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狂気、爛漫。
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その夜、件 の赤木しげるは近くの酒場で飲んでいた。
やれやれ。あの女を刺せる予感がしたのに。
その瞬間、勝負をなかったことにされた。
1つ前の局で、本来なら役満が作れたという、いわば 勿体無い河 をわざわざ見せた。そこで鷲巣舞美の思考を固定した。自分の運だけを今まで以上に信じきり、守りが甘くなった彼女。自分の役しか見えなくなったところで刺すところだったが。
今となっては、彼女の手は分からないままだ。
フー、とアカギは煙を吐いた。
目の前で獲物を逃したのは初めてだ。
この結果は彼女の豪運によってなのか。
ただ不完全燃焼というわけではない。
何かが満ちたような気がしていた。
これも不思議な感覚だ。
赤木しげるは決して自分の行動に疑問をもつことはないが、それにしても今日の自分は特に気まぐれだったなと感じた。あの女を相手にしただけでなく、その勝負が有耶無耶になる様子を黙って見ていたのだから。
そしてアレは、中々見ないタイプの女だ。
あんなの、誰も近寄れない。温室育ちでどうやってあの狂人が出来上がるのか。背景も想像しがたい。経験上、女という生き物を大体理解したと思っていたが、例外を発見してしまったらしい。
同類……なのだろうか。
赤木しげるは女の風貌を思い返した。
すると深い考え事をしていると思われたのか、同じく1人で来ていた中年の男に話しかけられる。
「兄ちゃん、悩みはコレかい」
小指をピンと立てる男。
「まあ、間違っちゃないね……。初めて女に逃げられた」
呟くと、中年男は大袈裟に頷く。
「兄ちゃんくらいのトシなら、そういうこともあるさ……。しかしまたなんで逃げられたんだい」
アカギはビールを喉に通す。
「まあ……女の実家が面倒そうでね。あの女、オレのことを殺したいと思ってるに違いない……」
立ち上がり、会計に行こうとする。
男の声が後ろから聞こえる。
「オイオイ大丈夫か……、いずれ刺されるぞ」
「ハハ……まあその時はその時さ」
そう言って店を後にした。
オレがその女を刺す予定だったが、と誰にともなく思う。その時アカギはふと、普段なら考えない“もし”を想像してしまった。
——もしあの時オレが勝ってれば、あの女の神経をちゃんと抜いたかな。
やれやれ。あの女を刺せる予感がしたのに。
その瞬間、勝負をなかったことにされた。
1つ前の局で、本来なら役満が作れたという、いわば 勿体無い河 をわざわざ見せた。そこで鷲巣舞美の思考を固定した。自分の運だけを今まで以上に信じきり、守りが甘くなった彼女。自分の役しか見えなくなったところで刺すところだったが。
今となっては、彼女の手は分からないままだ。
フー、とアカギは煙を吐いた。
目の前で獲物を逃したのは初めてだ。
この結果は彼女の豪運によってなのか。
ただ不完全燃焼というわけではない。
何かが満ちたような気がしていた。
これも不思議な感覚だ。
赤木しげるは決して自分の行動に疑問をもつことはないが、それにしても今日の自分は特に気まぐれだったなと感じた。あの女を相手にしただけでなく、その勝負が有耶無耶になる様子を黙って見ていたのだから。
そしてアレは、中々見ないタイプの女だ。
あんなの、誰も近寄れない。温室育ちでどうやってあの狂人が出来上がるのか。背景も想像しがたい。経験上、女という生き物を大体理解したと思っていたが、例外を発見してしまったらしい。
同類……なのだろうか。
赤木しげるは女の風貌を思い返した。
すると深い考え事をしていると思われたのか、同じく1人で来ていた中年の男に話しかけられる。
「兄ちゃん、悩みはコレかい」
小指をピンと立てる男。
「まあ、間違っちゃないね……。初めて女に逃げられた」
呟くと、中年男は大袈裟に頷く。
「兄ちゃんくらいのトシなら、そういうこともあるさ……。しかしまたなんで逃げられたんだい」
アカギはビールを喉に通す。
「まあ……女の実家が面倒そうでね。あの女、オレのことを殺したいと思ってるに違いない……」
立ち上がり、会計に行こうとする。
男の声が後ろから聞こえる。
「オイオイ大丈夫か……、いずれ刺されるぞ」
「ハハ……まあその時はその時さ」
そう言って店を後にした。
オレがその女を刺す予定だったが、と誰にともなく思う。その時アカギはふと、普段なら考えない“もし”を想像してしまった。
——もしあの時オレが勝ってれば、あの女の神経をちゃんと抜いたかな。
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