大きな柳の木の下で
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また少しの月日が流れた。
舞美はアカギを待っている。
あの甘かった時間が忘れられないが、背徳感もあって、複雑だ。そんな思考が、ぐるぐると渦巻く。天国のあの人は、なんて言うだろうか。
おそらく、今日頃には来るだろうと思ったので、例の髪飾りを付けた舞美。
赤いかんざしは、お休みだ。
そしてようやく、心待ちにしていた青年が来ると、舞美は目の色を変え、小さく悲鳴を上げた。
「ど、どうしたんです⁈」
アカギの服に付いている赤黒い染みが血以外の何物でもないことは、アカギの表情を見ればすぐに分かることだった。
舞美はアカギに駆け寄る。
「大丈夫、ほとんど返り血」
「とは言っても、」
舞美はアカギが腕から血を流しているのに気がついた。
「酷い怪我! 手当てします、こちらへ」
乱闘だったのか、疲れた様子のアカギを支えるようにして舞美は店の奥に招き入れた。
普段、客を呼ぶような場所ではない。
そこは舞美の生活部屋のような所だった。
「ここに腰掛けてください」
「悪いね」
確かに、舞美の店にヤクザのような客が来ることは珍しくない。しかし、ここまで血の気の多い客は初めてだった。今まで、アカギにそんな素振りはなかったのに。
じゃあ、あの日くれた大金はどうやって手に入れたのだろうかと思ったが、舞美はそれについて考えるのをやめた。
それにしても、こういった事態に備えて、救急箱を用意しておいて良かった、と舞美は安堵した。最低限の治療ならできそうだ。
それに、命の危機というわけでもなさそう。
「良いよ、そこまでしなくても」
休ませてくれさえすれば、と言うアカギを無視して、軽く水で洗い流し、消毒液とガーゼを手に持ち、見よう見まねで処置を施す。
腕の傷を治療すると、アカギは少しだけ顔をしかめた。それを終えて、アカギを見上げると、顔にも擦り傷があることを発見した。
「舞美さん、髪飾り付けてくれてるんだ」
「もう! あなたをずっと待ってたんですから。何があったのかは聞きませんけど、もっとお気をつけください。……まあ! 口の端も切れちゃって。ハンサムなお顔立ちが勿体ない」
そう言いながら、顔を近づけて、ちょんちょんと消毒液を塗ろうとすると、アカギはそんな舞美の手首を掴み、そのまま強引に口づけをした。
「んっ⁈」
何故に、このタイミング。
行き場を失った舞美の両手はそのまま。
アカギは片手を舞美の腰に回し、引き寄せるようにして唇をさらに押し付けた。
舞美はアカギを待っている。
あの甘かった時間が忘れられないが、背徳感もあって、複雑だ。そんな思考が、ぐるぐると渦巻く。天国のあの人は、なんて言うだろうか。
おそらく、今日頃には来るだろうと思ったので、例の髪飾りを付けた舞美。
赤いかんざしは、お休みだ。
そしてようやく、心待ちにしていた青年が来ると、舞美は目の色を変え、小さく悲鳴を上げた。
「ど、どうしたんです⁈」
アカギの服に付いている赤黒い染みが血以外の何物でもないことは、アカギの表情を見ればすぐに分かることだった。
舞美はアカギに駆け寄る。
「大丈夫、ほとんど返り血」
「とは言っても、」
舞美はアカギが腕から血を流しているのに気がついた。
「酷い怪我! 手当てします、こちらへ」
乱闘だったのか、疲れた様子のアカギを支えるようにして舞美は店の奥に招き入れた。
普段、客を呼ぶような場所ではない。
そこは舞美の生活部屋のような所だった。
「ここに腰掛けてください」
「悪いね」
確かに、舞美の店にヤクザのような客が来ることは珍しくない。しかし、ここまで血の気の多い客は初めてだった。今まで、アカギにそんな素振りはなかったのに。
じゃあ、あの日くれた大金はどうやって手に入れたのだろうかと思ったが、舞美はそれについて考えるのをやめた。
それにしても、こういった事態に備えて、救急箱を用意しておいて良かった、と舞美は安堵した。最低限の治療ならできそうだ。
それに、命の危機というわけでもなさそう。
「良いよ、そこまでしなくても」
休ませてくれさえすれば、と言うアカギを無視して、軽く水で洗い流し、消毒液とガーゼを手に持ち、見よう見まねで処置を施す。
腕の傷を治療すると、アカギは少しだけ顔をしかめた。それを終えて、アカギを見上げると、顔にも擦り傷があることを発見した。
「舞美さん、髪飾り付けてくれてるんだ」
「もう! あなたをずっと待ってたんですから。何があったのかは聞きませんけど、もっとお気をつけください。……まあ! 口の端も切れちゃって。ハンサムなお顔立ちが勿体ない」
そう言いながら、顔を近づけて、ちょんちょんと消毒液を塗ろうとすると、アカギはそんな舞美の手首を掴み、そのまま強引に口づけをした。
「んっ⁈」
何故に、このタイミング。
行き場を失った舞美の両手はそのまま。
アカギは片手を舞美の腰に回し、引き寄せるようにして唇をさらに押し付けた。