大きな柳の木の下で
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アカギはもう一発しようと思えばできたが、舞美が幸せそうに息を整えていたのを見て、そしてさっき自分が無茶をして怪我をしたのを思い出して、舞美の隣にぽすっと横たわった。
「アカギさん」
舞美が擦り寄る。
「クク……これじゃあ、オレが食っちまったのか、あるいは食われちまったのか、分からねぇな」
舞美は上品にふふふと笑った。
「舞美さん」
アカギが天を見つめながら言う。
「もしかすると、オレはもうこの店には来れないかもしれない」
「えっ……」
舞美が驚くのも無理はない。まるで、身体だけが目当てで、事が済んだら用無しだと言わんばかりではないか。
「そう、ですか……」
落ち込む舞美に、アカギは何か勘違いされていることに気がついた。
「オレの命を賭けた麻雀を打つんだ」
「命……⁈」
舞美が仰天してアカギの横顔を見るが、アカギは表情1つ変えない。むしろ、穏やかだ。
「ずっとオレが、望んでいたものだから、例え舞美さんに何を言われようとも、これはやめないよ」
「……そうなんですね。命は惜しくないんですか」
舞美の問いかけに、アカギは言った。
「死ぬことは恐くない。むしろ、生死を賭けた麻雀なんかでなければ、そもそもオレは打っている気がしないのさ」
ようやく、舞美はアカギが普通の価値観を持っていないことを理解した。偏っている。類を見ない、鋭い狂気の刃。初めて会った時に感じた禍々しいオーラの正体は、それだった。
アカギは、好きだの愛だの、そういったことを口にしなかったし、これからも言わないかもしれない。アカギにとって、色恋沙汰とはそんな程度のものなのだ。
「それでも、死ねば舞美さんの料理も食えなくなると思うと、それはそれで無念だね」
アカギは煙草を咥えた。
「舞美さんだけなんだ——こんなに欲しいと思ったのは」
舞美はいっぱいになった。心が満たされた、といった方が正しいか。
とにかく、好きだのなんだの、子供みたいな言葉よりも嬉しい言葉を貰った気がした。
だったら、舞美が言うべき事は限られる。
「じゃあ、ちゃんと、帰ってきてください。その麻雀に、勝って帰ってきてください。私はそれだけで、十分ですから」
それを聞いて、アカギは舞美の頭を撫でた。
「もう、未亡人は嫌ですからね」
「分かった」
そして、また1つキスを落とした。
「“また来る”よ、舞美さん」
〈完?〉
「アカギさん」
舞美が擦り寄る。
「クク……これじゃあ、オレが食っちまったのか、あるいは食われちまったのか、分からねぇな」
舞美は上品にふふふと笑った。
「舞美さん」
アカギが天を見つめながら言う。
「もしかすると、オレはもうこの店には来れないかもしれない」
「えっ……」
舞美が驚くのも無理はない。まるで、身体だけが目当てで、事が済んだら用無しだと言わんばかりではないか。
「そう、ですか……」
落ち込む舞美に、アカギは何か勘違いされていることに気がついた。
「オレの命を賭けた麻雀を打つんだ」
「命……⁈」
舞美が仰天してアカギの横顔を見るが、アカギは表情1つ変えない。むしろ、穏やかだ。
「ずっとオレが、望んでいたものだから、例え舞美さんに何を言われようとも、これはやめないよ」
「……そうなんですね。命は惜しくないんですか」
舞美の問いかけに、アカギは言った。
「死ぬことは恐くない。むしろ、生死を賭けた麻雀なんかでなければ、そもそもオレは打っている気がしないのさ」
ようやく、舞美はアカギが普通の価値観を持っていないことを理解した。偏っている。類を見ない、鋭い狂気の刃。初めて会った時に感じた禍々しいオーラの正体は、それだった。
アカギは、好きだの愛だの、そういったことを口にしなかったし、これからも言わないかもしれない。アカギにとって、色恋沙汰とはそんな程度のものなのだ。
「それでも、死ねば舞美さんの料理も食えなくなると思うと、それはそれで無念だね」
アカギは煙草を咥えた。
「舞美さんだけなんだ——こんなに欲しいと思ったのは」
舞美はいっぱいになった。心が満たされた、といった方が正しいか。
とにかく、好きだのなんだの、子供みたいな言葉よりも嬉しい言葉を貰った気がした。
だったら、舞美が言うべき事は限られる。
「じゃあ、ちゃんと、帰ってきてください。その麻雀に、勝って帰ってきてください。私はそれだけで、十分ですから」
それを聞いて、アカギは舞美の頭を撫でた。
「もう、未亡人は嫌ですからね」
「分かった」
そして、また1つキスを落とした。
「“また来る”よ、舞美さん」
〈完?〉