大きな柳の木の下で
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「これ、私に……ですか」
数日後、舞美はアカギから髪飾りを手渡されていた。店内に誰もいなかったため、舞美はアカギの隣に座っていた。
「たまたま、これを手に入れる機会があってね。舞美さんにどうかと思って」
「そんな、悪いです」
安物ではないことは見ればわかる。
舞美は最初、遠慮していたが、
「こんな時くらい、オレに格好付けさせてよ」
と言われ、折角自分のために手に入れてくれたのならば受け取らない方が失礼ではないか、と思い、手に取った。早速、舞美はその髪飾りを気に入り始めていた。
「付けているところが見たい」
そう言われ、はっとする。
旦那が死んで以来、店では外すことのなかったかんざし。舞美には、これを外すことが主人を裏切ることのように思えた。
しかし、舞美はアカギを見て、頷いた。何故か、この男は舞美の心の深くまで入ってくる。舞美もそんなアカギを拒絶しなかった。
そっとかんざしを外し、アカギから貰ったものを髪につける。
「いかが……でしょうか」
ちらとアカギを見ると、満足気な顔をしていた。
「思った通りだ。似合ってる」
「嬉しい……」
舞美は微笑んだ。アカギは驚いたように、舞美の顔を見つめていた。
そして、外されたかんざしを見て言った。
「外す時、一瞬躊躇してたね。そんなに旦那のこと……忘れられない?」
舞美は返事に困り、目を泳がせた。
その様子を見て、アカギは続ける。
「駄目じゃない、舞美さん。本当に今も好きなら、即答しないと」
「あ……」
見透かされたような気がして、赤面する舞美。少し前までなら、即答できたはずなのに。
自分の気持ちがわからなくなり、困惑する。
すると、アカギが急に笑い出した。
「……意地悪した。ごめんね」
「ア、アカギさん」
「困らせてみたかったんだ」
アカギは楽しそうだった。
しかし、真顔に戻ってから、言った。
「でも、意地になって死んだ旦那に固執しているくらいなら、考え直した方が良い」
彼の言葉に揺さぶられる。
「今、その人への罪悪感や無駄な正義感で貞操を守っているわけでしょ。それって、本当に舞美さんが望んでることなの」
核心を突いてくる。
「それでは……」
舞美は、勇気を出して尋ねた。
「もしも私が、主人を忘れられなくて、次に進めない場合——私はどうすれば良いんですか?」
アカギは微笑んだ。
「なるほどね」
そして、舞美の髪を柔らかく触った。
「じゃあ、オレが忘れさせてあげる」
数日後、舞美はアカギから髪飾りを手渡されていた。店内に誰もいなかったため、舞美はアカギの隣に座っていた。
「たまたま、これを手に入れる機会があってね。舞美さんにどうかと思って」
「そんな、悪いです」
安物ではないことは見ればわかる。
舞美は最初、遠慮していたが、
「こんな時くらい、オレに格好付けさせてよ」
と言われ、折角自分のために手に入れてくれたのならば受け取らない方が失礼ではないか、と思い、手に取った。早速、舞美はその髪飾りを気に入り始めていた。
「付けているところが見たい」
そう言われ、はっとする。
旦那が死んで以来、店では外すことのなかったかんざし。舞美には、これを外すことが主人を裏切ることのように思えた。
しかし、舞美はアカギを見て、頷いた。何故か、この男は舞美の心の深くまで入ってくる。舞美もそんなアカギを拒絶しなかった。
そっとかんざしを外し、アカギから貰ったものを髪につける。
「いかが……でしょうか」
ちらとアカギを見ると、満足気な顔をしていた。
「思った通りだ。似合ってる」
「嬉しい……」
舞美は微笑んだ。アカギは驚いたように、舞美の顔を見つめていた。
そして、外されたかんざしを見て言った。
「外す時、一瞬躊躇してたね。そんなに旦那のこと……忘れられない?」
舞美は返事に困り、目を泳がせた。
その様子を見て、アカギは続ける。
「駄目じゃない、舞美さん。本当に今も好きなら、即答しないと」
「あ……」
見透かされたような気がして、赤面する舞美。少し前までなら、即答できたはずなのに。
自分の気持ちがわからなくなり、困惑する。
すると、アカギが急に笑い出した。
「……意地悪した。ごめんね」
「ア、アカギさん」
「困らせてみたかったんだ」
アカギは楽しそうだった。
しかし、真顔に戻ってから、言った。
「でも、意地になって死んだ旦那に固執しているくらいなら、考え直した方が良い」
彼の言葉に揺さぶられる。
「今、その人への罪悪感や無駄な正義感で貞操を守っているわけでしょ。それって、本当に舞美さんが望んでることなの」
核心を突いてくる。
「それでは……」
舞美は、勇気を出して尋ねた。
「もしも私が、主人を忘れられなくて、次に進めない場合——私はどうすれば良いんですか?」
アカギは微笑んだ。
「なるほどね」
そして、舞美の髪を柔らかく触った。
「じゃあ、オレが忘れさせてあげる」