大きな柳の木の下で
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「ねぇ、それ、いつも付けてるけど」
ある日、アカギは舞美に尋ねた。
「ええと……これですか?」
「うん。気に入ってるみたいだから」
確かに、舞美は毎日同じかんざしを髪に刺していた。別に、他のを待っていないという訳ではない。かつては、様々な色のかんざしを刺したものだった。しかし、ある時から、店に出るときはこのかんざしを刺すと決めている。
結果、そのかんざしは舞美のトレードマークのようになっていた。
「大切な人から、頂いたんです」
「ふーん」
アカギは舞美をじっと見て、ぼそりと呟いた。
「男、か」
「え?」
「それ。男に貰ったんでしょ。それも、客じゃない」
舞美は心臓がどくんと鳴った。
ただ言い当てられたから、だけじゃない。そのアカギの目つきが、舞美の心の奥を見透かそうとしているようだったから。
「これは、ですね」
舞美は言った。
「主人から貰ったんです」
どの客にも言っていない話だ。何故か、舞美はアカギにだけそれを打ち明けた。
「……旦那、いたんだ」
アカギがぐっと酒を飲んだのを見て、舞美はなんとも言えない気持ちになった。どうして自分が言ってしまったのか、分からない。この男がどうしてそれを聞いてきたのかも。
舞美はかんざしを触って落ち着いた。
「それにしても、綺麗な舞美さんを放っておいて、その旦那様はどこへ行ってるの」
「綺麗だなんて」
舞美はアカギに酒を注いだ。
そして、その様子を見下ろして、言った。
「主人は……数年前に、亡くなりました」
ある日、アカギは舞美に尋ねた。
「ええと……これですか?」
「うん。気に入ってるみたいだから」
確かに、舞美は毎日同じかんざしを髪に刺していた。別に、他のを待っていないという訳ではない。かつては、様々な色のかんざしを刺したものだった。しかし、ある時から、店に出るときはこのかんざしを刺すと決めている。
結果、そのかんざしは舞美のトレードマークのようになっていた。
「大切な人から、頂いたんです」
「ふーん」
アカギは舞美をじっと見て、ぼそりと呟いた。
「男、か」
「え?」
「それ。男に貰ったんでしょ。それも、客じゃない」
舞美は心臓がどくんと鳴った。
ただ言い当てられたから、だけじゃない。そのアカギの目つきが、舞美の心の奥を見透かそうとしているようだったから。
「これは、ですね」
舞美は言った。
「主人から貰ったんです」
どの客にも言っていない話だ。何故か、舞美はアカギにだけそれを打ち明けた。
「……旦那、いたんだ」
アカギがぐっと酒を飲んだのを見て、舞美はなんとも言えない気持ちになった。どうして自分が言ってしまったのか、分からない。この男がどうしてそれを聞いてきたのかも。
舞美はかんざしを触って落ち着いた。
「それにしても、綺麗な舞美さんを放っておいて、その旦那様はどこへ行ってるの」
「綺麗だなんて」
舞美はアカギに酒を注いだ。
そして、その様子を見下ろして、言った。
「主人は……数年前に、亡くなりました」