて言った。
「店長に見とれてしまって……」
「馬鹿なことを言う暇があったら手を動かせ」
「す、すみませんっ」
店長は私のことなど眼中にないから、私が際どいことを言ってもすぐに流されてしまう。
そういうところもかっこいいんだけど、でも、ちょっとは寂しかったりして。
大体、この職場に女の子はあんまりいないし、一条店長は他の場所で沢山の女の子と知り合いで、お店のVIPだったりするらしい。
だから、彼は職場で恋愛のことなんか考えていないんだ。私は恋愛対象外。
はぁ。
……いけないいけない、また怒られちゃう。
私は素早く動作チェックを終え、ようやく休憩に入ることにした。
スタッフルームに戻ると、ラッキーなことに、店長と2人きりだった。こんなことはあんまりない。大抵、誰かはいるから。
今がアピールチャンスだ、と思った。
「店長、コーヒー淹れました」
「ん、ああ。ありがとう」
何やら書類を見ているようで、忙しそう。
そんな時に、このコーヒーは結構良いでしょ。
それを隣に置くと、彼は書類を置いて、目のあたりを押さえながらコーヒーに手を伸ばした。
「結構お疲れなんですね」
「まぁな。やることが沢山ある」
「えっと……あんまり無理しないでください」
「お心遣いに感謝するよ」
本当は手伝いたいくらいだけど、あれは店長の仕事。私が手を出せるようなものじゃない。
私は後ろから彼の背中を見つめることしかできなかった。
「……そんな見られても困るな」
店長が背中越しに話しかけてきた。
「なんで分かるんですか」
「そんなに凝視されたらオレじゃなくとも分かるだろうよ」
「えー」
私は視線でさえ邪魔になるのか、と反省して、別のところに目を向けた。
すると、店長が振り返って言った。
「そう言えばさっきも見とれてたとか言ってたか?」
「あ、言いました」
「ククク……。本当に惚れてたりしてな」
店長は冗談のように笑って、また仕事に戻ってしまった。けど、私は何かもやもやした気分だった。……本当に惚れてるんだけどなぁ、って。
だから、
「あってますよ」
って言ってみた。
「あ?」
「私……店長のことすきなんです」
「そんなに簡単にオレは騙せないだろ」
店長は全く本気にしていなかった。
冗談だと思われてる。
結構、勇気出してみたのに。
私は恥ずかしさとかで顔が真っ赤になった。
「まぁ、気が乗ればオレが遊んでやらないこともないが——」
店長がさらに冗談を重ねながら、座っていた椅子をくるりと回して私の方に向き直った。
「なっ……!」
驚きの声をあげたのは、店長だった。
「なんでお前、そんな顔赤くして……⁈」
えっ、そんなに赤いの?
恥ずかしい、なかったことにしたい。
「あはは、いや……なんでもないです。ちょっと熱いかな、なんて?」
私は顔に両手を当てて誤魔化した。
「ふーん?」
店長はそんな私を見ながら足を組む。
「自分から挑発しておいて、あとは姑息に逃げる。それは当カジノの理念には反するな。違うか?」
あれ……。
私は顔を伏せた。
「お、おっしゃる通りです」
「その雰囲気だと、オレの金目当てってわけでもない……か。で? ちゃんと聞いてやるから、もう一回チャンスを与えてやろう」
「え」
店長はそれ以上、口を開こうとはしなかった。
あくまで、私が話し出すのを待っている。
「ですから……、ええと、店長に惚れてしまいまして……」
私は腹をくくった。
「すきです、店長」
私が馬鹿正直に言うと思わなかったのだろうか、店長は少しだけ目を見開いた。
でもすぐ普段の表情に戻って、言った。
「おまえ、今日はこの後予定ないのか?」
「はい……」
え、これって、もしかして。
「ま……最近仕事の出来も良くなってきたし、ちょうど良い。ご褒美だ。豪華な夕食をプレゼントしてやるよ」
「えっ、店長とですか? それって、」
「勘違いするなよ。おまえをオレの女にするってわけじゃないさ。ただ——」
店長はそこでニヤリと笑って、言った。
私はその悪そうな笑顔に悩殺されそうになる。
「ちょっと味見したくなっただけだ」
私は頭がとろけてしまいそうなくらい、幸せだった。味見……、うそ。
「店長」
「なんだ?」
「期待しちゃっても良いですか……?」
私がそう言うと、店長は眉をぴくりと上げた。
「それは東雲の態度次第だが……。まぁ、場合によっては、どうなるか分からないな」
にっと笑う彼。
私は目の前が明るくなった気がした。
既に今夜が楽しみでドキドキする。
店長は続けた。
「が、その言葉……。他の男にやすやすと言うんじゃない、分かったな……!」
言い終わると、彼はぷいっと仕事に戻ってしまった。
え、何今の。
もしかして結構、希望ある……?
私は店長の背中に向かって言った。
「こんなこと、店長にしか言いませんよ。だって本気で、好きなんですから」
店長はその言葉を無視したけれど、彼の耳は少しだけ、赤くなっていた。