赤の他人
名前変換はコチラから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
はっ、しまった。
早起きして、朝ごはん作る予定だったのに。やっぱり、となりに赤木さんはいない。
……と思ったら、「お、起きたか」という、赤木さんの声。
「あれっ、赤木さん! お、おはようございます? ……なんで?」
「寝ぼけてんのか。舞美が朝ごはん作ってやるっていうから待ってたんだぜ」
「う、嘘でしょ?」
「どんな嘘だよ。おまえ、そうじゃないって分かってる時こそ “嘘” って言葉を使いたがる」
赤木さんは笑った。
「おまえの作る飯が食べたいんだ」
私は、シャキッとしてから、キッチンと呼べるかも分からない、狭いキッチンに立った。
「でも、赤木さん、私が起きるまで暇じゃありませんでした?」
「ああ。新聞も取ってないんだな」
「はい。貧乏育ちですもん」
「そうだったな」
「起こしてくれれば良かったんですよ」
「クク、それは無理だ」
赤木さんは言った。
「おまえの幸せそうな寝顔を見たら、起こすに起こせないさ」
「ああやっぱり見られてたんですね!」
恥ずかしがりながら、私は赤木さんに言った。
「あと少し待っててくださいね、すぐできますから」
***
「うまいな」
赤木さんは、私の料理を食べてくれた。
「嬉しいです」
「うん……確かにこれなら毎日食べても飽きないかもな」
赤木さんがそんな風に頷くので、「じゃあ毎日来てください」と言いたくなるけれど、そんなことはあり得ないから、私はニコニコと笑顔になるだけに留めておいた。
こうやってフラフラと来られると、どんな女の人でも赤木さんのことばかり考えるようになってしまうと思う。次はいつ来るんだろう、って。そもそも、私みたいな女がいっぱいいるのかもしれない。だから、赤木さんは一文無しになっても焦ることはないのかも。
ということは、逆に考えると、一文無しでもないのに私のところに来てくれたっていうのは、結構喜ばしいことなのかもしれない。
結構、私も女として見られてるのかも……?
なーんて。
赤木さんとのことを想像するくらい、私にだって許されてるよね。
***
それからというもの、赤木さんはたびたびうちに来てくれるようになった。不定期で、それこそ猫みたい。それが私をさらに夢中にさせた。
私がいない時にも赤木さんが入れるように、ポストの部分に鍵を隠したり。彼を繋ぎとめておけそうなことは、全部した。
でも、私たちは決して一線を超えることはなかったし、恋仲にもならなかった。
添い寝だけの関係。
それが私には心地よかったし、ずっと続けば良いとさえ思った。
でも、突然、彼はぱったりと来なくなった。
早起きして、朝ごはん作る予定だったのに。やっぱり、となりに赤木さんはいない。
……と思ったら、「お、起きたか」という、赤木さんの声。
「あれっ、赤木さん! お、おはようございます? ……なんで?」
「寝ぼけてんのか。舞美が朝ごはん作ってやるっていうから待ってたんだぜ」
「う、嘘でしょ?」
「どんな嘘だよ。おまえ、そうじゃないって分かってる時こそ “嘘” って言葉を使いたがる」
赤木さんは笑った。
「おまえの作る飯が食べたいんだ」
私は、シャキッとしてから、キッチンと呼べるかも分からない、狭いキッチンに立った。
「でも、赤木さん、私が起きるまで暇じゃありませんでした?」
「ああ。新聞も取ってないんだな」
「はい。貧乏育ちですもん」
「そうだったな」
「起こしてくれれば良かったんですよ」
「クク、それは無理だ」
赤木さんは言った。
「おまえの幸せそうな寝顔を見たら、起こすに起こせないさ」
「ああやっぱり見られてたんですね!」
恥ずかしがりながら、私は赤木さんに言った。
「あと少し待っててくださいね、すぐできますから」
***
「うまいな」
赤木さんは、私の料理を食べてくれた。
「嬉しいです」
「うん……確かにこれなら毎日食べても飽きないかもな」
赤木さんがそんな風に頷くので、「じゃあ毎日来てください」と言いたくなるけれど、そんなことはあり得ないから、私はニコニコと笑顔になるだけに留めておいた。
こうやってフラフラと来られると、どんな女の人でも赤木さんのことばかり考えるようになってしまうと思う。次はいつ来るんだろう、って。そもそも、私みたいな女がいっぱいいるのかもしれない。だから、赤木さんは一文無しになっても焦ることはないのかも。
ということは、逆に考えると、一文無しでもないのに私のところに来てくれたっていうのは、結構喜ばしいことなのかもしれない。
結構、私も女として見られてるのかも……?
なーんて。
赤木さんとのことを想像するくらい、私にだって許されてるよね。
***
それからというもの、赤木さんはたびたびうちに来てくれるようになった。不定期で、それこそ猫みたい。それが私をさらに夢中にさせた。
私がいない時にも赤木さんが入れるように、ポストの部分に鍵を隠したり。彼を繋ぎとめておけそうなことは、全部した。
でも、私たちは決して一線を超えることはなかったし、恋仲にもならなかった。
添い寝だけの関係。
それが私には心地よかったし、ずっと続けば良いとさえ思った。
でも、突然、彼はぱったりと来なくなった。