大きな柳の木の下で
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それから数日後のこと。
舞美は顔を上げた。客足が途切れて、少し退屈し始めた頃、彼は現れた。舞美が少しだけ気にしていた、一風変わった男。
「こんばんは」
「こんばんは」
「アカギさん、またいらしてくれましたね」
「へぇ、覚えててくれたんですね」
「もちろんです。あ、そうでした。前回のお金、そのまま取ってありますから」
「いいよ。あげる」
「そ、そんなこと言われましても……」
舞美は初めてのことに、動揺した。
「じゃあ、前払いってことで、預けておく。その代わりに、オレが来たらもてなしてください」
「そういうことでしたら」
舞美は笑った。
「沢山、来ていただかないとですね」
アカギは、迷うことなく付け台に腰をおろし、前回と同じように飲み食いを始めた。
舞美はその様子を微笑ましげに眺め、時折会話を交わした。
初対面の時よりは、2人の距離は近い。
「この店、舞美さん1人でやってるの」
「はい、そうなんです。まだまだ、至らぬ点はございますが……」
「……そんな点、オレには見えないけど。そうじゃなくて、女1人で危なくないの」
舞美はアカギを見つめた。
「心配してくださってるんですか? ありがとうございます。でも、確かにそうですよね」
「こんな遅い時間までやってるんだから、何があってもおかしくないでしょ」
「ああ、なるほど。やはり、不審者がいらした場合は、こう……、こう、するんでしょうか」
舞美は包丁を構えて、スッと綺麗に空を刺した。アカギはそれを見てクククと笑った。
「あ、お客様の前ではしたないことを」
舞美は少し照れて包丁をそっと置いた。
「クク……構いませんよ。でも、そんな動きじゃあすぐ襲われる」
「そ、そうですか……どうしましょう」
「とにかく、他の客にも気をつけなよ」
「そうですね。自分の身は自分で守ります」
「それが良い」
アカギと舞美は笑った。
「じゃあね、舞美さん」
そしていつも、アカギは帰る時に舞美の名を呼んだ。アカギは舞美と徐々に仲良くなった。既にちょっとした常連になり始めている。
ただ、どこか他の常連客とは違っているな、と舞美は思った。
舞美は、無意識にかんざしに手をやった。
舞美は顔を上げた。客足が途切れて、少し退屈し始めた頃、彼は現れた。舞美が少しだけ気にしていた、一風変わった男。
「こんばんは」
「こんばんは」
「アカギさん、またいらしてくれましたね」
「へぇ、覚えててくれたんですね」
「もちろんです。あ、そうでした。前回のお金、そのまま取ってありますから」
「いいよ。あげる」
「そ、そんなこと言われましても……」
舞美は初めてのことに、動揺した。
「じゃあ、前払いってことで、預けておく。その代わりに、オレが来たらもてなしてください」
「そういうことでしたら」
舞美は笑った。
「沢山、来ていただかないとですね」
アカギは、迷うことなく付け台に腰をおろし、前回と同じように飲み食いを始めた。
舞美はその様子を微笑ましげに眺め、時折会話を交わした。
初対面の時よりは、2人の距離は近い。
「この店、舞美さん1人でやってるの」
「はい、そうなんです。まだまだ、至らぬ点はございますが……」
「……そんな点、オレには見えないけど。そうじゃなくて、女1人で危なくないの」
舞美はアカギを見つめた。
「心配してくださってるんですか? ありがとうございます。でも、確かにそうですよね」
「こんな遅い時間までやってるんだから、何があってもおかしくないでしょ」
「ああ、なるほど。やはり、不審者がいらした場合は、こう……、こう、するんでしょうか」
舞美は包丁を構えて、スッと綺麗に空を刺した。アカギはそれを見てクククと笑った。
「あ、お客様の前ではしたないことを」
舞美は少し照れて包丁をそっと置いた。
「クク……構いませんよ。でも、そんな動きじゃあすぐ襲われる」
「そ、そうですか……どうしましょう」
「とにかく、他の客にも気をつけなよ」
「そうですね。自分の身は自分で守ります」
「それが良い」
アカギと舞美は笑った。
「じゃあね、舞美さん」
そしていつも、アカギは帰る時に舞美の名を呼んだ。アカギは舞美と徐々に仲良くなった。既にちょっとした常連になり始めている。
ただ、どこか他の常連客とは違っているな、と舞美は思った。
舞美は、無意識にかんざしに手をやった。