顔の火傷や手首の傷跡、そしてこの鋭い目。

確かに納得はできる……こんな見た目のやつが突然転校してきたんだ、噂になるのも仕方がない。
教室に入ったオレを見て、クラスの奴らはざわついていた。

オレは今日から、この学校に通う。

「工藤涯」

とりあえず名前だけの自己紹介を終えたあと、指定席に座って何事もなく先公の話を聞く。
が、やはりだ。この空気……！
予想していなかったわけじゃない。

ほとんどの生徒がオレを恐れている。ちらちらとオレを盗み見る動きが目立って仕方がない。
まあ、こんなことは慣れっこだ。
それに、オレは自分の力で冤罪を晴らしたばかりで気分も上がっていたし、別に構わなかった。勝手に恐れておけばいい。
オレはそう思っていた。

つまりオレはオレに依って生きるわけだから、こういう奴らと必要以上に仲良しこよしすることもない。……はずだったのだが。

それからしばらく経った頃。
オレが害を与えるような奴じゃないと分かると、同級生の男たちはオレに近づいてきた。

「な、なぁ。おまえ、工藤……だよな」
「……そうだけど」
「あー、俺らと昼飯、食う？」
「え？」

それは意外なものだった。
どうやら、オレのアウトローな見た目は、このくらいの年頃の男には魅力的だったらしい。
こんな風にして、図らずもオレは学校生活に馴染み始めた。

とは言え、あいつらのように日常的にベタベタ馴れ合うようなことはなかったし、相変わらず女たちはオレのことを怖がっているみたいだった。
だからオレは、特に女子たちとは事務的な会話しか交わさずに過ごしていた。
……そもそも、そんな機会が大してあるとは思えないし。

とりあえず、オレはオレらしく学校生活を送るだけ。本当の意味での孤立に向けて勉学に励むのがオレのするべきことだ。それはオレにとって有意義な時間だったし、中々楽しんでもいた。


が、ある日、オレは1人の女と出会うことになる。
彼女の名は東雲舞美といった。