Prrrrrr......

『店長 から 着信 です』

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……あっ、ようやく出やがった。

おい、聞こえてるか東雲舞美。

何ですかって……。

お前がウチを休むのなんて珍しいから電話してやってんだろ。

部下の管理は大事だって言うからな。

お前にはまだ役立ってもらう予定だし……。


その様子だと、風邪か……？

みっともない鼻声してるからすぐ分かったよ。

確かにそれじゃあウチには立たせられない。

もっとも、原因は働きすぎかもしれないがな。


……いや、別に怒ってない。

体調崩したんなら、休む方が正しいよ。

お客様やオレに伝染（うつ）すかもしれないし。

というわけで、全く怒ってはいないから、心配するな。


ただ、お前は何故か人気だからな……。

どいつもこいつも、

「今日は舞美ちゃんいないのか」、だってよ。

実際、東雲を雇ってから客足が伸びている。


ただ、それで一つ忠告しようと思ってな。

まあ、こんな風に聞くことじゃないかもしれないけど……。

お前、その……男の客に、何かされたりしてないか……？

東雲は無防備だから。

……大丈夫？ 本当に？

もし何かされたらすぐオレに言えよ。

オレの見えないところで勝手に触られるんじゃねえぞ。


あ？

オレが優しいのが、そんなに不思議か？

東雲はもう少し、上司への口の利き方に気をつけろよ。

っていうか、オレは誰にでも優しい訳じゃないんだぜ。

お前だからこんなに気に掛けてやってるんだ。


なんでって……。

お前、なんか危なっかしいし。

あと、馬鹿っぽい上に愛嬌だけは無駄にありやがるし。

男ウケ良さそうなカオしてるし。

身体もオレ好みだし。

……って、何を言わせんだよ！


あー、セクハラとか喚くなよ。

冗談。冗談だからなー。



⁈

……ハッ、オレになら何されても良いって。

お前、自分で何言ってるのか分かってるのか？

ククク……言質は取ったぜ？

今更、怖気づくなよ。


そう言や、お前の家って、ここから近いんだったか？

クク、これはこれは都合のよろしいことだ。

仕方ねえから、オレが見舞いに行ってやるよ。

なあに、ただ可愛い部下の様子を見に行くだけだ。


弱ってる東雲はさぞかし可愛いだろうから、

とくと拝見させてもらうぜ。



風邪で頭が回らないんだろ？

心配すんな、頭真っ白にする方法を教えてやる。

それまでは忠犬のように待ってるんだな。


……オレが行くまで、安静にしてろよ。




Pips.