パチ屋の拾い物
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「え?」
急に、たった今考えていた女本人から話しかけられたカイジは驚いたが、「目押し」という言葉を聞き取り、勢いでこくんと頷いた。
「本当ですか!」
本来、目押しはそれほど難しいことではない。
だから、カイジにとってそれは朝飯前だった。
ということは、この子、パチスロに慣れていないのか。
それにしても、当たるなんて羨ましいよなぁ。
そんなことを思いながら、カイジは彼女の台に近づいた。
舞美は笑顔で、カイジを見守っている。
カイジは電光石火で、目押しを成功させた。
「すっごー!」
当たりだ。
彼女は出てくるメダルを嬉しそうに眺めていた。
「ありがとうございます! あ、お礼を」
そう言いながら、メダルを差し出す舞美。
「あぁ……、いいよ、礼なんて」
本当は欲しかったカイジだが、謎のプライドが邪魔して素直にメダルを受け取れない。
何より、この女の前では少し格好付けたいという思いがあった。
「じゃあ、こうしよう」
舞美は、えいっ、と言って、自分のメダルをカイジのメダル箱に混ぜてしまった。
「お、おい、」
「このくらいでしたら、本当に要らないから、あげる!」
「そんなこと言ったって……」
「まぁ、受け取ってよ。あなたのお陰だしさ」
「あ……そう? まぁ、そういうことなら……」
基本的に流されやすいカイジは、やはり舞美に負け、少しメダルを手に入れた。
彼がラッキーと思ったのもまた事実だ。
「それじゃあ、あたしはこれで」
スタッフを呼んで帰ろうとする舞美に、カイジは驚きを隠せなかった。
「もう、行っちまうのか? 今、当たったのに?」
「え……、でもこれ、継続するやつじゃないよねえ」
「ああ、それは、そうだけど……、なんていうか」
カイジは頭をかいた。
せっかく話せたのに、帰っちまうのか。
それに、一度当たって、途中で辞めるなんて、到底自分には真似できない打ち方だ。カイジならこれを元手に、さらに大きな当たりを探してしまう。
「じゃあ、この台、オレが座っても良いのか?」
舞美は、手でOKマークを作った。
「もちろん」
「そうか……」
「うん。さっきはどうも、ありがとう!」
頭を下げて換金に行く舞美の背中を呆然と見つめたカイジは、自分の過ちに気付いた。
(だから……! なんで引き留めようとしたのに、オレがこの台に座ることになってんだよ……)
急に、たった今考えていた女本人から話しかけられたカイジは驚いたが、「目押し」という言葉を聞き取り、勢いでこくんと頷いた。
「本当ですか!」
本来、目押しはそれほど難しいことではない。
だから、カイジにとってそれは朝飯前だった。
ということは、この子、パチスロに慣れていないのか。
それにしても、当たるなんて羨ましいよなぁ。
そんなことを思いながら、カイジは彼女の台に近づいた。
舞美は笑顔で、カイジを見守っている。
カイジは電光石火で、目押しを成功させた。
「すっごー!」
当たりだ。
彼女は出てくるメダルを嬉しそうに眺めていた。
「ありがとうございます! あ、お礼を」
そう言いながら、メダルを差し出す舞美。
「あぁ……、いいよ、礼なんて」
本当は欲しかったカイジだが、謎のプライドが邪魔して素直にメダルを受け取れない。
何より、この女の前では少し格好付けたいという思いがあった。
「じゃあ、こうしよう」
舞美は、えいっ、と言って、自分のメダルをカイジのメダル箱に混ぜてしまった。
「お、おい、」
「このくらいでしたら、本当に要らないから、あげる!」
「そんなこと言ったって……」
「まぁ、受け取ってよ。あなたのお陰だしさ」
「あ……そう? まぁ、そういうことなら……」
基本的に流されやすいカイジは、やはり舞美に負け、少しメダルを手に入れた。
彼がラッキーと思ったのもまた事実だ。
「それじゃあ、あたしはこれで」
スタッフを呼んで帰ろうとする舞美に、カイジは驚きを隠せなかった。
「もう、行っちまうのか? 今、当たったのに?」
「え……、でもこれ、継続するやつじゃないよねえ」
「ああ、それは、そうだけど……、なんていうか」
カイジは頭をかいた。
せっかく話せたのに、帰っちまうのか。
それに、一度当たって、途中で辞めるなんて、到底自分には真似できない打ち方だ。カイジならこれを元手に、さらに大きな当たりを探してしまう。
「じゃあ、この台、オレが座っても良いのか?」
舞美は、手でOKマークを作った。
「もちろん」
「そうか……」
「うん。さっきはどうも、ありがとう!」
頭を下げて換金に行く舞美の背中を呆然と見つめたカイジは、自分の過ちに気付いた。
(だから……! なんで引き留めようとしたのに、オレがこの台に座ることになってんだよ……)